2017年2月14日火曜日

通貨改革なければリフレ派もケインズ派も失敗

リフレ派とケインズ派は何やら仲が悪く、互いに「お前の考えは効果がない」と非難しあっていますが、現在の通貨制度(準備預金制度)を改革しなければ、リフレ派もケインズ派もダメでしょう。

リフレ派の場合。アベノミクスで日銀が金融緩和してますが一向にデフレが解消する気配はありません。量的緩和しても世の中のおカネはあまり増えていません。増えても実体経済ではなくマネーゲームへ流れ込む始末です。世の中のおカネが増えないから労働者の賃金も増えないし消費も増えない。従って、有効需要が増えないからデフレ不況のままです。なぜでしょうか。準備預金制度では、誰かが民間銀行から借金しなければ、どんなに日銀がカネを刷っても一円も世の中に出て行かない仕組みだからです。この先、日銀が何千兆円刷ろうと、銀行から借金する人がいなければおカネは世の中に一円も流れ出さない。それが準備預金制度です。

ケインズ派の場合。政府が政府支出として世の中に直接おカネを流すので、世の中のおカネは確実に増えます。公共投資として使われたおカネはやがて労働者の賃金を押し上げますから、消費が増加し有効需要を増やす。流動性の罠に嵌った経済を活性化する効果が期待されるわけです。ところが準備預金制度の元では世の中に流すおカネを政府が発行することはできません。民間銀行から借金するしかないわけです。民間銀行から借金することで、世の中のおカネが増えるのが準備預金制度です。しかしこの借金がどんどん増えてしまいます。今では1000兆円にも達する状態で、これが将来へのツケなどと呼ばれて、緊縮財政が進められています。それによる社会保障の削減等を招いて社会を貧困化しつつあります。

どちらの問題も「準備預金制度」だから生じるのです。
もし「政府通貨制度」ならどうなるか?

準備預金制度は誰かが民間銀行から借金しなければ世の中のおカネが増えない。しかし政府通貨制度であれば、民間銀行から借金しなくとも、政府がおカネを発行して財政出動を行うことで世の中のおカネを増やすことができます。重要な点は「借金を増やさずに世の中のおカネを増やすことができる」ことです。

国債の発行ではなく政府通貨の発行で財政出動しますから、ケインズ派の主張する財政出動を行っても、国の借金が増える心配はまったくありません。財政出動といってもそれは公共工事だけを指すのではなく、科学振興費、社会福祉あるいは家計への給付金も含まれます。多様な支出をバランスよく増加することで、複合的に日本の景気を良くすることが可能です。

そして金融政策は金利ではなく、政府支出の増減と税率の増減によって行われることになります。つまり財政政策と金融政策の一体化です。金利やインフレ率のコントロールにもなるわけです。