2018年9月9日日曜日

災害不況の防止にヘリコプターマネー

広島・兵庫の豪雨、台風21号、そして地震。災害が多発する日本。災害が招く不況を防止するため、通貨を発行して被災者に給付すべきでしょう。

広範囲の災害は不況を招く恐れがあります。例えば台風や豪雨などで農家が大きな損害を被るとどうなるでしょうか。農家は農作物による収入が減り、また被害の復旧のために費用が必要となるため、購買力が低下してしまいます。

あるいは、家計においても、住宅の浸水、損壊などを修復するために多額の費用が必要とされるため、購買力が低下してしまいます。すると、住宅の修理の需要は増大するものの、それ以外の消費(衣料、家具、家電、趣味娯楽など)は減ってしまいます。

これらの財は災害のいかんにかかわらず、世の中に供給されているわけですから、これらが人々に行き渡る必要がありますし、そうでなければ、それらを生産している企業の売り上げが減少して収益が悪化し、家計に支払われる賃金の伸び、あるいは企業の設備投資に悪影響を及ぼすことになります。つまり、おカネの循環を維持する必要があると考えられるわけです。

そのばあい、通貨を発行して被災者に給付する「ヘリコプターマネー」が有効であると考えられます。財務省などは通貨発行ではなく、これを「増税」で賄おうとするでしょうが、それは意味がありません。なぜなら、増税によって被災者におカネを給付すれば、被災者の購買力は維持されるものの、それ以外の消費者の購買力が損なわれてしまうため、経済全体としてみれば、購買力が低下することになるからです。

経済全体の購買力を維持するためには、増税することなく、被災者に給付金を支給する必要があります。それはヘリマネによって可能です。過度のインフレを心配する必要はまったくないと言えるでしょう。なぜなら、衣料、家具、家電、趣味娯楽など多くの商品の供給力は、被災前とほとんど同じように確保されているからです。

もちろん、農地が被害を受ければ食品の価格そのものは値上がりするでしょうが、それは農産物の供給が不足するからであり、それはヘリマネを実施しようが、実施しまいが、同じことです。どのみち、供給を増やす以外に、農産物の値上がりを防ぐことはできません。

それよりも、被災の悪影響が他の産業全体に波状に広がる事態を防ぐことが重要だと思われます。そのためにヘリマネは有効です。仮にそれによって社会全体のインフレ率が多少上昇したところで、これはいわゆる「インフレ税」に該当するものであり、広く薄く、社会全体で負担することになるわけです。

もちろん、通貨発行をなぜか必死になって阻止しようとする人々が居ることも確かです。そうした場合は、国債によって通貨発行を行っても同じ効果があります。それらの国債は日銀が引き受けることにより、その後の経済状況を見ながら柔軟に国債の償還(税金による世の中からの通貨回収)を行なうことができるはずです。

テクニカルな方法はいろいろあるでしょう。が、基本的な考えは、災害の悪影響が経済全体に波及することが無いように、被災者におカネを給付する政策を積極的に行なうべきというものです。