2016年4月26日火曜日

バランスシートは経済のエントロピー

資本主義の経済システムでは、企業活動はバランスシート等の財務諸表で管理されます。そしてその目標はバランスシートにおける資産、純資産の拡大方向に進むのであって、逆はありません。それは物理学におけるエントロピーと同様に一方向への変化の力学であり、ゆえに経済におけるバランスシートは物理学におけるエントロピーと同様の働きを担うと言えます。

つまり、経済学バランスシートに支配され、バランスシートに沿わない変化は生じない、もしくは破綻します。ですから、すべての政策は、バランスシートに整合する形でしか実施することはできません。

しかし、物理学におけるエントロピーは神が決めた法則ですが、バランスシートは人間が作り出したシステムであることを忘れるべきではないでしょう。神の法則は変えられませんが、人間の法則は変えられるのです。これは極めて大きな違いです。

バランスシートとは「帳尻を合わせるシステム」です。
帳尻こそがバランスシートのすべてなのです。

バランスシートは帳じりさえ合えば良いので、合わせ方は多数あります。ですから、多くの人々にとって利益をもたらす形で帳じりを合わせることが重要です。帳じりの合わせ方は多くの種類があり、決して一つではありません。財政再建も実は帳じりを合わせる行為に他なりません。そして消費税の増税は、その方法のひとつでしかないのです。経済成長による税増収もあれば、政府通貨や日銀の国債引き受けという方法によっても、帳尻を合わせることは可能なのです。

そして同じ帳じりを合わせる方法であっても、帳尻の合わせ方によっては、経済を衰退させるやり方も、人々の生活を豊かにするやり方もあるのです。人々の生活を豊かにする帳尻の合わせ方こそ、正しい方法でしょう。

人間の作り出したシステムに神の定めた原則論はありません。方法論はその効果によって判断され、時と場所によって柔軟に変化するべきではないかと思うのです。