2017年11月30日木曜日

メルカリとベーシックインカム

誰でもネットを利用して気軽に売買できる「メルカリ」というサービスがヒットしている。しかしこのシステムが本当に活かされる社会になるには、ベーシックインカムが必要かも知れません。

ネットによる売買サービスはすでにヤフオクが普及し、さらにスマートフォンの普及に乗っかってメルカリが急成長しています。これらは使わなくなったモノを簡単に現金化できるメリットを提供し、同時にリユースによる「長く大切に使う」という社会への変化を促すと考えることができます。しかし問題も発生しています。

小売店から万引きした商品を売りさばくことに利用されています。商品を盗んでおカネを稼ごうとする人々の増加です。これはイタチゴッコのようなもので、出品者が無数にいるのですから、完全に排除するのはかなり困難だと思われます。

また、リユースによって中古品ばかりが取引されるようになると、新しく生産された商品が売れなくなります。それでなくとも消費が伸びないといわれている時代に、ますます消費が増えなくなり、景気は良くならないでしょう。売り上げが増えない限り労働者の賃金は増えませんから、貧富の格差は解消しないでしょう。脱デフレのハードルも上がります。

そもそも、なぜネットオークションで安い商品を求める人が多いのか。やはり「カネがない」人が多いから、というのも一因だと思われます。本当の意味でのリユースではなく、カネがないから新品を買うのではなく中古でガマンする、といった主旨なのではないかと思われるのです。もちろんそれが全てではありませんが。

こうしたネット売買サービスの問題点を解決するのがベーシックインカムだと思われます。例えばベーシックインカムが実施された社会では、おカネのために万引きした商品を売りさばく必要はありません。盗む行為そのものを楽しむような悪質な人でもない限り、こうした犯罪はなくなると思われます。

また、ベーシックインカムを給付すれば人々が十分なおカネを手にするため、「カネがないから中古品でガマンする」人は減るはずです。その結果、ネットオークションは衰退するかもしれません。しかし本当の意味でのリユース、「長く大切に使う」人はそのまま利用を続けるでしょう。それこそ本当に意味のあるリユースです。

ベーシックインカムによって購買力が増加すれば、メーカーの生産した新品の商品の売れ行きも増えますから、景気は回復し、脱デフレは実現されるでしょう。しかし同時に、過剰に消費する必要もなくなります。つまり「無理矢理に消費を増やして、労働者の賃金を増やす必要」がない社会になるからです。

売り上げを拡大しなくともベーシックインカムで所得が保障されているのですから、もし仮にヤフオクやメルカリが大流行してメーカーの新品が売れなくなって消費が拡大しない社会になったとしても、問題ありません。

本当の意味で、必要に応じてメーカーの生産した新品を買う、あるいは中古品を買う。その選択が社会におかしな影響を与える心配のない社会が実現するのだと思います。

2017年11月24日金曜日

国民は倒産する会社の社長にそっくり

以前に勤めていた会社は倒産したが、その社長は「優秀な人材がいれば成功する」と考えていた。国民の多くも「優秀な政治家がいれば国が良くなる」と考えているらしいが、今度は国が倒れる番かもしれない。

その社長は「優秀な人材」が大好きで、自分が優秀と思う社員を厚遇し、逆に無能だと思う社員を冷遇して会社から追い出すということを繰り返していた。そして優秀な社員を求めて、常に新たな社員を求め続けていた。だが、そんな優秀な社員は集まるはずもなく、人の入れ替わりが激しいために常に会社は不安定だった。

今の国民を見ると、その社長にそっくりだ。国民も「優秀な政治家」が大好きで、常にそうした政治家を求めているようだ。大河ドラマの主人公である。水戸黄門である。そういう人を選挙で選んで統治してもらえば世の中が良くなると考えている。ところが、そんな人材は、いるわけがない。その結果、選挙をして新しい内閣が誕生しても「こいつじゃない」と言い出して、すぐに支持率が落ちる。そこでマスコミが喜んで大騒ぎし、政権から引き摺り下ろす。そしてまた選挙して、また「こいつじゃない」と言い出し、マスコミが喜んで騒ぐ。

しまいには、「何度選挙しても優秀な政治家が出てこない、これは政治家が悪いからだ」と言い出し、「政治家はダメ」「政治はくだらない」「選挙は無意味」と決め付けるようになる。そして投票しない政治的に無関心な国民が増える。これはほとんどお笑いだ。そもそも「優秀な政治家」なんていない。そんなありもしない夢を追い求めて空回りする国は、いずれ倒産するだろう。

必要なのは優秀な政治家ではない。
優秀なシステム(政策)である。

システムが優秀であれば、多少アフォな政治家でも優秀な結果を導き出す。どのようなシステムが必要とされるのか、まずそれを国民が描き出さねばならない。システムは政治家が描くのではなく、国民が描くべきものだ。もし優秀な政治家を求めるとすれば、そのシステムを構築する実務能力を問うべきなのです。

とはいえ実際のところ、それはかなり難しい。選挙権を得たばかりの若いヤツや高齢者に「システムを考えろ」と言っても無理がある。だから識者が様々な例を示し、マスコミが様々な識者を紹介しなければならない。しかし彼らがその役割を十分に果たしているとは思えない。政治家のゴシップや相撲力士の暴力沙汰で、延々と同じことを報道するのに忙しい。国民にシステムを考えさせるなどあり得ない、むしろ逆だ。

これで日本が良くなったら奇跡だ。

すべての国民がシステムを考える事は無理かも知れないが、少なくとも、「理想の政治家」を追い求めて失望を繰り返すのではなく、「理想のシステム(政策)」を最優先に求めるべきだとの認識を持っていただきたいのです。いる筈もない理想の政治家を追い求めることは不毛です。

2017年11月22日水曜日

2%物価上昇じゃなくて、2%内容量の減少w

食品の内容量が減る現象が多発してシュリンクフレーションなんて呼ばれてるらしい。あきらかに消費者に「カネ」がないから起こる現象です。つまり通貨不足なんですよ。

原材料(モノ)の値段が、円安の影響や消費・投資の増加により徐々に上昇しています。パッケージを値上げしなければ採算が合いません。ところが、少しでも値上げするとたちどころに消費が落ちてしまいます。だから企業はパッケージの価格をそのままにして、内容量を減らすことで売り上げを維持しようとする。

なぜかと言えば、庶民にカネが無いからです。家計の金融資産は1800兆円にも膨れ上がっていますが、それは富裕層が保有しているだけの話であって、多数の一般家計には関係ありませんからね。

おカネの総額が増えないなら、モノが減るに決まってます。例えば庶民が10,000円のおカネを持っています。世の中の商品が100個(量)×100円(単価)=10,000円だとします。庶民は10,000円のおカネで100個の商品を買い、企業の売り上げは10,000円です。

単価が上昇すれば100個×110円=11,000円ですが、庶民のおカネは相変わらずは10,000円しかありません。なら、買える量は10,000÷110=91個です。この時の売り上げは10,000円です。

それと同じですよ。もしパッケージ売りだったら、100個入りのパッケージが91個入りになってしまう。もちろん貯蓄と言う緩衝(バッファ)が存在するから単純じゃありませんが、大きく言えばそういう話です。小学生でもわかるでしょ。つまりどういうことか?

カネを増やさなきゃ、インフレにすらならない。
内容量が無限に縮小するだけ。

これでインフレターゲットとか笑うしかありませんね。
2%物価上昇じゃなくて、2%内容量の減少。

企業が必死にインフレを回避しているわけです。しかし企業が悪いのではありませんね。カネを庶民に渡さないからインフレにならないのです。カネもないのにどうやればインフレになるのか。そして悪性なシュリンクフレーションなんて馬鹿げたことが起こる。

庶民にカネを配らなければ、ますます内容量は減り続け、品質が粗悪になり、物価は上がらない。

これでもまだカネを配りたくないのか?世の中がどんどん歪んでも、市場が歪んでも、それでもカネを庶民に配りたくない。官僚・政治家・マスコミは本当にダメだな。

2017年11月21日火曜日

カネは増え続けているが足りない

デフレは循環通貨が不足する現象ですが、おカネが増えていないかと言えばそうではありません。2015年は約32兆円増えています(3.5%)。しかしそれじゃあ足りないのです。

失われた20年の始まる前はどれくらいのおカネが増えていたかといえば、年率5%以上です。それで経済は順調であり、一億総中流と呼ばれる、格差の少ない、ブラック企業とは無縁の社会を実現できていたわけです。もちろん「借金ガー」もありません。

足りないなら刷れば良い。当たり前の脳みそがあればそう思うはずですね。だから「ヘリコプターマネー政策」なんです。年齢性別を問わず、全ての国民に毎月1万円を支給する。毎月じゃなくて、ゴールデンウィーク前に「国民ボーナス」として12万円をポンと支給すれば経済効果は大きい。

ヘリコプターマネーなんかしたら
ハイパーインフレがー

と新聞テレビ、政治家、官僚が大騒ぎするかも知れませんね。しかし国民1人毎月1万円を配ったとき、どれくらいのおカネが増えるのか?15兆円です。

2015年には約32兆円のおカネが増えているわけですから、仮にそれに足してみると合計で47兆円です。これは増加率年率5.1%です。失われた20年の前には、当たり前だった伸び率です。それ以前はもっと高い伸び率だった。さて、これで「ハイパーインフレがー」になるんでしょうか。

なるわけありませんね、バブル経済の当時でさえ物価上昇率は3%かそこらです。ハイパーどころか高インフレですらない。

マネー供給を、失われた20年以前の5%に戻すだけのことなんですから、今すぐにでも始めましょう。ヘリコプターマネーで一億層中流社会の復活ですよ。はい、野党の皆さんが「アベノミクス ハ シッパイ ダー」を連呼して安倍を攻撃しても1円も所得は増えません。中身のある議論をしましょう。どうせならヘリマネで安倍を攻撃してカネを引き出してください。

2017年11月17日金曜日

拝金社会が人類進化を阻害する

今日社会の主流となっている拝金主義は人類進化のポテンシャルを低下させている。簡単に言えば、学問研究より「カネを増やすこと」に人類の英知が奪われている。なぜ理不尽に思わないのだろうか。

これだけ生産資本が蓄積され、機械化が進展している現代社会にあっても、カネ、カネ、カネだ。企業はシステム上、宿命的にカネ、カネ、カネだが、政治家や官僚もマスコミも、カネ、カネです。それを象徴するマスコミ記者の質問「その研究は何の役に立つんですか、成果(経済効果)はあるのですか」。そう言い放って得意満面だよ。

そして政府も、学問研究への支出をケチる。教育無償化も堂々とケチる。カネが、カネが。人類進化に貢献する学問研究も、カネにならなければ相手にしない。彼らには、学問研究へおカネを出すことが未来への投資であり、人類進化の原動力であるとの考えはないのだろう。仮にそういう考えがあっても、優先するのは常にカネだ。

政府がカネを出さないから、大学で優秀な成績を収めた人材は学問の道に進まず、賃金(=カネ)の高い大企業に就職する。そしてやることは金儲けである。場合によっては株式や外貨を転がす仕事に彼らの優秀な頭脳が使われる。それがもたらす結果は投機によるカネの奪い合いとバブル経済です。スゲー人類進化に貢献しているw。

もし、大学で優秀な成績を収めた人材が資産ころがしでなく、市場の奪い合いでもなく、科学技術や文化の発展のため、学問研究の道に進むなら、明らかに人類の進化速度は加速するはずです。そんなことは小学生でも分かるでしょう。しかしやらない。なぜか。カネです。カネ、カネ、カネ。財源ガー(財務省)。

企業が拝金主義なのは必然です。企業は株主利益のためにあるんですから。問題はその拝金主義があろうことか、政治家、官僚(財務省)、マスコミにも蔓延し、それを恥とも思わない拝金社会に成り下がっていることです。まるで社会全体が株主利益を中心に回っているようなものです。

何かと言えば財源ガー、財源ガーの繰り返し。これだけ生産資本が蓄積され、機械化が進展している現代社会にあって、財源など刷ればいいだけだ。カネを刷って学問研究にどんどんおカネを出すべきだ。

カネなんか刷れば簡単にできる。しかし学問研究はそうはいかない。ならば、カネと学問のどっちが大切なのか?カネを刷ってカネの価値が仮に落ちた(インフレ)としても、学問研究が進化することの方が、遥かに、100倍くらいw重要ですよ。


2017年11月16日木曜日

政府ビットコインはマダー?

ビットコインが社会現象まで引き起こしていますが、政府もボケッとしていないで政府ビットコインを発行しましょう。お買い物ポイントとして国民に配ればいいんです。

エストニア政府が政府仮想通貨の発行を検討しているとの記事が以前にありましたが、日本政府も政府ビットコインを発行したらいいでしょう。そもそも政府には「通貨発行権」があって、今でも500円、100円などのコインを発行しています。

ウォレット(財布)となる仮想口座はマイナンバーと1:1で対応させれば、マイナンバーカードがお買い物カード・ポイントカードに早代わりです。レートは現金=預金=政府ビットコイン、すべて等価として扱います(闇取引レートが発生するかもですがw)。

普及しない?いえいえ、政府ビットコインは法貨ですから決済力が保障されていますよ。税金を政府ビットコインで納めることもできる。パソコンやスマホのアプリがあれば、どんな店でも利用できます。おまけに最強の手段があります。マイナンバーカードのウォレットに毎月1万円ビットコインが入る「ベーシックインカムコイン」ですよ。今やビットコインも勝手に分裂して増えているわけですから、当然アリですよねw。

難しく考えることはありません。政府ビットコインを「お買い物ポイント」と思えばいいです。毎月、お買い物ポイントが政府からもらえるんです。これで消費拡大。

これだと金融緩和がものすごく効果的にできます。

現在の金融緩和は市中銀行にマネタリーベース(日銀当座預金)を流し込む事により、あくまでも間接的に世の中のおカネ(マネーストック)を増やす方法ですが、この方法だと市中銀行から誰かが借金をしない限り世の中のおカネは増えない。だから金融緩和の効果が低いし、借りる人もマネーゲームのプレイヤーが多くなってバブルになる。

将来の金融緩和は、マイナンバーとリンクした政府ビットコイン(お買い物ポイント)をすべての国民に流し込めばOK。そうなると誰も銀行からカネを借りずとも、世の中のおカネ(マネーストック)が増加します。あいかわらずニュースでは個人消費が伸びないと騒いでいますが、いくら騒いでもカネがなけりゃ始まりません。お買い物ポイントを配りましょう。

しかも、政府ビットコインは銀行信用とは別の「政府信用」なので、バブル(信用膨張)が発生しません。いわば政府がビットコインの唯一の銀行のようなものだからです。政府ビットコインはマネーゲームに使われない(使いようがない)のです。

マイナンバーなんて面倒とか言っている人にも、マイナンバーがたちどころに普及しますよ。マイナンバーお買い物ポイントカード。そのお買い物ポイントが政府ビットコインなんです。難しく考えることはありません。政府のお買い物ポイントを国民に配って、個人消費を増やしましょう。


2017年11月15日水曜日

徳川埋蔵金と政府貨幣(お遊び

ちょっとしたお遊びで政府貨幣の意味を考えてみましょうw。ある日、国有地の工事中に3000億円とも言われる徳川埋蔵金が発見された。政府はこれを財源にしようと思うのですが、どうするか。

というのも、埋蔵金が仮に大判小判のような金貨(江戸幕府の貨幣)だった場合、そのままでは流通できません。財源として利用できないわけです。財源として利用するには、これを通貨(現金または預金)の形にしなければならないわけです。そのためには、

①埋蔵金を市場で売却

埋蔵金をオークションなどで売却して通貨に変える方法です。もっとも一般的ですが、最もつまらない方法です。仮に3000億円で売れたら、財源として3000億円確保されるだけです。3000億円の埋蔵金が出てきたのだから、世の中のおカネつまりマネーストックが3000億円増えるかと言えば、1円も増えません。コレクターの銀行預金(マネーストック)が動くだけです。

おまけに政府の予算が100兆円にもなるのですから、3000億円はマクロ的にあまり面白くありません。が、彼らは、まあこれやるでしょうね。頭が固いからねw。

②埋蔵金を日銀に預金する

埋蔵金を政府の銀行である日銀に預金します。日銀は資産として金地金を保有して現金(日銀当座預金)を発行していますから、金地金扱いで預金しても、日銀当座預金が発生します。しかし、徳川埋蔵金を、江戸幕府から引き継いだ「政府の貨幣(通貨)」であると考えれば、政府貨幣を預金して日銀当座預金を引き出すとも言えるわけです。

さて仮に日銀の帳簿で埋蔵金(政府貨幣)3000億円と計上し、政府の日銀当座預金に3000億円が発生すると、これはマネタリーベースが3000億円発生したことになります。それを政府が財政支出すると3000億円のマネーストック(市中銀行預金)が発生します。つまり、世の中のおカネが3000億円増えます。

同時にマネタリーベースが増えるので、これは現在の量的緩和とまったく同じ効果を持ちます。つまり、市中銀行の貸し出し元本を増やすことで、3000億円以上のおカネを増やす効果がある。埋蔵金を市場で売却するのとはわけが違うのです。

しかし、彼らは、まあやらないでしょうね。前例がありませんからw。

という、思考のお遊びでした。徳川の埋蔵金(大判小判)を政府通貨と考えるなら面白いわけです。こういう話をすれば、徳川の埋蔵金を一般コレクターに販売するよりも、日銀に預金したほうがいいなと思う人も多いかもしれません。

ところで徳川の埋蔵金なんか出てくるとは思えませんが、なにも徳川の埋蔵金(大判小判)である必要はないんです。徳川の埋蔵金が江戸幕府から引き継いだ政府貨幣だとするなら、同じように政府が政府貨幣を発行して日銀に預金すれば、同じく日銀当座預金が発生するのです。

埋蔵金を探さなくても、おカネはあるんですよ。



2017年11月10日金曜日

移民で日本が豊かになる妄想

移民を推進しても日本は豊かにならない。マクロで考えれば当たり前のことです。移民政策の前後で何が変わるのか?人口が増えるだけなのですよ。

新聞テレビが余計な情報をワンワンと流すために多くの人々は頭が混乱していますが、冷静に考えれば誰でもわかることです。移民政策を行って何が変わるのか、それは日本の人口が増えることです。それだけです。では、日本の人口が増えると豊かになるのか?なりません。

そもそも人口と豊かさには関係がないからです。中国は13億も人口がありますが、GDP総額は大きくても1人当たりに換算すればそれほど高くない。ルクセンブルグのような小国は中国に比べればアリのような人口ですが、1人当たりGDPは高い。豊かな国なのです。

世界的に見ても、人口が多いほど豊かだという国はないですね。イギリスもフランスもドイツも日本より人口は少ないですが、日本より貧しいわけではありません。

人手不足で経済成長しないとマスコミに煽られると、マクロで考えない人は直ぐに騙されます。確かに人手が増えれば総額としてのGDPは増えますが、同時に人口が増えるわけですから、1人当たりに換算すれば何も増えないのです。割り算ができれば、小学生でもわかります。

それどころか、人手不足だからこそ賃金が上昇するのです。バブルの時代に賃金が上昇した理由は、人手が不足したからです。人手が不足しないで、どうやったら労働市場で賃金が上がるのか。賃金は市場原理で決まるのですよ。

移民を「奴隷」として入れれば話は別です。移民から労働搾取すれば日本人は豊かになる。ブラック企業で低賃金・長時間労働で働かせて、その分だけ日本人が楽になるシステムを構築するのです。移民を底辺とする格差社会を作れば、日本人は豊かになる。そんな非人道的なことが許されるのでしょうか。

豊かな社会とは、総額としてのGDPが大きい国ではなく、1人当たりGDPが大きい国のことです。1人当たりGDPを増やすためには、人数を増やしても意味がありません。1人当たりの生産性を高めることです。生産性を高める最も有効な手段は「資本装備率」です。すなわち機械化なのです。

右派・左派ともに、移民政策で日本が豊かになると勘違いしている奇特な人がいまでも多い、それどころか新聞テレビまで勘違いしている。景気対策はおカネを発行して国民に配れば済む簡単なお仕事なのに、わざわざ移民だの何だのと、本質とは無関係の話を持ち出して、本業をないがしろにしている。物事の優先順位がわからない。

企業でも物事の優先順位がわからず、良いとされる戦術を手当たり次第に実行するダメ経営者がいますが、そういう企業は潰れます。企業はそれでも結構ですが、日本国において優先順位も分からずに国を潰されたのでは、国民は悲劇でしょう。


2017年11月8日水曜日

無理(利益優先)が通れば道理が引っ込む

日本企業の不祥事が相次いで報道されている。が、こんなのは今に始まったことではないし、氷山の一角に過ぎないと考えて間違いないでしょう。利益最優先をごり押しすれば、道理は引っ込むしかないのですから。

東芝の粉飾決算。こんな巨大企業がなぜと思うかも知れませんが、巨大でも所詮は企業。利益優先を至上命令として部下にどんどん圧力をかけると、こうなる。以前に勤めていた大手企業でも売り上げ目標をあわせるために、空売りが行われていた。

その後に勤めた中小企業では、社長が無茶苦茶な業務指示をするくせに、利益は絶対確保しろと命令した結果、財務担当者が苦し紛れに粉飾。会社は倒産した。大企業と違って中小企業が粉飾すれば、誰も助けないから、即、倒産。社員は全員解雇。

神戸製鋼が検査を意図的に甘くしたことは、もちろん製品の歩留まりを高めることでコストを下げるためであり、日産が有資格者による検査を怠ったことも、人員削減によりコストをさげるために行われたと考えて、ほぼ間違いない。

そして、こうした行為は社内で多くの人に認識されていても、大問題になるまでは表に出てこない。そりゃあそうでしょう。そうした問題を告発すれば、会社にはいられない。失業すれば路頭に迷うし、出世コースから外れれば給料も増えない。会社に依存してしか生きられない労働者にとっては、会社に従うしか道は無いのですから。

これは現代資本主義社会の宿痾のようなものであり、決して治癒することはないでしょう。法を守らない企業を非難することは当然ですが、そもそも、そういう社会であることを理解することも忘れないで欲しいですね。

2017年11月6日月曜日

反アベ感情に支配される人々

感情に支配されると非論理的な話も容易に信じるようになります。これはオウム真理教のようなカルト教が使う洗脳手法に用いられます。反アベは結構だが感情に支配されると危険です。

反アベの人々はアベノミクスは失敗だ、アベノミクスの効果はない、と必死に主張しますが、アベノミクスは経済学的に言えば「あたりまえの常識政策」であるところの、金融政策と財政政策を行っただけであり、効果があるのはあたりまえです。もし効果がないと主張するなら、現代経済学を真っ向から「意味なし」と断言するわけですから、ノーベル賞級の発見です。ぜひ、代案となる新しい経済論理を構築して世界に向けて堂々と発信すべきでしょう。

とはいえ、アベノミクスはマクロ的に効果があっても、格差が解消するには時間がかかりすぎる、あるいは効果が不十分だ、あるいはバブルの様相を示すといった課題があるのは事実であり、こうした部分に対する対策が不十分であると批判するなら正しいでしょう。現代経済学は万能ではないし、穴があるからです。

あるいは、金融政策と財政政策のバランスが悪いとか、その内容がまだまだ不十分であるといった批判をするなら正しいでしょう。運用方法が間違っているなら、その方法を変えればもっと良くなる可能性があるからです。

ところが、反アベ感情に支配されると、とにかく「安倍がやることは全部間違い」という衝動によって思考が支配されてしまう。こうなると経済理論もへったくれもない。ひたすら叩くだけです。

反アベは結構ですが、反アベにもやり方があるでしょう。

といえば、反アベの人々の中には、私を「安倍信者」「安倍擁護」とレッテルを貼る人も多いはずです。そういう非論理的な行動に走るのも、感情に支配されてるからです。私にとっては、安倍首相ははじめから眼中にない。安倍氏なんかどうでもいいのであって、彼がする政策の内容が私の考える政策に近いかどうかを判断するだけです。

もし安倍氏の各政策を総合的に見て、納得のいかないものが多ければ、当然反アベになるわけですが、次に行うのは比較です。安倍氏の場合と同様に、野党の各政策も総合的に見て、両者を比較し、どちらを支持するか決めるのです。

その結果、安倍政権40点、野党10点なら、安倍政権に投票せざるを得ない。もちろん投票を棄権する選択肢があるかも知れませんが、有権者としてそれはしたくありません。どこかに投票することになります。もし、投票用紙に「どの政党もダメ」という記載項目が新設されれば、あるいはそこに書くかも知れませんがw。

私にしてみれば、40点の安倍政権に勝てない野党の方が悪い。せめて60点くらいになれば、余裕で勝てるはずです。もちろん採点する有権者によって採点基準が代わるから難しい。しかし、少なくとも自民党圧勝ということは、単に小選挙区制に原因があるだけではなく、野党の政策に魅力がないからであり、真摯に反省すべきでしょう。

野党敗退を受けて、新しい政策が打ち出されたか?
野党から今までにない、新しいビジョンが示されたか?
マスコミは何をしているのか?

反アベは結構だが、反アベにもやり方があると思います。

2017年11月3日金曜日

国債を廃止しよう

財務省も政治家もマスコミも財政再建だと騒いでいます。しかしそんな生易しい考えではダメです。根本的に「国債を廃止しろ」くらいの勢いが欲しいですねw。

国債で利ザヤを稼いでいる人たちは発狂するでしょうが、ツケがいやならそうすべきでしょう。そもそも政府が借金するから問題になるわけです。借金をしなければ良いだけの話です。

では、財源が不足した時はどうするのか?通貨を発行すればいいだけです。そんなことをすると、ハイパーインフレがーと脊髄反射する人がいますが、そもそも国債を発行しても、結局はおカネを発行しているのです。つまり、政府が通貨を発行しようと、国債を発行しようと、世の中のおカネ(マネーストック)が増えることには何の違いもありません。国債を発行してもインフレになります。

では、通貨発行による財政出動と国債による財政出動の何が違うのか?それは、世の中に供給したおカネを回収する期限が違うだけです。

国債によって世の中に供給されたおカネは、国債の償還(返済)の際に世の中から税金として集められます。国債には償還日が決まっていますから、その日までに必ず世の中からおカネが回収されます。従って、これが借金と呼ばれる所以です。

通貨発行によって世の中に供給されたおカネは、必ずしも回収する必要がありません。もしインフレ対策として回収する場合は、やはり税金として世の中から集められます。ただし、回収される日付は国債と違って決まっていません。

国債であろうと、通貨発行であろうと、世の中からおカネを回収するためには、税金で集めることに代わりありません。

そもそも、おカネを回収する必要があるのか?
出しっぱなしでもいいのではないか?

デフレからの脱却が遅遅として進まない経済状況にあって、なぜ世の中のおカネを回収してしまう必要があるのか。財政再建とは、今説明したように、世の中のおカネを回収することです。インフレですらないのに、おカネを回収する必要なんてないんです。

過度のインフレにならない限り、
おカネは世の中に出し放しでよい。

しかし、国債は返済期限が決まっている。ただそれだけの理由で、何の考慮も無く、機械的に税金でおカネを世の中から回収してしまう。それが財務省です。借金ガー。

つまり、国債を発行して世の中におカネを供給する必要はなくて、通貨発行で世の中におカネを供給すれば良いのです。それなら無理矢理に世の中からおカネを回収する必要はありません。そして、インフレになったら税金(消費税など)を増やして、世の中からおカネを回収すれば良い。それを法律で厳格にルール化すれば良いだけなのです。

そもそも、通貨発行権を有する政府が借金することがナンセンスなのです。なぜ通貨を発行できるはずの政府が通貨を発行せず、わざわざ銀行から借金するのか?

将来世代へのツケなんて今すぐに止めましょう。国債を廃止して、国民の通貨発行を行使し、必要なおカネを世の中に供給するべき時代なのです。

2017年11月2日木曜日

出口戦略とは何か

新聞テレビは出口戦略や金融正常化と報道するものの、具体的に何をするのか伝えません。なので国民の大部分は、単に言葉のイメージだけで「新聞テレビが言うのだから、いいことなんだろう」としか理解していないでしょう。

中途半端に知識のある人は、世の中のおカネを減らすことだと思っています。新聞テレビの一部の報道でもそう言ってますから。しかし金融システムの基本を理解していないため、まるでトンチンカンな理解です。これでは何も知らないほうがマシです。

出口戦略とは、銀行の保有するマネタリーベース(現金)を減らすことです。いわば銀行の金庫の中のカネを減らすことであり、金庫の外つまり世の中のおカネを減らすことではありません。銀行が世の中に貸し出すおカネの「元本」を減らすだけです。

マネタリーベースを減らしたところで、それだけでは世の中のおカネ(マネーストック)は1円も減りません。銀行の中のカネが減るだけです。マネタリーベースを減らそうが、増やそうが、それだけでは世の中のおカネは1円も増減しないのです。

実際に世の中のおカネが増減するのは、銀行の貸し出すおカネが増えるか、減るかによって決まります。ですから、銀行の貸し出しをコントロールすることが、金融政策の基本なのです。出口戦略と称する方法も、銀行の貸し出しをコントロールする一つの手段に過ぎません。

新聞テレビは「世の中に出しすぎたおカネをそのままにしておくとバブルになる」といいますが、これは本質的な間違いです。正確には「銀行に与えすぎたおカネ(マネタリーベース)をそのままにしておくと、これから銀行の貸し出しがどんどん増えてバブルになる」のです。これから銀行が貸し出しを増やすことでバブルになる恐れがあるのです。

つまり、銀行の貸し出しを制限することが、出口戦略の本質的な意味なのです。

貸し出しを抑制するには、大きくは二つの方法があり、一つは貸し出しの元本であるマネタリーベースを銀行から回収すること、もう一つは銀行が元本を信用創造で膨らませて貸し出す際の倍率を制限することです。

新聞テレビが盛んに報道するのはマネタリーベースの回収のことです。いわゆる日銀の量的緩和政策を終わらせて、銀行から回収するのです。その一方で、貸し出し倍率を制限する政策すなわち預金準備率の引き上げについては、マスコミから完全にスルーされています。不思議です。

マスコミがスルーするからには、やはり裏があるのでしょう。とにかく日銀に国債を買わせたくない人たちがいるのかも知れませんね。



2017年11月1日水曜日

毎月1万円から始めるベーシックインカム

いきなり毎月10万円支給なんて話だから反対論がうるさいのです。毎月1万円の支給額から計画的・着実に増やしてゆけば、やがて毎月10万円に手が届く。それが現実的なベーシックインカムの導入法です。

ベーシックインカムをいきなり毎月10万円でスタートすれば、その時点から社会保障制度やら税制やらの大改革が必要になります。だから多くの人々に「現実的でない、夢物語だ」との印象を与えてしまいます。小額ベーシックインカムとして、毎月1万円から始めれば、既存の社会保障のシステムはそのままです。そして、ベーシックインカムの支給額を増やすに従って、徐々に入れ替えてゆけば良いのです。

財源が無いという指摘にも対応できます。毎月1~2万円程度であれば、通貨発行による財源だけで賄うことが十分に可能だからです。毎月1万円を支給するために必要な年間予算は約15兆円。日銀が量的緩和で発行している通貨は年間80兆円です。その一部を回すだけで良いのです。

そして、おカネを配れば経済が活性化することは間違いありません。年間15兆円の財政出動を行うわけですから。経済が活性化すると、世の中のおカネが循環するため、税収を押し上げます。これをさらなる支給の原資に利用できるわけです。

おカネが回り始めれば、税制にも手を付け易くなるでしょう。景気が悪いときに増税はできませんが、景気が良くなれば増税も可能になりますから、ベーシックインカムの財源を確保し易くなるでしょう。

これが経済の好循環です。

な~んにも手を打たなければ、世の中はな~んにも変わりません。もっともらしい理屈を付けて、結局は何もしない国民。それでは日本の社会が良くなるはずもありません。経済が動き始めれば、打つ手がどんどん増えていくのです。何も変化しなければ、打つ手はありません。

毎月1万円から始めて、10年後に毎月10万円。目標を明確にして、慎重かつ着実に実行すれば、10年で実現しなくとも15年で実現できる。スタートしなければ、騒ぐばかりで何も実現できません。