2016年6月30日木曜日

共産党は「共産主義」を捨てた方が良い

共産党はいますぐ「共産主義」を捨てた方が良いと思います。それは、共産社会が非現実的だと感じるからではありません。それどころか、自分は「未来社会は共産社会になる」と考えています。

未来にロボットとAIによって人間の労働が極端に減った世界では、自動的に財がどんどん生産されてきますから、共産社会のような分配社会~必要に応じて分配する社会~でないと成り立たなくなると考えているのです。もちろんそれを共産社会と呼ぶかどうかはわかりませんが、おそらく実質的に同じではないかと思われます。

いわゆる共産主義思想は「政治を共産主義にすれば共産社会が実現される」と考えるでしょう。しかし、政治体制を「共産主義」にしたところで共産社会は実現しないと思います。すでにソビエトと中国で結論が出ています。共産主義の経済システムは共産社会を実現する前に破綻します。

しかも、彼らの主張する、反米、親中、反自衛隊、天皇制廃止、憲法改正阻止などが、どのようにして共産社会の実現に関係するのかまったく不明です。それは単に冷戦時代のイデオロギーを盲目的に引き摺っているか、あるいは中国による世界支配を支援していることにしか思えません。

イデオロギーは無意味です。

共産社会が成立する条件は、非常に高い技術力と生産力によって、人間の労働が極度に減った時に初めて整うはずだからです。

最も重要なのは、現在進行中の生産力の飛躍的な増大を経済システムの変革にどう生かすかです。こうした変革は突然に革命的に生じるのではなく、技術の進化に合わせてシームレスに訪れるのであって、しかも前進、後退があり、一筋縄ではいかないでしょう。革命思想でいきなり180度変わる共産主義はアプローチの方法が根本的に間違っていると思います。時代錯誤です。

共産党が共産主義を捨て、未来の経済システムと現在の資本主義のシステムをつなぐ実現可能な道筋を示せない限り、本当に共産社会を目指す政党にはなれないと思います。

むしろ、別の政党がその役割を担うことになると思います。

2016年6月28日火曜日

英EU離脱 金融依存の脱却カギか

英国のEU離脱は、英国の自主・独立性を高める上で画期的な判断でした。とはいえ、すでに長年のグローバル化によって、英国の経済は「依存体質」に変化しており、他国に依存しなければ経済が成り立たない状況に陥っていると考えられます。

英国の経済が「金融依存体質」になっていることが、それを示したていると思われます。英国は貿易赤字の国です。輸出より輸入の方がはるかに大きいのです。ギリシャのような国では、貿易赤字を続けていると、そのうち破綻してしまいます。しかし英国は金融街シティを有する金融の国ですから事情が異なります。

つまり、英国は外国にカネを貸し(融資、投資)、その金利収入を得て、そのおカネで外国の生産した製品を輸入して生活していると言えるでしょう。ですから、貿易赤字を継続しても破綻はしません。しかし、収入も生産も外国に依存することになりますから、外国なしには生活財が潤沢に手に入れられません。もちろん、それは極端な話であって、英国の製造業がまるでダメということではありません。金融に依存する傾向があるということです。

このような金融依存体質の英国にとって、実はグローバリズムは大変に都合が良かったと思われます。何しろ収入も生産も外国に依存するのですから、モノやカネが国境を超える際のコストはゼロの方が良いのです。そして、今までの英国はグローバリズムだったからこそ、金融に依存する体質を維持できたと思います。

英国がEUから離脱し、自主・独立を進めるなら、当然ですが金融依存の経済構造の見直しを迫られるものと思われます。つまり、自分たちの生活に必要な財の生産は自分たちで行い、おカネを自分たちの国できっちり回してゆく。現在の、いや、少し前の日本のような、貿易依存度の低い、内需の大きな、モノづくりのしっかりできる国にならなければならないと思われます。もちろん、貿易が不要という話ではありません。そういう方向性が必要だということです。

金融依存からの脱却は可能なのか?
それがEU離脱後の英国の行方を決めるような気がします。

2016年6月27日月曜日

どんな公約なら民進党を支持するか

自分は民進党をボロクソに批判しますが、民進党が嫌いなのではなく、政策がダメだから批判しているだけです。安倍政権より政策が良ければ、当然ながら明日からでも民進党を支持しますが、今の公約ではまるでダメ。

今回も英国EU離脱を受けて岡田代表が「内需中心の経済へ転換すべき」と言ってます。一般論では確かにその通りなのですが、民進党の具体政策ではそれが実現しそうにない。まるで見えない。

人への投資と言っても公共事業からの予算の振り替えで対応するのでは、総額として財政支出拡大にならないし、自給1000円に法律を改正したところで、貧困層の対策でしかなく、意味はあるが経済の押し上げ効果は薄い。特に金融緩和を強化するでもないし、減税も給付金もない。おカネを回さないでどうやって経済を押し上げるのか?内需拡大の掛け声だけで回復するなら、そんな楽な話はない。

では、どんな政策だったら民進党を支持するのか。

第一段階
・ヘリコプターマネーの実施
・消費税増税の凍結

通貨発行による、毎月国民一人3万円の給付金支給を実施(子供も含む)。インフレの状況を見ながら半期ごとに金額を見直し、インフレ2%を6か月超えるようなら打ち切る。2%を下回れば再開する。

これにより国内消費が増加し、景気回復と税収の増加が見込める。インタゲの達成も可能となり、量的緩和の効果が同時に得られる。マネーストックを直接増やすので、円安への効果も量的緩和よりはるかに強いと思われます。

第二段階
・金融資産課税1%による財政再建
・フロー課税による社会保障財源

インフレ率が安定して2%を超えるようになったら、税制改革を行う。財政再建はストックへの課税(金融資産課税)で行うものとする。社会保障の財源を消費税に限定せず、フローへの課税(所得税・法人税・消費税)全体で行う。その方が理に適っている。財政再建の財源を金融資産課税に限定することで、フローの負荷が減り、これで社会保障の財源は盤石となる。

他にもいっぱいあるけど、とりあえずこれだけで良い。
自民党は絶対にやらない(できない)政策だから。


リンクまわりを更新しました

本ブログの左側サイドバーの更新を放置していましたが、リンク切れを修正し、新たにリンクを追加するなど更新しました。本編サイトは参考記事へのリンクがあまり無い(ページレイアウトの関係上)ので、こちらで充実しようかと考えています。リンクについては、今後も追加していく予定です。

2016年6月26日日曜日

EUの崩壊を防ぐには緊縮を止めるべき

英国のEU離脱が決まったが、人々が不満を抱えているのは英国だけではない。EUの屋台骨であるフランスはもちろん、イタリア、スペイン、ギリシャなどでも不満は高まっているらしい。そしてイタリアではユーロに懐疑的な党派のローマ市長が選出されるなど、その不満は政治に影響を及ぼしつつある。

英国の離脱を受けて、これから開始される英国の離脱交渉に対して、他のEU加盟国の離脱を押さえるため、EUが意図的に英国に厳しい対応~事実上の制裁を意味する~を取るのではないかとの予測もある。しかし、もし本当にそのようなことが行われるとすれば、トンデモナイ事態だ。抜けたらどうなるか「見せしめにする」ということを意味するだからだ。

EUが「鞭で統制を図る」のであれば、ファシズムのようなものだ。もし、EUが本当に崩壊を防ぎたいのであれば、EUが人々を幸福にしていないという現実を真摯に反省し、改革を行う必要があるはずだ。EU域内の国々の失業を早期に改善し、生活水準を高めなければならない。そのために必要な生産力を欧州はすでに十分に持っているはずだ。そうであれば、あとは如何にして「おカネを回すか」だ。

となると最大の問題となるのが「財政均衡主義」だろう。なかでもドイツは財政均衡に固執しており、これがECB(欧州中央銀行)にも影響を及ぼしている。EUの中でもユーロ圏に加盟する国々は、通貨発行権を喪失しており、通貨供給はECBに独占された状態にある。各国の経済状況が異なるなかで、ドイツの思案で通貨供給がコントロールされるのは問題があると言えるだろう。

こんなことを続ければ、EU域内の人々の不満はさらに高まり、ヨーロッパの分断がますます現実のものになるに違いない。それを鞭でしばいて統制するのか、あるいは思い切った財政政策や金融政策でEU経済を活性化し、人々への富の分配をすすめるのか。

いずれにしろ、「カネを握っている連中」によって、EUの今後の運命が決められることは間違いないでしょう。

2016年6月25日土曜日

英国EU離脱は快挙 正念場はこれから

EU離脱によって、資本(マネー)による政治支配から英国民が民族の主権を取り戻したことは快挙です。恐らく無理だと思ってましたからね。しかしそれほどまでに資本の支配(=グローバリズム)の偽善に多くの人が気付き始めたのだと思います。

グローバリズムは資本(マネー)が主導する世界統合であり、その目的は利潤、つまり資本収益率の最大化にあるわけです。資本収益の最大化が幸福という、いわば拝金主義経済圏。もちろん、20世紀までのように、社会の生産力が十分ではなく、財の不足しがちな時代にあっては、それはある程度の成果をあげたと考えて間違いないでしょう。

しかし、現在、世界は生産過剰に陥り、しかも、ロボットや人工知能の急激な進歩によって、さらに生産過剰は進むものと思われます。そうした時代にあって、関税自主権を放棄したボーダレスな自由貿易と通貨発行権の喪失は、国家間の分業や相補関係ではなく、競合関係を強めるだけの状況になりつつあります。どの国も「オレの国の商品を買え」と押し売りする。

そして、競争に負けて輸入超過を続けた国は破綻し、すべてむしられる。それが例えばギリシャのようなユーロ圏の実態です。

こうしたグローバリズムから英国が離脱したことは、歴史的な快挙です。とはいえ、正念場はこれからです。離脱すればそれだけで万事がうまくいくわけではないからです。グローバリズムが成立しない新たな時代には、新たな経済の仕組みを作り出す必要があると思われるからです。もしそれができなければ、状況は今よりも悪化する恐れすらあると思います。いままでの常識は通用しないでしょう。

そのためには、英国はグローバリズムに頭が固まった現内閣ではなく、分離派の議員や識者を中心とする新たな政府を立ち上げる必要があるはずです。幸いにしてキャメロン首相が辞意を表明しました。単にグローバル化以前に戻すのではなく、時代の変化を見据えた常識を覆す思い切った政策に期待したいです。

2016年6月24日金曜日

中国海軍の尖閣侵入への対抗策

最近になって中国海軍が尖閣諸島の接続水域への侵入を繰り返すようになった。日本は南沙諸島における中国の行動を批判はするが、挑発的な行動は慎んできた。にもかかわらず、中国は一方的に行動をエスカレートさせてきている。

中国が行動を一方的にエスカレートさせるなら、これに対応せざるを得ないだろう。中国が行動で示すなら、日本も行動で示すのが道理だ。そこで、中国政府に対して次のような警告を行うべきだと考える。

中国への警告:もし、中国海軍がこれ以上、尖閣諸島周辺において挑発行動を行う場合は、

1)中国海軍が日本の尖閣諸島に接近すると同様に、南沙諸島の中国が主張する埋め立て環礁において、護衛艦による航行の自由作戦を実施する。

2)さらに挑発を継続する場合は、中国が南沙諸島を軍事基地化するのと同様に、日本の尖閣諸島を軍事基地化する。軍港およびミサイル基地を建設し、迎撃ミサイルを配備する。

3)以上の警告を無視した場合、それらを1,2の順に実行する。

中国が先にやったのだから、
日本が同様の行動を行うのはあまりに当然である。
中国が止めれば日本も止める。それだけのこと。

2016年6月23日木曜日

利潤とは付加価値ではなく希少性

付加価値という言葉があります。労働して付加価値を生み出すといいます。すると、付加価値を生み出すことが経済の本質であって、付加価値によって利潤が生まれる様な錯覚を覚えます。しかし付加価値=利潤ではありません。市場経済における利潤は希少性が生み出すからです。

もちろん、希少であっても需要のない財は利潤を生みだしません。しかし、どれほど有用で需要が大きい財であっても、希少性が低いと利潤はわずかです。どれほど有用で需要が大きい財であっても、量産すれば市場価格が下落して赤字となり、生産者に不幸をもたらします。多く作ってはいけないのです。

それを如実に示しているのが、最近の「資源安」です。石油も鉄鉱石も非常に有用な資源です。しかし、市場経済においては、どれほど有用な資源であっても量が多ければ、それだけで価値を失います。付加価値という考えは幻想に過ぎないわけです。

逆に言えば、生産調整、買い占めによって財の供給量を減らせば、いくらでも利潤を増やすことができます。これを付加価値と呼ぶに相応しいのか。これによってカネを稼ぐことは、はたして社会に貢献することなのか。マスコミが最近安易に使いはじめた「稼ぐ力」という言葉は何を意味するのか。

有用なものが多く生産され、溢れるほどに財が供給されれば、社会は豊かで幸福になるはずだと誰もが思うのですが、実際には豊かになるほど希少性が失われ、利潤が減り、投資が減って貯蓄ばかりが増え、経済がマヒするようになる。ポスト資本主義は、この問題の解決を求められていると思います。

2016年6月22日水曜日

金融資産の減少で消費が減る?

家計の金融資産はおよそ1700兆円あるのですが、そういえば先日の読売新聞を読んでいたら、それが少し減ったと大騒ぎしていました。減ったと言ってもわずかです。それなのに「すわ、消費への影響ガー」と言う論調。思わず苦笑してしまいました。

というのも、そもそも新聞マスコミ御用学者の狙っている「消費税増税」をすれば、家計の金融資産が減少するのが明らかだからです。それを棚に上げて金融資産が減ったと大騒ぎしているのですw。

そもそも、政府の負債を減らすには、政府以外の部門の資産を減らすか、政府以外の部門の負債を増やすしか方法はありません。これはバランスシートの性質上、避けられません。となれば、家計部門の金融資産が減る可能性が高い。

なぜか。企業部門は法人税を減税するといってるので、企業の資産は減らない。借り入れも増やそうとしないので負債も増えない。海外部門は、ドイツのように巨額の貿易黒字で周辺国からカネを巻き上げればよいが、それでは顰蹙です。基本的に貿易は均衡と考えるべきでしょう。

そんなことは、経済記事に携わる程度の知識があれば、容易にわかるはずです。

財政再建すれば家計の金融資産は大きく減ります。それでも、なお家計の金融資産を増やしたいと思うなら、企業が膨大な借金をするしか方法はないのですが、それもわからんのでしょうね。新聞のレベルの低さには絶望しました。

ちなみに、新聞マスコミ御用学者から「家計の金融資産が減ると国債を買うおカネが無くなるー、大変だー」という話が出てくるのですが、これも知識が足りない。国債は家計の預金で買うのではなく、マネタリーベースに依存して発行されるのです。日銀の量的緩和でマネタリーベースははち切れそうなほどあります。

つまり、買うおカネが無くなるのではなく、銀行の買う気が無くなれば、それが国債の民間消費の限界という話です。

注)新聞マスコミ御用学者=新聞とマスコミと御用学者をまとめた造語w。



2016年6月21日火曜日

中国軍いる限り米軍追い出しは不可能

沖縄から米軍を負い出すと主張するのは結構です。そもそも日本は日本の軍隊が守らねばならない。しかし、現状、中国が日本をはるかに上回る軍事大国になって、しかも毎年二桁に達する軍備拡張路線をひた走る限り、日本から米軍を追い出すなどあり得ない。どれほど反対しても、絶対に追い出せないのが現実です。

逆に言えば、中国軍の脅威がなくなれば、たとえば、中国の軍事費が少なくとも日本と同じレベルにまで低下し、尖閣諸島や南沙諸島などにおける、領土的覇権主義の露骨な行動を行わなくなれば、米軍に日本から去っていただくことは可能なわけです。

ですから、本当の意味で「米軍を追い出す」なら、中国軍を追い出さない限り絶対に不可能です。もちろん中国軍を追い出すのは簡単なことではありません。しかし、米軍を追い出すのも同じくらいに簡単ではありません。どちらも日本だけの問題ではないからです。なら、両方とも同じように行うべきでしょう。ですから、「米軍を追い出す」というスローガンと同時に「中国軍を追い出す」というスローガンを同時に打ち出すなら本物です。

両方とも出て行け。
そういう主張なら、支持します。

2016年6月20日月曜日

未来社会にグローバリズムは無用

現在は当たり前と思われているグローバリズムですが、未来の世界ではこのグローバリズムが不要な社会が到来すると考えています。その理由はリサイクルと自然エネルギーそして生産の高度な技術的進歩です。

グローバリズムの起源はかなり古く、帝国主義の時代に遡ると思われます。自国に資源の少なかった欧州は、多くの資源を海外から調達するようになりました。こうして列強による植民地支配が確立されていったわけです。自国で調達できなければ輸入するしかありません。そして未だに先進諸国は天然資源、エネルギー資源を海外に依存せざるを得ず、それが今日に至ってもグローバル経済の必要な大きな理由となっていると考えられます。

しかし、リサイクルと自然エネルギー技術が飛躍的に向上すれば、資源を輸入する必要が無くなります。省エネルギー、省資源化や代替え資源によって、必要な希少資源の量も減少します。現在ある資源を永久に繰り返し使えるなら、そして自国でエネルギーを賄えるなら、果たしてグローバリズムによって海外から資源を輸入し続ける必要はあるのでしょうか。

また、生産技術の飛躍的向上は、どこの国でも同じ製品を作り出すことを可能にします。卑近な例で言えば、3Dプリンタです。こうなると、海外から財を輸入する必要はまったくなく、製品は電子データのやり取りだけで終わるのです(もちろん地域の特産品、ハンドメイドの美術工芸品など特殊なものは例外ですが、ほとんどの量産品は輸入を必要としなくなる)。

輸入しなければならない資源も財もないのに、それでも輸出して何を得ようと言うのでしょうか?

もちろん、金融のグローバリズムを必死に守ろうとする人々が最後まで残ると思われます。カネという麻薬に憑りつかれた人々が、未来においてもなおカネを求め続け、カネを増やすために実体経済に悪影響を及ぼし続ける可能性はあると思います。

2016年6月17日金曜日

ベーシックインカム 今は無理でも将来は?

スイスでベーシックインカム(BI)導入に対する賛否が国民投票で実施され、日本国内でも報道され、BIに多少は関心を持つ人が増えたかもしれません。しかしBIに賛成、反対という話はありますが、では将来的にどうなのか?という話はほとんど聞いたことがありません。

BIとは、すべての国民に対して生活に必要最低限度の所得(たとえば生活保護費なみの毎月15万円)を無条件で支給する考え方だとされます。現状、BIに関しては否定的な人が多いようです。明日からいきなり毎月15万円をすべての国民に給付するなど、あまりに唐突という印象が強いですから。私も明日からいきなりBIを満額15万円スタートすることには反対の立場です。社会に対する影響が読み切れないからです。

しかし、将来的にはどうなのでしょうか。反対論者の人たちは、はたして、将来的にはBIを実施すべきと考えているのか、あるいはBIを未来永劫に実施すべきではないと考えているのか。そういった話はあまり聞きません。議論は「今やるか、やらないか」だけです。

もし、現在すぐにBIを実施するのは無理だとしても、将来的に生産の自動化がすすめば可能だと考える人が多ければ、BIを一つの目指すべき未来ビジョンとして描くことができるようになります。そして、多くの人が興味を示せば、現実的な方法論がどんどん検討されるようになるでしょう。

そして、BIの経済学的な根拠が生産の自動化にあるのだとすれば、ロボットや人工知能が急速に発達しつつある今でも10%くらいのBIを支給しても何ら不思議はありません。

ところが、ベーシックインカムという言葉は「最低限の生活を保障するだけの金額でなければならない」と思われています。この言葉通りであれば、「少額のベーシックインカム」という考えはあり得ません。しかし、自分はそもそもBIを社会保障とは無関係な「給付金」と考えています。なので、毎月2~3万円でもベーシックインカムであると考えています。もとよりベーシックインカムではなく「基礎給付金」が必要であるとの考えです。

実現可能かつ社会に混乱をもたらさない範囲の金額で「基礎給付金」をすべての国民に支給し、それを何年もかけて徐々に増額すれば、将来的にはそれがいわゆるベーシックインカムになるはずです。名称などどうでも良いでしょう。

ベーシックインカムに反対の人でも、こうした現実に即した方法論を提示すれば、より多くの人の賛同を得られる気がします。まして、今の日本、実質賃金も消費も伸び悩み、円高で企業業績が冴えず、インフレ率が低下してデフレに逆戻ししそうな状況であるわけです。いまこそ、少額の基礎給付金を実施する絶好のタイミングだと思われます。その手法の一つがヘリコプターマネーであるわけです。

2016年6月16日木曜日

近年で最も面白くない国政選挙になりそう

参議院選挙が近づいてきました。そろそろ各政党のマニフェスト(公約)が出そろったようです。まだ読んでいませんが、ニュース報道を見る限り、サプライズも何もない、極めてつまらない選挙になりそうな予感です。

自民党は相変わらずですが、野党も相変わらず。アベ政治の暴走を許さないのは良いが、では新しいビジョンを感じさせるような政策を打ち出したかと言えば、ニュースを見る限り何もなかった。もし「政治に奇策はない」などと野党が自己弁護するのなら、革新政党としての存在意義はない。

公約・マニフェストには、短期的に実施する政策だけを書けばよいのではない。そんなものはビジョンでもなんでもない。企業経営で示されるロードマップ、マイルストーンのような説明が必要でしょう。政権を取ったら、1年以内、3年以内、10年以内の目標が見渡せなければ意味がないです。

そのためには、経済運営、つまり長期的なマクロ政策が極めて重要です。そのうえで、短期的なミクロ政策が生きてくる。

もちろん、スローガンの羅列は論外ですし、また逆に、すぐに実行可能な公約だけでは、官報と同じレベル。

と思うのですが、ニュース報道を見る限り各党の公約からはそれらを感じられませんでした。これから時間を見て公約に目をとおしてみるつもりですが、今回の参議院選挙は近年で最も面白くない国政選挙になりそうな気がします。

2016年6月15日水曜日

脱長時間残業と脱時間給を混同するな

読売新聞の社説を読んでいたら、さらっと変なことが書いてありました。長時間残業を解消すべきだと主張した後、長時間労働を抑制するために労働基準法の改正~残業代ゼロ法~が必要と、話を持ち出しましたw。

この強引な流れにさすがに呆れましたが、これに騙される人はいるでしょうね。しかし、脱長時間残業と脱時間給はまったく別ですし、何の関連性もありません。都合の良い解釈にすぎないのです。

確かに長時間残業の残業時間を減らすのは非常に重要です。そもそも一日8時間労働が基本ですから。労働衛生の観点から残業を減らすのは当然です。しかも、残業を減らせばその分だけ企業は労働力が不足しますから、その分だけ多くの労働者を雇用する必要が生じるため、失業者が減ります。完全雇用になれば、労働市場で賃金が増加を始めます。

とはいえ、残業をしたなら、残業代を払うのがあたりまえ。労使関係では残業はあくまで「会社の指示で行う」ことになっているはずです(少なくとも建前は)。ところが脱時間給では長時間残業しても残業代は払わないのです。

残業代を払わなくなれば、残業する労働者が減るというが、それは机上論です。なぜなら、残業しなければ終わらないほどの仕事を会社が労働者へ課すなら、残業代がゼロでも働かざるを得ないし、しかも賃金を払わずに働かせても違法にならない。これは合法的にサービス残業や幽霊社員を増やすための方法でしかありません。あくまでリスクを労働者へ押し付ける方法論だ。

これが「生産性の向上」とは笑わせる主張だ。
単に賃金カットで見かけの生産性を向上しているだけ。

もし本気で残業をなくして、長時間残業を解消したいなら、残業代ゼロではなく「残業を法的に禁止」すべきです。これは確実に残業を無くします。残業を禁じられて企業の労働力が不足するなら、企業は雇用を増やすべきでしょう。「残業代を払わなければ残業が減る」などという論法は、企業の負担だけを減らすための、もってまわった方法論です。

なお、残業を減らせば社員の年収が減少し、労働者の購買力が低下します(名目賃金の低下)。すると生活防衛のために貯蓄を増やしたり消費を大きく減らす可能性もある。そうすると世の中の景気に影響してしまいます。ただ闇雲に残業を減らすのではなく、何らかのマクロ的な対策も同時に講じる必要があると思われます。

また、時間当たりの生産性が向上しても、日本の総生産量が増加するとは限らない。

2016年6月14日火曜日

ビール券が通貨になるには?(お遊び)

電子マネーだの仮想通貨だの、という言葉が氾濫して、何が通貨なのかよく理解されていないまま、メディアが好き勝手に言葉を使っている気がします。正確に説明するのはさておき、今回は面白いことを思いついたので、「ビール券が通貨になるか」をからめて考えてみました。もちろんお遊びなので、実際にはあり得ませんが。

さて、ビールが老若男女を問わず極めて重宝されている国があるとします。万人が必ず毎日1リットルくらい飲む。ビールが黄金の水と言われるw。その国のビール会社は一大産業になっています。このビール会社はビール券を発行します。

>通常のビール券
この場合は、一般人が現金を支払ってビール会社からビール券を購入し、このビール券はお店でビールと交換できます。この場合、ビール会社にビールが在庫として存在していなくても、ビールを製造して引き渡す約束になっていれば良いわけです。これはいわゆる商品券に該当します。

>支払い手段としてのビール券
前と同じように、一般人が現金を支払ってビール会社からビール券を購入します。この国ではビールの需要が非常に高いので、ビール券は価値が普遍的。ビール券はビールの価値に裏付けられています。つまり、紙幣の代わりにビール券で支払っても通用するわけです。現金ではなく、ビール券が支払い手段になる。これは買い物ポイントや電子マネーに該当すると思われます。

>通貨代替え券としてのビール券
ビール会社におカネを払ってビール券を購入できますが、このビール券はビール会社で現金に戻すことができます。現金と相互に交換可能なビール券です。なおかつ、支払い手段として利用できます。これは、仮想通貨に該当します。ただし現金との交換レートが固定していますので、ビットコインとは違います。

>ビール会社がビール券で支払いをする(通貨発行)
ビール券が支払い手段として通用するとなると、ビール会社は取引先に現金で支払うのではなく、ビール券を発行して支払い手段として用いることができます。ビールの価値を背景にして、ビール券を発行するだけで「発行益」が発生します。このとき、実際にはビールの在庫はありません。でも価値が生まれるわけです。これが政府紙幣、硬貨に該当すると思われます。

>ビール会社がビール券を貸し付けする(信用創造)
ビール券が通貨として通用するなら、ビール会社がビール券を発行してこれを貸し付けることも可能になります。ビール券を貸し出すので、返済時にはビール券が戻ってきます。さて、貸し付けたビール券の金利としてビール券の支払いを要求します。つまり、100枚のビール券を貸したら120枚のビール券を返済する契約になります。何か妙ですが、預金はそれに似ています。これが銀行の信用創造、預金に該当すると思われます。

こうして、ビール会社は発券銀行になりました
(ビール本位制)

これ読むと、ますます混乱したかも知れませんねw。今回は比喩による冗談ですから。ビールじゃなくて江戸時代みたいにコメでもいいんですけど。

2016年6月13日月曜日

脱時間給は生産性向上と無関係

雇用分野における構造改革と称して、「脱時間給」が語られますが、生産性向上、つまり日本の潜在成長率と脱時間給は関係ありません。脱時間給は単なる労働強化と株主利益の積み増しです。

生産性の向上とは何でしょうか?
1人あたりの財(物やサービス)の生産量を増やすことです。

なぜ生産性の向上が必要なのでしょうか?
労働人口が減少するぶんだけ、1人あたりの生産量を増やす必要があるからです。

脱時間給で生産量は増えますか?増えるはずがありません。逆に残業を減らせば生産量が減少するくらいです。生産量を増やすのではなく、賃金を減らすだけなのです。賃金が減れば、労働者(=消費者)の購買力が低下して消費総量は悪化します。それが今の日本に必要なのでしょうか?それが日本の潜在成長率を高めるのでしょうか?

一方、株主や経営側の立場で見れば事情は違います。脱時間給で支払賃金を減らすと人件費総額が減り、そのぶんだけ企業利益つまり株主利益が増加します。脱時間給を主張する人々の狙いはここにあるのでしょう。結果として、資本家と労働者の格差を拡大してしまいます。彼らは株主利益が増えれば投資が増えるとか言うでしょうが、収益率が多少向上したところで、今までの動きを見る限り、投資ではなく内部留保が増えるだけです。

誰が脱時間給を必死に主張しているか、注意したいですね。

ところで、脱時間給とは異なり、「雇用の流動化」は生産性の向上にとって不可欠です。ただし、タイミングと制度をしっかり検討しなければ、労働者をモノとしか見ない資本家に、首切りの口実として使われるだけで終わりますから、注意が必要だと思います。


2016年6月10日金曜日

左のお花畑と右のお花畑

一部の左派の人たちは「お花畑な人々」と呼ばれることがあります。たとえば「北朝鮮にリアルな脅威はない」という人だったり、日本が武器を持たなければ侵略されることはないから自衛隊はいらないとか、まるで世界を性善説で考えるような人たちです。左派的な価値観を疑うことなく信じています。そんなわけで、「左派お花畑」というイメージが多いと思いますが、それだけではないと思います。

右派にもお花畑があります。それが新自由主義です。新自由主義者は資本主義の価値観を疑うことなく信じ切っています。そのため、グローバリズム、自由競争、成果主義、規制緩和、移民推進といった資本主義的な政策を推進すれば世界がハッピーになると信じているわけです。資本主義的な性善説のような感じです。これが右派のお花畑です。

左のお花畑が非現実的であると同様に、右のお花畑も非現実的です。世界が資本主義の価値観を徹底的に推進した結果、世界中で格差が拡大し、失業が増加し、移民やテロが増えています。ところが、お花畑の人々にはこれが見えないようです。思い込みが激しいと現実が見えなくなるのは、右も左も共通のように思われます。

2016年6月8日水曜日

貯蓄と内部留保のために日銀国債保有は不可避

過剰な貯蓄と内部留保が消費や投資に向かわないことが景気の足を引っ張っていることは明白です。とはいえ、適度な貯蓄や内部留保があった方が良いことは間違いありません。貯蓄や内部留保は、それぞれ家計と企業のリスクを軽減する効果があるからです。

貯蓄や内部留保がまったくない状態だと、景気変動に対して脆弱になります。不況に襲われて労働者が失業した時に貯蓄がゼロなら家計はたちどころに貧困化しますし、企業であればたちどころに倒産です。こんな家計や企業ばかりだと、社会全体としても脆弱となります。

もし、貯蓄や内部留保があれば、不況に襲われても、ある程度の時間を持ちこたえられます。その間は赤字でも、消費や企業活動は継続可能ですから、社会全体としても、消費や投資活動の低下の程度を押さえることができます。それなら、景気回復も早くなるかも知れません。適度な貯蓄や内部留保は必要です。

ところが、現在の通貨システム(信用通貨制度)の場合、おカネはすべて誰かが銀行から借りた借金から生まれます。そのため、貯蓄や内部留保がたとえば合計で500兆円あれば、別の誰かが500兆円の借金を抱えていることになるのです。誰かの借金の上に、貯蓄や内部留保が成り立ちます。これは持続可能な理想的システムでしょうか?

この問題を解決するのは簡単です。もし、日銀が500兆円の国債を保有し続けるなら、それ以外に他の誰も借金を追わなくとも、合計500兆円の貯蓄と内部留保を家計や企業が保有できます。ですから、家計や企業が貯蓄と内部留保を安定的に持つためには、日銀が国債を保有しつづけることが必要です。

逆に言えば、もし、常に誰かに借金を背負わせたい(金利で儲けたい)と考える人なら、日銀の国債保有に猛反対するはずです。誰が猛反対しているのか、よく観察してください。

2016年6月7日火曜日

ベネズエラ貧困化はグローバリズム依存が原因

ここ最近の資源価格の暴落により、資源国の危機的状況がニュースで伝えられます。産油国のベネズエラでは原油価格の暴落によって人々の貧困化が深刻だと言います。なぜこんなことになってしまったのでしょう。

それは、原油を輸出して人々の生活に必要な生活資材を外国から輸入することで経済を回していたためではないかと思うのです。グローバリズムの世界では、自国で生活資材を生産できなくとも、資源さえあれば資源を売って生活資材を調達できます。グローバリズムの世界では、自分たちで生産するよりも輸入した方が遥かに安く、質も高い財を手に入れることができます。

ですから、苦労して時間をかけ、自国の国民を教育し、インフラや設備を整え、技術やノウハウを蓄積し、産業を育成するよりも、輸入した方がはるかに早く国民生活を向上させることができます。そのため、資源輸出に依存しがちです。しかし、これが途上国の落とし穴となります

本来、自分たちの生活に必要な資材は自分たちで生産しなければなりません。必要なのは自国産業の育成です。しかしグローバリズムを受け入れると、自国の産業を育成するのは難しくなります。なぜなら、グローバリズムの主張する「関税の完全な廃止」をすれば、もはや海外から安くて質の高い製品の輸入を止めることはできなくなるからです。誕生したばかりの自国産業を市場競争から保護せずに育成することは、ほぼ不可能です。

途上国が国民生活を安定させるためには、グローバリズムから距離を置き、他国に依存しない自国内の供給体制を構築することが何より最優先だと思うのです。時間も苦労も必要ですが、最終的には堅実な方法のはずです。


2016年6月6日月曜日

マニフェスト内容に必要な要素

実現できない事はマニフェストに書くな、という話を聞きます。しかし100%実現できることだけ書くなら、ほとんど役所の官報と変わらない気がします。面白くも何ともありません。おそらくそれだけなら、どの政党も大差ないでしょう。可能性五分五分の「チャレンジ目標」は必要です。それが可能なのは、地方自治と違って、国政はマクロ政策(金融・財政)によって社会のしくみから変えることが可能だからです。

もちろん、チャレンジと言っても論理的に説明可能である必要はあります。論理的整合性がなければ、実現はありえないからです。逆に論理的整合性があれば、チャレンジする価値があると判断できます。

目標はより具体的でなければ意味がありません。たとえば「一億総活躍社会」とか「一億総中流社会の復活」とか言っても意味不明です。それはスローガンです。そして、それに向かって何を実行し、それがどのように作用し、どのような過程を経てスローガンが実現されるかを、論理的に説明しなければなりません。

これから順次、各政党のマニフェストが公開されるでしょうが、そういうチャレンジ内容に期待したいです。

2016年6月3日金曜日

簡単な算数で考えるベーシックインカム

ツイッターを見ていたら、ベーシックインカムについて話が出ていましたが、誰でもわかる程度の簡単な算数で説明するのも効果的ではないかと思いました。


ベーシックインカムを支給すると働かない人が増えるという話がありますが、働かない人が増えるのが問題ではなくて、働かない人が増えた結果として、日本国民の生活水準が低下するとまずいということでしょう。ですから、ベーシックインカムで国民の生活水準が低下しなければ良いわけです。

国民の生活水準は日本がどれだけの財を生産できるか、その生産能力によって決まると考えられます。その生産力を単純な式で表すと、

生産力=人口×就労率×生産性×定数

生産力は人口が多く、働く人の割合が高く、生産性が高いほど大きくなります。そして、この生産力がベーシックインカムの導入前後で減らなければ、国民の生活水準は維持されます。ベーシックインカムで働く人がへると、就労率が減少します。しかし生産性が増加すれば、それを補うことになります。ですから、

就労率の変化率×生産性の変化率=1

であれば、働く人が減っても国民生活は貧しくならないはずです。つまり生産性が向上すれば就労率が低下しても問題ありませんが、あまり急激に就労率が低下すると、生活が貧しくなる可能性はあるでしょう。ですから、個人的にはヘリマネから始めて、徐々に拡大すべきではないかと思います。


また、ベーシックインカムでおカネを分配すると、インフレになるとの話が出ています。これは財源を税収だけなく、通貨発行(ヘリマネ)を併用する場合にあり得ます。この場合、インフレになるとベーシックインカムの収入で生活できなくなるとの声もありましたが、そうではありません。ヘリマネでベーシックインカムを行った場合の単純モデルを考えてみましょう。

ベーシックインカム導入前後で財の生産量は変わらないとします。

財の生産量=200

>>ベーシックインカム導入前

通貨の分配量(給与所得のみ)
A氏 40
B氏 60
C氏 100
(合計通貨量 200)

物価=通貨量÷財の量=200/200=1 物価は1

財の分配量(配分された通貨で財を購入する)
A氏 40
B氏 60
C氏 100
(財の分配合計量 200)

>>ベーシックインカム導入後

通貨の分配量(給与所得+ベーシックインカム1人100)
A氏 140
B氏 160
C氏 200
(合計通貨量 500)

物価=通貨量÷財の量=200/500=2.5 物価は2.5倍になる

財の分配量(配分された通貨で財を購入する)
A氏 56 (通貨量÷物価=140/2.5=56 以下同じ)
B氏 64
C氏 80
(財の分配合計 200)

以上より、物価は2.5倍に上昇しても、通貨がきちんと分配されれば財はそれに応じて分配されますから、国民が貧しくなることはありません。むしろ、格差が縮小し、物価上昇しても低所得者は豊かになります。


2016年6月2日木曜日

財政再建してはいけない理由

財政再建してはいけません。もし本当に財政再建して政府の借金をゼロにしたら、家計と企業の資産が激減します。

なぜでしょうか。

本編のサイトで何度も説明していますが、現代の通貨制度は信用通貨制度です。ですから世の中のおカネはすべて誰かの借金が元になって作られます(信用創造)。このため、政府の1000兆円を超える負債は家計と企業の資産になっています。これは通貨システムの仕組み上、当然の事です。政府、家計、企業、海外の金融資産バランスシートを統合した、国家の金融資産バランスシートを確認してください。

ということは、政府の借金を1000兆円減らせば、家計と企業の資産は1000兆円減るでしょう。あるいは、家計と企業の借金が1000兆円増えるのです。これは通貨システムの仕組み上、まず間違いなくそうなります。避けられません。

これを回避するには、日銀がすべての国債を買い切ることが必要です。つまり日銀が量的緩和を継続し、すべての国債を買い切るのです。そして、この買い切った国債を日銀が保有し続ける限り、家計と企業の1000兆円の資産は守られます。そして、政府は借金を返済する必要が無くなり、金利負担も発生しない。

しかもインフレになる可能性は低く、金利政策(準備率操作)で防ぐことができます。

ちなみに、政府の歳出のうち、国債償還と利払いで毎年約23兆円が消えますが、それが不要になります。

財政再建と称して、政府と家計と企業でカネを奪い合っても意味ありません。ただちにやめましょう。

2016年6月1日水曜日

財政ファイナンスで勝利したリンカーン大統領

消費税の増税延期が決まって最悪の事態は回避されましたが、これからが正念場です。そこで期待されるのが「財政ファイナンスの活用」です。財政ファイナンスとは単なるイメージ用語で、実際には通貨発行によって財政支出を行うことです。新聞マスコミや常識に固まった識者が猛反対しているあれです。

ところで、財政ファイナンスの活用といえば、アメリカの有名な大統領リンカーンです。リンカーンは南北戦争に必要となる膨大な戦費を銀行・金貸しからの借金に頼るのを避け、通貨発行、つまり財政ファイナンスを用いることで調達しました。そしてリンカーンはその財源によって南北戦争に勝利したのです。

アメリカの奴隷解放は財政ファイナンスで実現した。

まあそれは半分冗談ですが、それにしても、もし南北戦争の際に膨大な戦費を借金で調達していたらどうなったでしょうか?巨額の財政赤字を抱える事になり、リンカーンはアメリカ国民に対して「国のシャッキンが―」と言いつつ、大増税をすることになったでしょう。そしたら、アメリカの英雄じゃなくて最低の「増税大統領」として有名になったかも知れませんよw。


(追伸)
もちろん、通貨を発行したことで当時はインフレになりました。借金返済による大増税は避けられましたが、インフレになったわけです。結局のところ、どちらが良いかというわけです。

当時の税制はよくわかりませんが、少なくとも現代の日本で考えてみれば明らかにインフレの方が庶民にとっては良いでしょう。日本では増税と言えば消費税ですから、逆進性が強く、富裕層よりも庶民の税負担が重くなります。インフレは貯蓄の価値を下げるため、富裕層ほど税負担が高くなります。

インフレも消費税も価格そのものを押し上げてしまいます。しかしインフレの場合はマクロ的に言えば同時に賃金も上昇しますが、消費税の場合は賃金は上昇しません。そしてインフレは通貨供給を止めれば止まります。