2019年2月27日水曜日

政権取りたいなら、所得150%UP計画を打ち出せ

野党が本気で政権を取りたいなら、10年で所得150%UP計画を打ち出せ。本当は「新・所得倍増計画」と言いたいところですがw。

さすがに、10年で所得倍増とか言えば、ムチャな目標かも知れませんね。しかし、10年で所得を1.5倍に増やすことが不可能とは思えません。

この場合、年間の名目所得の増加率は4.3%になります。国民の所得の伸びは、大雑把に言えば経済成長率と同じ(三面等価の原則)と考えられますから、経済成長率は4.3%なわけです。

そんなの無理?いえいえ、インフレターゲットの目標値が2%ですから、それを差し引くと、実質成長率は2.3%で良いわけです。これなら不可能とは言えません。そうなれば、10年後に名目所得は50%アップし、実質所得は25%アップです。むしろ「控えめな目標」だと思います。

何しろ、今後10年間で人工知能をはじめとする生産技術が飛躍的に進化すると予想されるからです。つまり、単位資本あたりの物的生産性が大きく増加します。つまり、今までは一つの工場を作れば1時間100個の製品を作れたとすると、人工知能等の自動化によって、一つの工場を作ると、1時間1000個の製品を供給できるかも知れません。

つまり、投資額が増えなくても、供給力が伸び続けるわけです。

まして、中国とアメリカは人工知能の主導権を争っており、両政府が開発に本腰を入れて取り組んでいますから、人工知能は急速に進化するでしょう。一方の日本は、財務省がカネを出さないので、人工知能の代わりに「移民」という人力(産業革命以前の手法)の導入に奔走していますがw。

サプライズなしに、どうして政権など奪取できるというのでしょうか。金融緩和政策によって、デフレ状況から脱却しつつあることは、国民の多くが評価している。しかし、多くの国民の賃金は伸び悩み、生活が向上しているという実感は乏しい。つまり、国民は今の経済に閉塞感を覚えているのです。

この閉塞感を打破するにはサプライズが必要だ。

具体的には、カネを発行して国民に毎月1万円のおカネを配る政策(ヘリコプターマネー)からスタートすればいいでしょう。おカネを配れば確実に所得が上がります(あたりまえですがw)。もちろん、インフレを抑制するために、人力頼みの政策はやめて、テクノロジーの研究開発や投資の促進に舵を切るわけです。

政治はパフォーマンスである。政権取りたいなら、所得150%UP計画をドーンと打ち出すべきでしょう。


2019年2月22日金曜日

日本が財政破綻しない理由

日本が財政破綻しないことは、ネットではほとんど常識になりつつあると思いますが、たまに質問が来るので、簡単に確認しておきましょう。

ただし、財政破綻の定義をしながら話を進めないと、話がややこしくなります。さもないと、ハイパーインフレも財政破綻も同じだと言い出す人が出てきます。破綻とインフレは同じものではありません。なんでもごちゃまぜにして考えると、混乱するだけです。


<財政破綻(資金繰りの破綻)>

財政破綻をネットで検索すると、「財政破綻は、国や地方自治体の資金繰りが行き詰ること」とあります。資金繰りがつまると、財政が継続できなくなり、政府の機能が停止します。これが財政破綻のもっとも単純明快な定義です。

資金繰りとは、おカネの入金と出金(=収支)をうまくバランスさせることです。おカネの調達とも言えます。たとえば、会社が破綻する場合、会社がおカネを十分に調達できなくなって、取引先におカネを支払えなくなります。これが債務不履行です。手形で売買を行なっている場合は、手形が現金に交換できなくなり、これが手形の不渡りになります。そうなると、その会社とは誰も取引してくれなくなるので、活動ができなくなり、倒産します。これが経営破綻です。

ところで、会社の収支が赤字になると、すぐ倒産するかと言えば、必ずしもそうではありません。おカネは借り入れによって調達できるからです。つまり、銀行が会社におカネを貸し続ける限りは、どれほど赤字の会社であっても、倒産することはありません。ただし、慢性的な赤字の会社に銀行はおカネを貸しませんので、いずれ倒産します。

政府も同じで、赤字であっても破綻しませんが、おカネの調達ができなくなると、倒産します。日本の政府も税金による収入が不足した状態にあります。そのため国債を発行し、主に銀行からおカネを借りて資金繰りを行なっています。日本政府は慢性的に赤字ですから、銀行がおカネを貸さなくなるかも知れません。そうなると、普通の会社であれば、間違いなく破綻します。

しかし、政府には日本銀行という銀行があります。民間の銀行が国債を買わなくても、日本銀行が国債を買うことによって、おカネを調達することができます。あるいは、日本国には「通貨発行権」があって、通貨を発行する国民の主権がありますので、政府が500円や100円の硬貨を発行するのと同様に、おカネを発行することで調達できます。つまり、

どんなに赤字でも政府は破綻しない。

原理的には、絶対に破綻しないわけです。ただし、意図的に破綻させることは可能です。つまり、日銀が国債を買うことを禁じる、あるいは、日本国がおカネを発行することを禁じる、といった具合です。


<デフォルト(債務不履行)>

正確に言えば、デフォルトは財政破綻ではありませんが、一般にはデフォルト(債務不履行)が財政破綻という意味で使われます。会社の場合、デフォルトとは、取引先におカネの支払いができなくなることであり、手形が不渡りになることであり、借金が返済できなくなることです。それが原因で、会社は経営破たんします。

政府のデフォルトは、国債の償還ができなくなること、国債の持ち主に、おカネを支払うことができなくなることを一般に指します。デフォルトすると、誰も国債を買ってくれなくなるため、資金繰りができなくなって財政破綻します。つまり、デフォルトは、正確には財政破綻ではなく、財政破綻の原因です。

では、なぜ国債がデフォルトする国があるのかと言えば、その国の国債が外貨建てだからです。

日本の国債はすべて円建てであり、円によっておカネを借りた状態です。この場合は円でおカネを返せばよいわけです。もし、おカネを返済する時点で、政府に税金で集めたおカネが不足していたとしても、足りない分は政府が円通貨を発行して返済することができます。具体的には日銀が円通貨を発行して国債を買い取ります。ちなみに、量的緩和政策を継続して、あらかじめ日銀が国債を全部買い取ってしまえば、デフォルトは起きません。

ですから、日本政府の国債がすべて円建てであることから、意図的にデフォルトさせない限り、国債がデフォルトすることはありません。

ところが、外貨建て国債の場合は事情が異なります。例えば、日本の国債がドル建ての国債である場合です。もし、日本の国債がドル建てだった場合、政府はドルでおカネを借りていることになりますから、返すときにはドルで返さなければなりません。ドルはアメリカの通貨なので、日本政府がドルを発行することはできません。ですから、ドルが不足すると、返済できなくなる場合があります。

もちろん、円を発行して、それを為替市場でドルに交換して支払うことは可能です。しかし、それは日本のように経済規模が大きな先進国だから可能なことです。もし小さな途上国だったら、大量の自国通貨をドルに換えることは難しいです。また、金融危機になると、為替市場では自国通貨が暴落し、ドルを買うことができなくなり、ますますもって返済が不可能になります。金融危機で途上国の国債がデフォルトするのは、そのためです。

さらに言えば、ユーロ圏の国は、もっともデフォルトリスクが高いと言えます。例えばギリシャ。ギリシャの国債はユーロ建てになります。ユーロはギリシャの自国通貨だと思い込んでいる人が多いですが、ユーロはギリシャ政府が発行しているのではなく、どこの国でもない、ヨーロッパ中央銀行が発行しています。

つまり、ギリシャはユーロに加盟することで、通貨を発行する国民の主権を放棄しています。ギリシャはユーロ通貨を発行できませんので、ユーロは自国通貨ではなく外貨と同じです。ですから、ギリシャのユーロ建て国債は事実上の外貨建て国債になります。

そのため、通貨を発行してユーロ国債を返済することはできません。つまり、増税しなければ、即、デフォルトします。そのためギリシャでは容赦ない増税と社会福祉の切捨てが行われ、国民は困窮しています。

以上が、財政破綻しない理由になります。


<ハイパーインフレは財政破綻?>

ところで、「財政破綻を避けるためにおカネを発行すると、ハイパーインフレになるから、ハイパーインフレは財政破綻だ」、と言い出す人がいます。しかし、破綻とインフレは違う現象です。財政破綻とは財政の継続不能であり、ハイパーインフレは物価が暴騰することです。

ですから、財政破綻するか、しないか、といえば、意図的に破綻させない限り、絶対に破綻しません。

もし「財政破綻しない代わりに、ハイパーインフレを引き起こすリスクがある」と指摘するなら、それは正しいでしょう。しかし、通貨を発行して国債を購入しても、必ずしもハイパーインフレを引き起こすとは限りません。インフレは財政と違って、おカネの収支とは別の要因が絡んでいるからです。

実際、日銀の量的緩和によってすでに300兆円以上の国債が買い取られましたが、ハイパーインフレはおろか、2%のインフレすら達成できない状態です。つまり、日銀がカネを発行する=即インフレ、という図式は成り立たないのです。

このことは、通貨制度、需要と供給、あるいは外国との関係などが絡んできますので、簡単ではありません。それは、またの機会に。


2019年2月20日水曜日

インフレそのものが目的ではない

金融緩和の目的がインフレにあると誤解している人が居るようです。しかし、インフレはあくまで結果であって、インフレを引き起こすような経済環境(=好景気)を持続することが目的なのです。

インフレそのものには、何ら良いことはありません。物価が上がらずに好景気になるなら、それに越したことはありません。ですから、インフレそのものを目的とすることは意味がありません。そうではなく、インフレを引き起こすような経済環境(=好景気)を持続的に実現することが、目的になります。

例えば、ヘリコプターマネー。おカネを発行して国民に毎月おカネを支給するとします。すると、国民の購買力が向上し、消費が拡大することによって、市場取引を通じ、物価はインフレ(上昇傾向)になります。この場合は、国民の消費が増大すること(財の分配が増えること)が主目的であって、あくまでもインフレは後から付いてくる現象なのです。

逆に、もしインフレを先に起こしたらどうなるでしょう?例えば消費税を上げるとします。消費税も物価に含まれますので、消費増税は増税した直後にインフレを引き起こします。しかし、価格が上昇すれば、国民の消費が減少します。そのため、国民は貧しくなります。同時に企業の売り上げが減少し、企業利益が減少するために、賃金の引き下げを余儀なくされるでしょう。そして市場では需要が減るため、価格の下落が始まります。

つまりデフレです。一時的に物価を上げたところで、その後は長期的にデフレになってしまいます。それが、2014年の消費増税後の景気低迷です。

ですから、物価が上がればそれで良い、という話ではありません。インフレはあくまでも結果として生じる現象に過ぎません。脱デフレの目的は、国民の購買力を増やし、消費を増加させることにあります。国民の購買力が継続的に増え続けること、それがインフレの条件なのです。

すべての国民の購買力を平等に向上させるには、ヘリコプタマネーが最適でしょう。おカネを国民に配るのです。

アベノミクスで行なわれている金融緩和政策は、国民の購買力を直接引き上げる政策ではありません。あくまでも、企業の借り入れを増やす、あるいは企業の内部留保を投資に回すための政策です。ですから、それが国民の購買力に波及するには時間が必要であり、また効果も非常に薄い。だからこそ、いまだにインフレターゲット2%すら達成できないのです。

いまこそ消費増税を凍結し、通貨を発行し、給付金によって国民の購買力を平等に引き上げる、ヘリコプターマネー政策をただちに推進すべきだと思います。

2019年2月15日金曜日

消費増税による財政再建は無用である

財務省へメールする、「消費増税に反対する意見書」の第3案を作りました。内容は似た部分が多いのですが、形式や内容が微妙にちがいますw。

件名:平成31年度予算の編成等に関する建議への意見

消費増税による財政再建は無用である
その理由

(1)既発行の国債について
日銀がすべて市中から買い取れば良い。これは現在の量的緩和政策をそのまま継続するだけであり、それにより高インフレが発生する恐れは無く、実際、その兆候すら見られない。また、世界的に景気が下降しつつあり、その局面において量的緩和政策の中止は困難であることから、ほぼすべての国債を日銀が買い切る可能性もある。

(2)歳入の不足分について
歳入の不足分はすべて日銀が国債を直接引き受けることで調達できる。不足分は、国債費を除くと平成30年予算で年間およそ15兆円である。これを日銀の引き受けによって賄う。ただし放漫財政によるインフレ率の上昇を抑えるため、引き受け額はインフレターゲットに基づいて調整する。

(3)過度の信用創造への対策について
預金準備率を順次引き上げて100%とし(MS=MB)、法定通貨の発行は市中銀行ではなく、日銀だけが行なうものとする。これにより高インフレのリスクは極めて低くなる。

(補足説明)

(1)既発行の国債を日銀が買い取っても、MBが増加するだけであってMSは直接増加しない。このことから高インフレのリスクは低いと考えられる。金融緩和以後すでに300兆円以上の国債を日銀が買い取っているが、インフレターゲット2%すら達成できていない。それでもリスクを恐れるなら(3)のごとく準備率を100%まで引き上げておくことをお勧めする。

(2)歳入の不足分を日銀の引受で行なった場合、MSも増加する。仮に年間15兆円のMSが増加するとすれば、2018年で計算するとMS(M2)の伸び率はおよそ+1.5%となり、同年の伸び率に加えても+4.4%に過ぎない。これはバブル崩壊前の半分以下の伸びであり、過度にインフレを警戒するのは誤りである。

また、日銀が円通貨を発行すると円通貨の信用が低下するとの指摘は当たらない。もしそれならば、市中銀行が信用創造によって信用通貨(預金)として円通貨を発行している現状は、まさに円通貨の毀損に該当する。しかし円通貨の信用はまったく低下していない。むしろ(3)のごとく、円通貨の発行を日銀に限定することにより、円通貨の信用(=円通貨の総発行量)は安定する。以後も日銀がインタゲに基づいて通貨発行量を調整するので、日銀の独立性は確保される。




2019年2月13日水曜日

政府が日銀に借金(国債)を返さなくても、日銀はちっとも困らない

日銀が量的緩和政策の結果、国債を膨大に保有しています。つまり政府が日銀に膨大な借金をしている「かたち」になっています。では、この借金を政府が返さなかったら、日銀は困るのでしょうか?いえ、ちっとも困らないはずです。

なぜ政府が日銀に借金を返さなくても日銀はちっとも困らないのか?それは、銀行からの借金は、普通の借金とはまるで違うからなのです。

普通の借金の場合、例えば企業や個人から、あなたがおカネを借りるとします。企業や個人がおカネを貸すときは、彼らがあらかじめ所有しているおカネを貸します。だから、企業や個人の金庫からおカネがなくなって、それがあなたに渡されるわけです。この場合、もし、あなたが借りたおカネを返さなければ、貸した企業や個人のおかねが無くなってしまいます。企業や個人は大損害ですね。だから、この借金は返さなきゃならないわけです。

ところが、銀行の借金はまったく違います。銀行がおカネを貸すときは、金庫のカネを貸すのではありません。何も無いところから、ポン、とおカネを発行して、それを貸すのです。それが「信用創造」と呼ばれる行為です。そのようにして生まれるおカネは「信用通貨」と呼ばれ、それが銀行預金に該当します。

日本銀行の場合も、日本銀行が金庫に持っているおカネを貸しているわけではありません。何も無いところから、ポン、と現金を作り出して、それを貸しているのです。貸すといっても、この場合は国債を買うことになります。つまり、何も無いところから、ポン、と現金を発行して、国債を買い取っているのです。それが「量的緩和政策」なのです。実際、日銀がおカネを発行している、と報道されているでしょう?

例えば、あなたがプリンターでおカネを印刷して、それを誰かに貸したとします。そのおカネを、貸した人があなたに返さなかったとしたら、あなたは大損するのでしょうか?しませんね。もともと、何も無いところから印刷しただけですから。金庫の中のおカネを貸すのとは違うのです。

これは日銀の場合もまったく同じです。無からポンと発行したおカネが返済されなくても、「基本的には」困らないわけです。ただし、無からポンと発行したとはいえ、おカネが返済されないと、財務会計上は面倒なことになります。帳簿に穴が開いてしまいます。ですから、借り換えすればよいのです。借り換えとは、借金を返さないのと同じことですね。借り換えする限り、借金を返さなくても、帳簿に穴が開くことはありません。

そして、銀行は貸したカネの「利息」で運営されますので、貸したカネが返済されないことよりも、利息が支払われないことが大問題になります。利息がないと、普通の銀行は倒産してしまいます。だから「借金を返せ(=利息を払え)」となるわけですね。

ところが、日本銀行は政府の機関ですから、そもそも、利益を稼ぎ出す必要はありませんし、財務省や厚生労働省と同じように、税金で運営されて然るべき機関です。つまり、利息が仮にゼロだとしても、税金で運営されるから何の問題もないわけです。日銀は利益を稼ぎ出す機関ではなく、通貨を安定的に供給することにより、日本を維持発展させる機関です。

ですから、政府が日銀に借金を返さなくても、日銀はちっとも困らないのです。未来永劫に借り換えを続ければよい。そして、いま、市中銀行が保有している国債もすべて日銀が買い取ってしまえばどうなるか?すべて、返す必要がなくなるのです。

はい、財政再建は完了しましたw。


2019年2月12日火曜日

ベーシックインカム第4話「財源について」

ベーシックインカムの動画、第4話「財源について」をUPしました。財源と言えば、おカネの収支ばかり問題になりますが、本質的にはおカネの収支よりも「財の供給力」が重要な課題となります。おカネは発行すれば無限に調達できますが、財(モノやサービス)の供給力には限りがあるからです。最も基本的な考え方を説明しました。

https://youtu.be/V4X1rzZFSDE

この動画では、最も基本的なことしか説明しておりませんので、財源についてもう少し説明が必要であれば、サイトもご覧ください。

https://sites.google.com/site/nekodemokeizai/

2019年2月10日日曜日

財政再建に関する意見書の別案

財政制度審議会(財務省)が、財政再建に関して国民の意見を聞くという。「お役人さま」が下々から意見を聞くのは珍しいことだから、是非みなさんも意見して欲しいです。ということで、前回に続いて、意見書の別案を掲載します。


件名:

平成31年度予算の編成等に関する建議への意見

結論:消費税は安定財源ではない、通貨発行(日銀引受)を財源として組み込む必要がある。

1)消費税は安定財源ではない

消費税は、短期的には税収の変動幅が小さいために、安定財源であると誤解されやすいが、長期的にみると税収の減少が避けられないため、安定的ではない。なぜなら、政府から支出される通貨の一部は、必ず貯蓄として退蔵されてしまうからである(循環しなくなる)。その結果として、少子高齢化の如何に関わらず税収が減少し、それを補うためにさらなる消費増税が必要となり、デフレが深刻化し、やがて日本経済を破綻させるまで増税を繰り返す結果となる。そうなってからでは、もはや手遅れである。通貨の退蔵を避けることはできないため、通貨供給が必ず必要となる。

すなわち、通貨を供給し続けなければ税収は長期的に必ず減少する。その一つの例を挙げるならば、バブル期には民間債務の増大による高い通貨の伸び率に支えられて税収は増加したが、その後、バブル崩壊で民間債務の増大が停止すると通貨の伸びが激減し、同時に、税収は低迷することになった。これがいわゆる「ワニの口」の原因である。

2)通貨発行は高インフレを引き起こさない

高インフレを引き起こさない理由は単純明快である。周知のように、銀行保有国債はマネーストックを増加させる。すでに600兆円以上の通貨(マネーストック)が国債発行(銀行保有分)によって供給されているにも関わらず、依然として日本経済がデフレを脱していないからだ。600兆円と言えば、100兆円の国家予算6年分にも匹敵する金額である。これらの通貨は、大企業の剰余金や高額所得者の貯蓄として貯めこまれている。仮に課税するとすれば、彼らに課税するのが筋であって、消費税の増税は的外れである。

3)具体的な政策案

現在の税収に加えて、不足する歳入は通貨の発行によって賄う。通貨の発行については、法改正により日銀引受を可能とし、インフレターゲットの範囲内で、専門機関によって発行量を決定する。ただし放漫財政を避けるために、歳出について厳しい精査が必要であることは言うまでもない。なお、通貨量(マネーストック)が増加すれば、税収も増加する。以上。

2019年2月7日木曜日

平成31年度予算の編成等に関する建議への意見

財政制度等審議会(財務省)が、財政の問題に関して、国民の意見を聞くという。件名は「平成の財政を振り返り、次の新たな時代に向かう意見募集について」である。以下リンク。締め切り4月5日だそうです。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/ikenbosyuu/20190204.html
そちらに、電子メールの送り先アドレスがあります。注意点として、メールの件名は「平成31年度予算の編成等に関する建議への意見」にしなければなりません。文字数は1000文字まで。

なお、ご参考までに、自分が送ろうと思っている意見書を以下に掲載します。もっとボロクソに財務省を批判したかったのですが、抑えましたw。これ以外にも、幾つか意見書の参考例を後日掲載したいと思いますので、ご参考にしていただき、是非、財務省に「厳しい意見」をお送りいただきたいと思います。

件名:

平成31年度予算の編成等に関する建議への意見

結論:

プライマリーバランスを即時中止し、インフレターゲットに一本化すべし

平成の財政における問題点:

財政問題を「単なる政府の負債の問題である」と捉えると判断を誤る。通貨をどのように供給するかという点において、今は時代の転換点にあるからだ。同建議に限らず、政府の財政に関する検討には、こうした視点(マクロ視点)が決定的に欠落している。

これまでは民間企業などが銀行から負債を負うことで世の中に通貨を供給してきたが、これは経済が成長するほど、民間負債が無限に膨張する仕組みである。逆に言えば、民間企業などが銀行から負債を負うことを避けるようになれば、通貨の供給が伸び悩み、必然的にデフレ不況を引き起こすことになる。非常に不安定な仕組みであるといわざるを得ない。仮に民間の負債が伸びない場合、世の中に通貨を供給するためには、政府が銀行から負債を負う以外に通貨を供給する手段がない。これが今日の膨大な国債発行の一因である。

景気を維持する上において、通貨を一定以上の割合で供給し続ける必要があることは、日本の過去におけるマネーストックの伸び率とGDP伸び率、税収、賃金などの推移を見れば明白であろう。先進各国の利子率は低下しており、均衡金利はマイナスとも言われる。一方で金利を引き下げると(金融緩和政策に依存すると)資産バブルを引き起こし易い。ゆえに通貨の供給を民間部門の借り入れに依存することは難しい時代になった。すなわち政府部門が負債を増やし続ける必要がある、あるいは、負債によって通貨を供給する現在の通貨制度の抜本的な改革が求められる。

具体的な政策案:

国債は新規・既発ともにすべて日銀が買い入れる。これにより財政再建は事実上完了し、プライマリーバランスを考慮する必要もなくなる。一方、国債発行は事実上の通貨供給であるため、経済・物価の安定化のためにインフレターゲットが重要になる。準備率を順次引き上げることで過度なインフレを防止する。通貨政策は、政府・日銀が金利に介入する金利政策に代わって、財政支出および税によって市中の通貨量を調整する(準k%ルール)。金利はあくまで市場が決めるものとする。これにより財政政策と金融政策は統合され、金利調整の難解さを廃して国民にも理解が容易な経済政策となる。以上。

2019年2月5日火曜日

正しい反グローバリズム

グローバリズムに反対する声が世界でも日本でも広がりつつあることは、非常に明るい話題です。しかし、単にグローバリズムを否定することが、正しい反グローバリズムではないと思います。

私は、グローバリズムのすべてが悪いとは考えていません。交通機関が発達し、インターネットが普及し、世界の人々が交流するようになるのは必然的な流れだし、相互に影響したり、相互に協力することで、それぞれの国、それぞれの地域の人たちの生活が豊かになる、幸福度が増すことは良いことです。

あるいは、地球規模で進行している環境破壊、地球温暖化の問題、あるいは、地球に地域的に偏在して存在する資源の利用について、爆発的に増加する人口問題、こうした課題はグローバルに世界が協力して取り組まねば解決は難しいでしょう。

こうした分野におけるグローバリズムについては、何も反対する理由はありません。どんどんグローバルな交流や協力を推し進めるべきなのです。

問題は、「いわゆるグローバリズム」が「拝金主義」であることにあります。美しい理想とは裏腹に、実際には資本主義むき出しの、金儲けのためにグローバリズムが利用されています。もちろん、これらを推進する人々は「金儲けのため」なんて、なまなましいことは言いませんw。当たり前ですね。美しい理想を語ります。しかし、実際にやっていることは「金儲け」であり、カネさえ儲かればよいとする「拝金主義」なのです。

だからこそ、理論的にはすべての人々に恩恵をもたらすはずのグローバリスムが、一部の富裕層、大企業の幹部や社員だけにもたらされる結果となっているわけです。つまり、今のグローバリズムは「拝金主義グローバリズム」であり、いわば「悪いグローバリズム」なのです。反グローバリズムは、この「拝金主義の、悪いグローバリズムを叩き潰す」運動でなければならないと思います。

とはいえ、何十年もかけて徐々にグローバルな経済システムが世界各国の経済システムに取り込まれてきたため、これを、たかだか1年や2年でひっくり返すことは現実的ではありません。混乱を招き、逆に人々を苦しめる事態になりかねないのです。つまり修正にも時間が必要です。

グローバリズムが間違いであったとしても、感情的になって、国内の外国人を攻撃したり、ヘイトスピーチを行なう、あるいは、自国が大切とはいえ、他の国を無視した形で、無理矢理に自国第一主義をごり押ししたのでは、混乱を招くだけで、人々の生活にとって逆効果です。

こうした状況にあって優先すべきは、拝金主義グローバリズムの毒を軽減する政策を検討して早急に実行する必要ことだと思われます。グローバルな拝金主義のシステムは、時間をかけて修正しなければならないでしょう。

①分配を強化する

グローバリズムの恩恵は、グローバル大企業とその株主、経営者、社員などに限られ、多くの庶民に恩恵はありません。関税撤廃で輸入品が安くなったところで、大多数の人は所得が増えないのですから意味がないのです。貨幣を広く分配することによって、初めて、グローバリズムによる恩恵がすべての人に行き渡るわけです。分配の強化はグローバル化において「必須」と言えます。その一つの方法として、ベーシックインカムのような、継続的な国民への給付金(配当金)が必要だと思います。

②移民を厳しく制限する

移民も拝金主義そのものです。なぜ拝金主義者が移民を推進するかと言えば、「安い労働力が欲しいから」です。その結果、国内の労働市場において賃金が低下したり、失業が増加するのです。さらに、移民の多くは「カネが欲しいから日本に来る」つまり拝金主義的な移民です。そうした移民にとっては、日本も日本人も「カネのために付き合うだけ」の存在です。それが、国内に「もともと、なかった軋轢」を持ち込むことになります。これは、本来あるべき移民の姿ではありません。もちろん、すでに述べたように、すでに日本で生活している外国人を排除しろという話ではありません。

③途上国への支援強化と共生社会

移民問題を真に解決する方法は、移民を受け入れることではなく、移民元である途上国を豊かな国にすることです。自国を捨てて外国に逃げ出した移民だけを幸福にするのは、不公平です。途上国の人々は、すべて豊かになる権利があるし、それを先進国が手助けすべきなのです。一方、先進国は資源が乏しいが資本や技術があり、途上国は資源はあるが、資本や技術に乏しい。それを、資本主義的なカネ儲けや、搾取・被搾取の関係ではなく、もっと理性的な互恵的なやりかたで、持続可能な形で、交換するといった協力関係を構築すべきだと思うのです。そして世界が同時に豊かな未来に向かって前進する。

それが正しい反グローバリズム運動でしょう。

以前の著作になりますが、拝金主義グローバリズムについて書いた電子著作がありますので、もしご興味があれば、ご覧ください。

拝金主義グローバリズム
http://www.amazon.co.jp/dp/B01MG2QZA0


2019年2月1日金曜日

生産活動よりもおカネが先に立つ

生産活動よりもおカネが先に立つ。つまり、おカネが先にあれば、生産活動が活発化するのです。なぜなら「カネが欲しいから、人間は働く」のです。馬の鼻先にニンジン。

簡単に考えましょう。商品となるモノが何もない状態、例えば、農地があるだけだとします。そこに労働者がいます。おカネを発行して、この労働者に「農地を耕してイモを作ってくれたら、このおカネをあげる」と言います。すると労働者は必死に働いて、イモを生産します。

つまり、イモが先にあるのではなく、先におカネがあるわけです。おカネが欲しいがために労働者は働き、その結果、イモが生産されるわけです。これは企業でも同じです。カネがあれば、そのカネが欲しいから企業が活動して財を生産し、販売し、カネを得るわけです。

ですから、生産活動を活発にするには、カネが先にあることは有効です。政府が「カネを発行して国民に配る」と言えば、そのカネが欲しいと多くの企業は考え、新しい商品を開発し、生産し、市場に投入します。つまり「需要を見込んで生産が活発化する」わけです。

消費税の増税は、これの逆ですね。政府が「消費税を増税する」と言えば、国民の購買力が無くなると企業は考え、コストを抑制して、生産を縮小し、在庫の増加に備えます。「景気後退を見込んで生産を縮小する」わけです。

ちょっと考えれば小学生でもわかると思います。しかし、マスコミは、こんな単純な話も理解できません。むしろ「金利がー」「国債暴落がー」など、わざわざ国民が理解できないような話を持ち出して、騒いでいます。国民がだれも理解できなくても、とりあえず、大学の教授でも出しておけば信じるだろう、てなもんですw。

経済やおカネの本質的な仕組みは、そもそも簡単なはずですが、それをわざわざ難しく解釈して、理解の難しいように説明し、そこに大学教授を連れて来て、その後光によって自らの主張を信じ込ませる、というパターンを繰り返しています。

景気を回復するのも基本は簡単です。ニンジンを馬の鼻先にぶら下げて走らせればいいわけです。そして走ったらニンジンを食わせてやる。ところが、今の政府や財務省は馬のしりをムチでビシビシ叩いて走らせようとするものですから、馬は欲求不満になるし、馬の体力も低下しますね。それで、馬の潜在成長力が低い、なんてしたり顔で言うのですから、呆れてしまいます。

潜在成長力を引き出すには、馬の鼻先にニンジンをぶら下げないとだめなんですよ。生産活動を活発化する方法なんか簡単です。まず必要なのは、馬の鼻先にぶら下げる「カネ」です。