2017年10月28日土曜日

生産性革命 公務員より始めよ

安倍首相の大好きな生産性革命だか、企業に求めるより、まず隗より始めよ。公務員の生産性革命をないがしろにしたままでは、ご都合主義にしか聞こえませんからね。

複数の大手銀行が、ITやAI(人工知能)などの活用により人員の3割をカットする計画を公表している。まさに生産性革命です。機械化で余った分だけ人手を減らす。人件費が削減されれば、生産性は飛躍的に向上します。逆に言えば、いくらITやAIを導入しても、人件費をカットしなければ生産性は向上しません。だから生産性革命に人員削減は付き物です。

そして削減された余剰労働力が、労働力を必要とする他の産業で再雇用される「雇用(労働力)の流動化」によって、社会全体の生産性が高まると言う、市場経済ロマンチックなお話です(イヤミ)。さて目論見どおりに雇用が生まれますやら。

さて、生産性革命を連呼する安倍首相ですから、当然ながら公務員の生産性革命も、「革命的な規模で」推進されるものと期待しています(皮肉)。比較的単純な作業は、ほとんどITやAIで代用可能ですから、銀行と同じくらい、3割程度は人手が余るかも知れませんね。

もちろん、どんなに人手が余っても公務員は解雇されませんので、民間と違ってセイフティーネットはばっちりです。そこで雇用(労働力)の流動化をしっかり行っていただきます。つまり、労働力を必要とする他の産業への配置転換、具体的に言えば公的な「介護福祉」事業への転換です。介護は人手が不足しています。

なにしろ財務省は社会保障の財源が「ない」なんてうそぶくのですから、まあ、無いなら仕方ない。それなら、社会保障を公務員にやっていただきましょう、というわけですww。そのためには、公務員の生産性革命と労働力の流動化ですね。もちろん、財務省内には先陣を切ってITやAIを導入すべきですね。

民間企業なら、有無を言わさず配置転換・地方転勤ですが、公務員はそうも行かないでしょうね。そこで公的な社会福祉事業への転属希望者を募り、彼らには手当てを加算します。その代わり、他の公務員の給与は引き下げます。当然でしょう。「財源が限られているんですから」ねw。

財務省は、介護報酬の見直し案を提示しましたが、自立支援のサービスの報酬を加算、その他の報酬を引き下げるといいます。それと同じですよ。「財源が限られているんですから」。

まあ、今回はイヤミだらけの話になりましたが、財務省による介護報酬見直しの話を聞いた瞬間に、怒りでぶちきれましたからね。これくらい書かないと気が済みません。

2017年10月27日金曜日

安倍首相の賃上げ要請 評価するが効果は?

安倍首相は経済財政諮問会議で企業の3%賃上げを期待したいと述べ、賃上げを要請した。同時に賃金引上げの見返りとして税制上の優遇措置を検討するという。これは評価すべきことだが、効果はあるのか?

首相自らが企業に賃上げ目標を示すのは異例とはいえ、賃金引上げを重視する姿勢は評価に値するでしょう。労働組合に代わって賃上げ交渉をしているわけなので、連合は安倍政権を歓迎すべきだし、左派系の朝日・毎日などの新聞は、安倍首相の賃上げ要請を高く評価すべきではないのだろうか。「企業は安倍首相の要請に応えて3%賃上げを実施せよ」なんていう社説があっても良いくらいです。

では、経済全体にどれほど効果があるかと言えば、あまり期待はできないでしょう。そもそも賃上げが出来るほど儲かっているのは一部の大企業であって、雇用の大部分を担う中小企業はそれほどゆとりがあるとは考えられません。

安倍首相は「生産性の向上と同時に賃上げを」というが、ITやロボットなどを導入しても、それだけでは生産性はあがらない。ざっくり言えば、「生産性=売り上げ利益/コスト」だから、売り上げが増えるか、雇用をカットしなければ生産性は向上しない。もし売り上げが増えなければ、生産性革命は失業を促進する。

まして、2019年には「消費増税」である。その後にはオリンピックも終了するから消費が減り、近い将来に景気後退に突入することは目に見えている。この時期に固定費(=人件費)を増やすのは、不合理極まりない判断だろう。自分が経営者ならこう考える。

「消費増税は目と鼻の先だ。そうすればデフレ逆戻りで利益は減少する。経営の安定化のためには、今から貯めるだけ貯めこんでおくべきだ。しかし設備投資はすすめておこう。そして増税後に景気が悪化したら、非正規雇用の従業員を大量解雇して、生産性を高めて乗り切る。そして、安倍首相の要請に応えて賃上げに先走った企業に対し、コスト面で有利に立ち、シェア拡大を図る。」

というわけだから、企業は今から二年後の増税と景気後退への対応を考えるはずだ。賃上げすれば負け。もし企業に賃上げして欲しいなら、次のことをすれば良い。

①消費増税は中止する
②国民にカネを配って消費を増やす

そうすれば、わざわざ首相が企業に「3%賃上げしろ」と圧力をかけずとも、景気が劇的に良くなり、売り上げ増加と人手不足によって、企業は放って置いても賃上げするようになります。それが自然な「経済の好循環」ですよ。

下ネタで言えば、3%で圧力をかけるのは下剤で便秘を解消するようなものです。飯も食わないで、自然な排便もあったものじゃない。飯をいっぱい食えば、勝手に出るんですw。

2017年10月26日木曜日

日本政治の実態は米国派・中国派

日本には右派や左派は無く、その実態は米国派と中国派ではないかと考えています。米国に近い勢力と中国に近い勢力が覇権争いをしているだけにしか見えないのです。

自民党は米国派です。左派が指摘するまでも無く対米追随であり、米国の価値観(自由貿易・グローバリズム)にべったりの政策が行われています。TPPはトランプ氏が大統領になったことで反故になりましたが、一時的なものでしょう。ロシアやイランに対する外交政策も、対米追随です。

弱肉強食の世界で自国を守るための国防をアメリカに依存しているため、アメリカに追随するしかないわけで、そうした状況を容認している。核兵器の禁止条約が国連で成立したところで、日本は核の傘を外されることを恐れて何も出来ない。自民党が正面からアメリカの意向に反する行動をしたことがあるでしょうか。

一方の野党は中国派です。彼らの行動はすべて中国の利益を増やす方向に働いています。金融緩和すれば円安になって日本の競争力が伸び、中国のシェアが低下するわけですから、当然ながら中国派は反対でしょう。沖縄から米軍基地を追放する動きも、北朝鮮との話し合いを重視する姿勢も、いずれも中国の利益にかなうのです。TPPへの反対もアメリカ主導のグローバリズムだからであり、中国が提唱する自由貿易・グローバリズムには喜んで賛同するに違いないでしょう。

弱肉強食の世界で自国を守るための国防を日本が放棄する。これはアジアの覇権国家を目指す中国にとってまさに理想です。そして日本は中国の核の傘に守られるようになる。これが望みなのかも知れませんね。民進党や共産党が正面から中国に反対する姿勢を見たことがありません。

もちろん、立場が変われば見え方も変わるので、これは自分の見方に過ぎません。自分から見れば、右派とか左派とか、そんなものは日本には存在して居らず、米国派と中国派があるようにしか見えないわけです。

とはいえ、米国にも中国にも擦り寄らない、独自の考えを持つ人々も多いはずです。そうした人々が日本派をしっかり形成してゆくことを希望しています。覇権争いが渦巻く醜い世界の現状から言えば、日本派の立場を確立することは容易とは思えませんが、足場を固めながら、米国や中国の干渉を排除していきたいですね。

2017年10月25日水曜日

野党のダメさ加減は深刻

今回の選挙結果から、野党の深刻なダメさ加減が明白になった。小選挙区制の性質上、与党が有利であることは避けられないが、それにしても国会の三分の二を与党が占めるのは、野党が国民の支持を得ていなからだ。

しかも野党は若者の支持率が低い。いわば「市民と野党」VS「若者と自民党」なのだ。読売新聞のアンケートによれば、衆議院選挙における与党大勝がよかったと思う人は48%で、悪かったとする人36%を上回ったというが、さらに19歳~29歳の若者に限ってみると、実に60%以上の人が、自民党の圧勝を歓迎しているのである。

これからの時代を担う若者に夢を与えているのは、
野党ではなく自民党なのだ。

まさに「情けない」の一言。野党は若者ではなく「プロ市民と高齢者」のための政党なのだ。野党は自民党以上に保守的(=古臭い)政党だと思われているのである。そして実際にやっていることは、まさにシーラカンスのようなことばかりである。

労働組合をそのまま政党にしたような主張をしている。これはもう50年以上も昔からまったく同じだ。化石である。マクロ経済の視点がないため、ひたすら賃上げ、労働環境の改善というミクロ対策に固執している。しかし賃金も労働環境もマクロ環境によって極めて強い影響を受けるため、マクロ経済を抜きに考えることは不可能であり、マクロ環境を良くすれば賃上げ、労働環境を改善することができる。逆に言えば、マクロ環境が悪化すれば、いくら騒いでも賃金や労働環境は悪化する。

また財政再建に関しても野党はミクロである。つまり、消費税増税によって税収を増やす財務省のやり方に賛同しているのだ。消費増税でマクロ経済を活性化することは決してできない。カネが回らなくなるからだ。マクロ経済を改善することで税収を増やさなければ、税率を上げたところで税収は必ず頭打ちとなり、いずれ行き詰まる。

しかし野党でこれらを理解している政党はない。

身を切る改革を連呼する維新も伸びなかった。そもそも「身を切る」なんて景気が悪いし、国会議員が身を切ったあとは、国民に身を切れ(増税)と言ってくるのが、目に見えたのだろう。身を切るなんてフレーズに明るい未来の展望など感じられるわけがない。身を切るよりも、経済の活性化である。

あたらしもの好きの国民が多いので、希望の党がもう少し伸びるかと思ったが、意外に伸びなかった。無党派を動かせるほどの魅力はなかったのだろう。単に「安倍一強を許さない」だけでは、批判票を取り込めても、国民に希望を与えることはできなかった。

プロ市民と高齢者のための野党のままなら、政権を獲得することは永遠に不可能だろう。野党は未来を担う若者にどんな希望を示すことができるのか、それが問われている。自民党が希望を示しているかと言えば、まったくそんなことはない。野党が古すぎるから、自民党が新しく見えるだけだ。

キーワードは「人工知能とロボット」。

野党は今までの政策を捨て、ゼロから政策を考え直すべき時だ。


2017年10月20日金曜日

野党の言う「市民」とは誰のことか?

市民と野党の共闘。いい加減に聞き飽きたフレーズです。しかし市民と共闘する野党が国民の支持を伸ばせないのですから、いわゆる「市民」とは、限られた一部の人々を指す言葉なのでしょう。

野党が好んで使う「市民」はネットスラングの「プロ市民」に近い人々のことです。憲法やら自衛隊に極めて関心の高いマイナーな人々です。大多数の「庶民」とは無関係です。大多数の庶民は憲法や自衛隊より、自分達の生活に最も関心があります。景気や社会保障、消費税などです。メディアの世論調査を見ても、関心の高い項目はこうした分野です。

そのことにいち早く目をつけたのが安倍氏です。安倍氏は民主党政権時代に彼らをよく観察したはずです。民主党は憲法やら自衛隊やら、庶民の生活向上よりも彼らの得意なイデオロギーに走り、対米関係を悪化させ、沖縄に混乱をもたらしました。

そして、庶民に最も関心のある生活向上に関しては、あまりに稚拙な経済政策が行われ、円高を放置し、財務省や日銀の言いなりになって消費増税にまい進していました。これを見て安倍氏は「これだ」と確信したに違いありません。野党の最大の弱点は、庶民の生活よりイデオロギーに走る彼らの姿勢であると。

そこで安倍氏は資本主義における経済政策理論を3つ(金融・財政・構造)も取り入れたアベノミクスを最優先に掲げ、庶民の生活向上に失敗した民主党に代わって、まず経済最優先で戦うことにしたのでしょう。そして実際、不十分とはいえ理論どおりの結果になりつつあります。あたりまえです。世界的に常識とされる経済理論を使うのですから、安倍氏でなくても成果は出ます。常識的なことをしただけです。

ところが、その常識的な経済理論すら実施せず、かといって新しい理論を提唱するでもなく、ただ反対してきたのが野党です。対案があると言うものの、しっかりした理論に基づくものでなければ意味がありません。ただの対案ならラーメン屋の親父でも出せるからです。

今回の選挙でも、野党は相変わらず憲法やら自衛隊です。プロ市民は大喜びでしょう。プロ市民はマイナーとはいえ、一定数が存在しますので、手堅い戦いをするでしょう。しかし彼らの支持層の多くは高齢者であり、いまや若い人の多くは自民党を支持するようになりましたから、やがて消滅してゆくと予想されます。永遠に政権を取ることはできません。経済よりもイデオロギーだからです。

野党は「プロ市民」から脱却し、庶民を見なければならないでしょう。庶民は生活の向上に最も興味があるのであり、極端に言えば憲法や自衛隊なんかどうでもいいのです。ポピュリズムだのなんだのとマスコミが騒いでも、そういうものなのです。もちろん、野党が政権も取れずにプロ市民といっしょにずっと遊んでいればいいのであれば、それでも結構ですが。

だから、庶民の生活を豊かに出来ない政党には、それ以外は何も出来ないのであり、庶民の生活を豊かにできる政党なら、それ以外の分野においても力を発揮することができるのです。

2017年10月19日木曜日

MBとMSの説明なき新聞記事は役立たず

新聞テレビの経済記事にはマネタリーベースとマネーストックの話が出てきません。両者をごちゃまぜにして単に「おカネ」と言っているだけです。金融制度の根幹システムをスルーする新聞記事は読むに値しません。

ご存知のように、マネタリーベースとマネーストックは両方ともおカネではあるものの、根本的に役割が違います。これをごちゃまぜにして単に「おカネ」と表現するのは限りなくウソに近い行為です。

マネタリーベース(現金・日銀当座預金)は日銀が市中銀行に供給するおカネのことであり、これは日銀と市中銀行の間でしか(政府も含まれるが)関係のないおカネです。国民や企業には直接関係ない。言うなれば、これは「堀の内側(金融部門)」にあるのです。だから、いくら日銀が金融緩和でおカネを発行しても、それはマネタリーベースであるがゆえに、国民や企業のおカネが増えるわけではありません。世の中のおカネは増えず、いわゆる銀行の金庫に「ブタ積み」になるのです。

一方、マネーストックは国民や企業の保有しているおカネであり、これが日常的な取引に利用されたり貯蓄されたりしています。これが世の中のおカネです。ですから国民生活にとって直接に重要なのはこのマネーストックというおカネなのです。そのおカネは市中銀行が信用創造によって預金を発生し、その預金を家計や企業に貸し出すことで発行されます。言うなれば、これは「堀の外側(非金融部門)」のおカネなのです。

そして「堀の内側」と「堀の外側」では、それぞれに別のおカネ(マネタリーベースとマネーストック)が循環していて、直接に関わることはありません。そしてその堀の両側に立って、マネタリーベースとマネーストックに関係性を持たせているのが市中銀行なのです。「堀の内側と外側」これが今日の金融制度の基本システムです。

ところが、新聞テレビの経済記事では、決してマネタリーベースとマネーストックという言葉は出てきません。単に両方とも「おカネ」と言っています。そのため、多くの一般国民はまったく違う両者のおカネを同じものだと考えているでしょう。これでは金融政策の正しい理解は不可能です。

こんな新聞テレビが、やれ「出口戦略」だの「財政再建」だのと書くのですから、呆れるを通り越して怒りを禁じえません。マネタリーベースとマネーストックもきちんと説明しないでおいて、正しい理解などできるはずもないからです。おかげで、何も知らない国民は、出口戦略は増えすぎたおカネを減らすこと、財政再建は借金を返すこと、としか理解できないのです。

マネタリーベースとマネーストックは、経済の最低限の知識です。
最低限の知識も書かない新聞記事は読むだけ時間の無駄です。


2017年10月18日水曜日

内部留保に課税するなら家計の貯蓄にも

企業の内部留保が増え続けていることを受けて、内部留保への課税が主張されているようですが、なら家計の貯蓄にも課税すべきでしょう。

企業の内部留保(利益剰余金)は家計の貯蓄(預金)に該当する部分です。同じくストックだからです。どちらもおカネを使わずに貯めこんでいます。そのために世の中のおカネが回らずに景気が良くならない。なぜ企業が貯めこんだカネは責めるのに、家計が貯め込んだカネは責めないのか?どちらも経済を冷やしている点では同じです。

家計の貯蓄は、家庭の生計を安定させるために、ある程度は必要でしょう。だからむやみに責められるべきではないはずです。しかし何億円も使わないで貯めこんでいれば、これは責められるべきではないでしょうか。本人の努力の成果だという理由であれば、いくら貯めこんでも許されるのでしょうか。

同じように考えるなら、企業の内部留保(貯蓄)も企業経営を安定させるためにある程度は必要だと考えて当然でしょう。だからむやみに責められるのはどうかと思います。とはいえ、使わないで何十億も何百億も貯めこんでいれば、これは責められるべきだと思います。企業の努力の成果だという理由であれば、いくら貯めこんでも許されるのでしょうか。

ついでに言えば、政府の埋蔵金。あれは政府の貯蓄ですから。あれは責められて当然でしょう。しかし政府の役人に言わせれば、政府の業務を安定化させるためにある程度は必要だと言うでしょう。確かにある程度は埋蔵金があってもいいのですが、それだけ世の中のおカネは回りにくくなるのです。

家計だろうと企業だろうと、おまけに政府まで、おカネを貯め込むのが大好きなんですw。みんなでおカネを貯めこんだら、世の中のおカネが回らなくなるのはあたりまえでしょう。

それでもおカネを貯めこみたいのなら、おカネを増やしなさい。たくさん貯めこんでも、それ以上におカネを増やせば世の中におカネは回ります。しかしおカネを増やしたくないなら、貯めこんだおカネを課税で回収するしかありません。それは家計だろうと企業だろうと政府だろうと同じであって、それこそ「聖域」なんてありません。

課税に聖域なんか認めたら、
聖域におカネがどんどん吸い寄せられて、
社会が歪むんじゃないですか。

内部留保に課税しろと騒ぐのは大いに結構です。ならば家計の貯蓄にも、政府の埋蔵金にも厳しく対応すべきと主張するのが当然ではないかと思うのです。それが嫌ならカネを刷ればいいのです。

2017年10月12日木曜日

不景気に「高齢化、潜在成長率、価値観」は関係ない

日本の経済が低迷(デフレ化)する理由として高齢化、潜在成長率、人々の価値観の変化が繰り返し新聞テレビで報道されますが、あんなものは関係ありません。国民にカネがないのが原因です。

もちろん、高齢化、潜在成長率、人々の価値観の変化が日本の経済の低迷にまったく無関係ではありませんが、およそ誤差範囲です。主たる原因は国民にカネがないこと、一部の金持ちや高齢者がしこたま貯蓄しているため、庶民にカネが回ってこないことです。ですから、カネを国民に配れば景気はたちどころに良くなります。バブル経済の頃を思い出してみれば良いのです。

と言えば、御用学者は「昔と今は時代が違う、昔は高齢化していなかったし、潜在成長率も高く、人々の購買欲も高かった」としたり顔で言うかも知れませんね。しかし本当ですか?

日本のデフレ化は、バブル経済の崩壊後に「いきなり」始まったのです。もしデフレの原因が高齢化、潜在成長率、価値観の変化にあるというならバブルが崩壊すると同時に、いきなり高齢化社会、潜在成長率の低下、人々の価値観の変化が生じたのか?そんなはずはありません。そうしたものは徐々に変化するからです。ではいきなり変化したのは何か?おカネの増え方なのです。

日本の不況は高齢化でも、潜在成長率の低下でも、人々の価値観の変化でもなく、おカネの供給が急激に低下したことで始まったのです。そして低下した状態は今でも続いているのです。

(グラフ:マネーストックの伸び率と経済成長率)

グラフを見れば誰でも直ぐにわかります。小学生でもわかる。ところが新聞テレビ、御用学者は見ざる、聞かざる、言わざるを決め込み、おカネ以外の理由探しを始めたのです。それが、高齢化、潜在成長率、価値観の変化です。そして、それがさも原因であるかのように、何度も何度も繰り返して国民を洗脳してゆきます。

もちろん、それらがまったく無関係なのではありません。関係はあるのですが、決して「主因」ではないのです。ここを見間違えると、問題は迷宮に入ってしまいます。

だからおカネを国民に配り、国民所得を引き上げれば日本の景気はまるでウソのように回復します。ウソだと思ったらやってみればいいのです。もう20年もおカネの増加を抑えてきたのですから、いい加減に元に戻すべきです。バブル崩壊前の水準までおカネの供給量を戻し、そのおカネを国民に配るべきです。にもかかわらず、何かの理由をつけては逃げてきたのです。

おカネの供給量をバブル崩壊前に戻すだけなので、ハイパーインフレなどになるわけがありません。バブル期でもインフレ率は3%程度です。そんな心配よりバブルの再燃(銀行債務の膨張)への対策の方が重要でしょう。それは規制強化で対処できます。

いい加減に「低成長の理由探し」はやめましょう。
国民におカネを配るのです。

2017年10月11日水曜日

今回の選挙に期待したい結果

ぶっちゃけ、自分が「今回の選挙でこうなったらいいな」と思っていることを書きます。

いつの選挙もそうですが、「緊縮の議員がすべて落選」することを期待しています。が、そういうことは現実には起きないので、今回の選挙では、「緊縮の総理が出ないこと」これを最も望んでいます。その意味では不本意ながら安倍首相が最も適任です。

野党はすべて金融緩和に消極的で、財政出動の規模も、全然足りない安倍政権よりさらに少なくしたいようです。身を切る改革などと主張する政党もあります。国会議員が身を切るのは勝手ですが、その代わりに国民にも増税で身を切ってもらうなど、ふざけています。

積極的な金融・財政という点では、アベノミクスを超えようとする政党はありません。野党はアベノミクスのようなショボイ金融・財政すらやらないというのですから、これでは安倍政権の維持を望むしかありません。そういう意味で、自民党・公明党で過半数を獲得することを望んでいます。

仮に過半数を下回った場合、自民党と他党の連立政権となり、安倍首相の代わりに自民党の誰かが新たな首相として出てくるでしょう。自民党内には「緊縮議員」がひしめいていますので、緊縮議員が首相に選出されて、それでなくともショボイ安倍政権の金融・財政政策が、さらにショボくなる恐れがあります。

他党についてはどうか。希望の党がベーシックインカムを打ち出したことは、おおいに評価すべきことだと考えています。小池氏自身が述べた「AIからBIへ」を彼女が十分に理解しているとは思えませんが、これから時間をかけて修正すればいいと思います。ですから、希望の党が第二党としての地位を確立することを望んでいます。もちろん、希望の党がベーシックインカムを取り下げるようなことがあれば、お話になりません。

希望の党がベーシックインカムを主張すれば、希望の党に親和的な人々の間で、急速にベーシックインカムの考え方が広がる可能性があります。これは、これまで欧米に比べて立ち遅れてきたベーシックインカムに関する国民の知名度を引き上げる効果があるはずです。もしベーシックインカムを主張する政党が第二政党の地位を確立すれば、その効果はさらに大きくなるはずです。

希望の党のベーシックインカムは、まだまだ稚拙なために、相当な批判を浴びるでしょうが、ひるむことなくベーシックインカムの主張をより活発に展開していただきたいです。

安全保障に関して言えば、曲がりなりにも保守系が主流になると予想されるため、根本的な問題の解決には至らないものの、当面は心配していません。

左派系の野党に関しては、とても残念ですが期待していません。本来は左派系の野党こそ先頭に立って、より積極的な金融・財政政策をリードし、ベーシックインカムの旗振り役を務めていただきたかったのですが、どうやらその反対の方向に向かっています。とても社会主義を目指しているとは思えません。ずっとそれを望んできたのですが・・・・。

ということで、極めて勝手な自分の願望を書きましたw。

まとめとしては、安倍政権が過半数で政権を維持、希望の党がベーシックインカムを前面に押し出した上で第二党の地位を確立する。これですw。


2017年10月10日火曜日

ヘリマネで円安になっても大丈夫な理由

ヘリコプターマネー(通貨を発行して国民に給付する)政策を行うと円安になり、輸入物価が上昇して生活が苦しくなるのではないか、と心配する声があります。確かに円通貨を発行すれば円安になりますが、それで生活が苦しくなる心配はありません。所得がそれ以上に増える可能性が高いからです。

2017.10.10

(ねこ)
景気対策としておカネを発行して国民に配る「ヘリコプターマネー」はいい政策だと思うにゃ。でもおカネを発行すると為替市場で円安になり、輸入品の価格が値上がりするから生活が苦しくなると心配する人がいるのにゃ。大丈夫なのかにゃあ。

(じいちゃん)
大丈夫じゃ、しかしこれを説明するのはいささか困難じゃ。つまり一言で片付けられるほど単純ではないからなんじゃ。だから話は長くなってしまう。さて、円安の問題よりもまず最初に頭に入れて欲しいことが二つある。

①国民の購買力は物価と所得の双方で決まる。
②日本の輸入力(購買力)は輸出競争力で決まる。

(ねこ)
ふ~ん、どういうことかにゃ。

(じいちゃん)
①国民の購買力は物価と所得の双方で決まる。

仮に物価が上昇しても、同時に国民の所得が増えれば国民の購買力は逆に向上し、人々の生活が豊かになることは十分にある。その実例がバブル崩壊前までの日本経済じゃ。例えば高度成長期の日本はインフレ率が5%以上もあった。しかしその20年間に賃金が7倍にも増えたので、インフレはまるで問題にならなかったんじゃ。オイルショックというインフレ騒ぎもあったが、あれは中東戦争などによって生じたもので、極めて短期間に終わった事故のようなものじゃ。じゃから、仮に物価が上がっても所得が増えれば国民の購買力は維持あるいは向上する。

②日本の輸入力(購買力)は輸出競争力で決まる。

貿易はおカネを利用して行われる。しかし実際にはモノがやり取りされている。だから基本は物々交換なんじゃ。だからその国の製品の競争力が重要になってくる。つまり輸出競争力の高い製品をたくさん生産できる国は、そのぶんだけ外国からたくさんの商品を輸入することができる。それが基本じゃ。そしておカネはあくまでもその交換の仲介をしているに過ぎない。だから大きく見れば、日本の輸出競争力が高ければ、日本は高い購買力を持つことになり、より多くの商品を輸入できる。つまり貧しくなることはない。

貿易はおカネが絡んでくるため非常に複雑じゃが、この二つを頭に入れておけば、そんなに惑わされることはないと思うのじゃ。

(ねこ)
ふ~ん、それで、円を発行して国民に配ると円安になるにゃ。すると輸入品の物価が上がるけど、それでどうなるの?

(じいちゃん)
まずヘリコプターマネーを実施するということは、国民におカネを配ることじゃ。じゃからそれだけで国民の所得は向上する。仮に毎月1万円のヘリマネを実施するとすれば年間12万円の給付となる。たとえば家族(4人)だと支給額が年間48万円で、年間消費400万円の家計だとすると12%の所得向上に匹敵する。もし物価が12%値上がれば相殺されてしまうが、それほど物価が上昇するとは思われない。毎月1万円のヘリマネを実施すると年間15兆円のおカネが増えるわけだが、これは日本の現預金およそ900兆円のわずか1.6%に過ぎない。

為替相場は両国間の通貨供給量によって決まるとするソロスチャートと呼ばれる考え方がある。これは投機で有名なジョージ・ソロス氏の考案したチャートなんじゃが、短期的に誤差はあるものの、長期的にはよく一致しているという。ドルと円であれば、ドルと円のおカネの量の比率で交換比率、つまり為替相場が決まるのというのじゃが、考えてみれば当たり前じゃ。

すると、ドルと円の為替市場で、円の総量が1.6%増えただけで為替が12%も動くとは考えにくい。しかも、影響を受けるのはあくまでも輸入品・輸入資源に関わる製品だけだから、そのほかに日本国内で生産される様々な商品の相場と合算した結果としては、物価全体の変動は為替の変動幅よりも小さくなる。

よって、物価の上昇幅はヘリマネで国民に給付されるおカネの金額を上回ることはないと思うのじゃ。

(ねこ)
ふにゃにゃ~ややこしいのにゃ。

(じいちゃん)
そうなんじゃ、非常にややこしい。おまけに話はそれで終わらない。もし円安になったら貿易はどうなるじゃろうか。円安になると日本の国際競争力がどんどん高くなる。すると日本の製品が外国でバンバン売れるようになるから、貿易黒字が大量に出る。輸出企業の業績が伸びれば日本の景気は良くなり、当然ながら人々の賃金が上昇して所得は向上する。最初は輸出産業だけが儲かるが、やがて国内全体に波及することになる。これはバブル崩壊前に日本が貿易を急速に伸ばしたことで国民所得もどんどん増えたことを思えば容易に理解できるはずじゃ。また円安になれば海外へ移転した企業の国内回帰も考えられる。

また貿易黒字が大量に出ると、為替市場では円買いが行われて円高圧力が生じてくる。これによって、円安にはある程度の歯止めがかかる。ゆえに貿易黒字による円買い実需がストッパーとなって、円安が過度に進むことは防がれると思うのじゃ。

よって、円安による輸出拡大によって景気が活性化し、国民所得が向上することで円安による輸入品の価格上昇の影響は吸収できると思うのじゃ。

(ねこ)
ややこしいにゃ~、でも所得が増えればインフレなんか気にしなくても大丈夫なんだということは、わかるのにゃ。インフレを心配するよりも、むしろ国民所得を向上させる方法を考えた方がいいにゃ。

(じいちゃん)
まったくじゃな。じゃが話はまだおわらん。円を発行すれば円の金利が低下するので円を借りやすくなる。この円を借りて為替市場で売り、ドルに換えて海外に投資するいわゆる「円キャリー」が活発化する可能性もある。そうなると円は為替市場で売られるため、円安が加速する恐れはあると思う。しかし一方でベーシックインカムによって内需が拡大すると日本の経済が成長するため、投資機会を提供することになる。日本国内に投資する場合は円通貨が必要になるから、為替市場では円を買う動きが出て、円安は抑制される。

そして、一番ややこしいのが投機じゃ。これまでも世界で為替がおかしな動きをしてきたのは、マネーゲーム、為替投機に原因がある。短期的に投機の動きを予測することはほぼ不可能なんじゃ。何しろゲームじゃからな。もし投機の動きを正確に予測できるヤツが居れば、たちどころに大富豪になれる。だから投機がどれほど為替に影響を与えるかわからんのじゃ。

リスクとしては、円の売り浴びせじゃろう。これに応じて日銀が中途半端に円買い介入すれば利ザヤを与えることになる。しかし日本の通貨量は膨大じゃから、おいそれと売り浴びせはできないじゃろう。またこうした空売りは、売るための資金を借り入れ(あるいはレバレッジ)によって調達することで拡大する。マネーゲームにカネを貸さないように規制したり、あるいは通貨制度を改革することでかなり抑制できると思う。

おカネは貿易のような実体経済とは違って、利ザヤを抜くために複雑な動きをするため、為替がどの程度変動するかを事前に予測することは難しい。

(ねこ)
おカネは本当にややこしいのです。本来は単純なはずの経済を複雑でわかりにくくしているのです。

(じいちゃん)
まあ、やむを得ないところじゃな。じゃが経済の基本はあくまでも財(モノやサービス)を生産して交換することにある。じゃから先に説明した①と②の考え方からすれば、心配する必要はないと思うのじゃ。物価を気にするよりも、国際競争力の高い製品を生産し、国民の所得を増やすことを考えた方が結果として国民は豊かになるはずじゃ。

とはいえ、頭でそう理解しても不安はあるじゃろう。そこで予防策を講じておくことが必要だと思う。その予防線はインフレターゲット政策じゃ。

インフレターゲットとして、例えば3%を設定するとしよう。そしてヘリマネを毎月1万円の支給からスタートする。そして物価の動向を慎重に見ながら、可能であれば次の年に毎月2万円に増やす。もし3%を超えそうなら次の年の増額は取りやめて2万円でしばらく様子を見る、という具合じゃ。ただし景気が良くなるとインフレになるのは当然なので、物価ばかりに気を取られてはまずい。国民の所得が増加している可能性が高いからだ。

国民の豊かさは物価変動を差し引いた実質購買力、あるいは実質所得によって左右されるので、これが伸びているうちはインフレを心配する必要はない。それこそ、高度成長期のように5%のインフレ率でも給料がどんどん増えれば問題ないんじゃ。

じゃから、インフレターゲットを設定してそれを超えないように、国民の実質所得にも気を配りながらヘリマネを行えばそれほど心配する必要はない。仮にインフレの抑制が厳しいようなら消費税を増税して消費を抑制することでインフレを抑えることもできる。それを財源として低所得者への再分配を強化する。

(ねこ)
にゃるほど、やり方には工夫が必要なんだにゃ。ただ漫然とカネを刷って撒けばいいわけじゃないにゃ。

(じいちゃん)
ほっほっほ、そんなことしたら大変なことになるぞ。本当におカネはわかりにくいし、これが誤解や混乱の原因になっておる。とはいえ貨幣経済を放棄するわけにもいかん。しかし経済の本質が財の生産と交換にあることをしっかり頭に描いておくなら、漠然としながらも、正しい方向性は見えてくるはずなのじゃ。

(サイト記事として同時掲載)

2017年10月7日土曜日

ベーシックインカム逓増法で反対論を封じる

ベーシックインカムを小額から始めて徐々に増やす(逓増)方法の導入により、多くの反対論を簡単に封じることができます。それ以外にも方法はあるでしょうが、私はこれをお勧めします。

ベーシックインカムをいきなり毎月10万円とか15万円にするのではなく、毎月1万円からスタートして徐々に増額し、10年で毎月15万円まで計画的に増額する。場当たりではなく、ロードマップをきちんと描いて目標金額を掲げ、不断の決意で進める。それなら毎月1万円からスタートしても大丈夫です。

逓増法を使えば、反対論者に簡単に反論することができます。

「財源がない」

>毎月1万円の支給から始めれば財源は通貨発行益だけで賄うことが現実的です。毎月1万円の支給に必要な予算は年間約15兆円です。現在、日銀の量的緩和で発行されるおカネは年間80兆円ですから、その程度は問題なく供給できるでしょう。毎年インフレ率の様子を見ながら、通貨発行だけで毎月3~4万円程度まで、徐々に増加することは可能でしょう。

「通貨発行だけでは賄えないから増税になる」

>小額のベーシックインカムは景気回復の呼び水となる可能性があり、そうなればわざわざ増税しなくても、税収がグンと増えます。また、既存の給付型社会保障の予算を一部付け替えることも財源として考えられます。それにより毎月8万円~10万円程度まで賄える可能性があるでしょう。あくまでも増税は最終手段であり、最初から増税など必要ありません。

「代わりに社会保障が切り捨てられる」

>毎月1万円程度の支給だけで、年金や生活保護などの社会保障を切り捨てるなど考えられません。せいぜい、等価減額(BIで1万円増やしたら、1万円だけ減らす)でしょう。そもそも通貨発行で財源を確保するのに、社会保障を切り捨てる必要などありません(儲けが出てしまいますw)。もちろん、将来的にベーシックインカムだけで十分な生活保障ができるようになれば、年金も生活保護も不要になるでしょう。

「働く人がいなくなる」

>小額ベーシックインカムの月額1万円程度で働かなくなる人はいないでしょう。徐々に様子を見ながら支給額を増やしていけば、離職者が急激に増えることを防ぐことは十分に可能だと思われます。将来的に豊かな社会になれば、働く人が減るのは当然です。

「ハイパーインフレになる」

>ベーシックインカムによって国民の購買力が増えるのですから、当然ながら消費が増えて人々が豊かになり、インフレが発生します。しかし物価は市場における需要と供給のバランスによって決まるので、毎月1万円程度の小額ベーシックインカムでハイパーインフレになるほど消費は過熱しません。ベーシックインカム毎月1万円の予算は約15兆円ですが、これを毎年供給してもマネーストックの伸び率は年率1.6%程度に過ぎません。バブルの頃はカネが溢れており、マネーの伸びは10%ちかくありました。しかしバブルの頃でもハイパーインフレにはなっていません。今はデフレなのでインフレになったほうが良いくらいです。

「円が暴落する」

>金融緩和を毎年80兆円もやってますが、円は暴落していません。毎年15兆円程度の通貨発行は問題にならないでしょう。また、円安そのものは日本の輸出産業に追い風となります。景気がますます良くなります。輸入物価が上昇するとしても、ベーシックインカムによる所得向上と、好景気による賃上げの両方が期待できるため、それほど問題にはならないと思われます。

「ベーシックインカムは行き詰る」

>行き詰ることは考えられませんが、仮に行き詰っても問題ありません。毎年1万円の支給から初めて毎年増額し、5万円の支給段階で行き詰ったとしても、それ以上に支給額を増やせなくなるだけであり、誰も困りません。おそらく増額が厳しくなる最大の理由はインフレだと予測されますが、インフレは供給不足が原因ですから、生産性の向上、技術研究開発、設備投資を促進すれば解消すると思われます。

こんな感じです。

2017年10月4日水曜日

豊かな社会を築く基本は2つだけ

経済システムは複雑です。しかし良く考えてみると、豊かな社会を築くための基本的な原理はわずか2つだけであり、それを原点に考えると経済はすっきりわかります。

①より多くの財(モノやサービス)を生産すること
②生産される財の量に見合う必要かつ十分なおカネを配ること

基本原理はわずかこの2つだけです。御用学者や新聞テレビのごちゃまぜ情報で頭が混乱するならば、まさにこの2つの立場から考えを整理すればスッキリするでしょう。

どうすれば社会が豊かになるか?それにはまず、財(モノやサービス)をより多く生産すればいいのです。財が多ければ多いほど、社会が豊かになるのは当然だからです。ですから、まずこれが第一の原理になります。これに異論を唱える人は、さすがに居ないでしょうw。

次に、財がどれほど豊富にあっても、それを買うためのおカネが人々に十分に行き渡らなければ、単に在庫の山ができるだけで、人々はちっとも豊かになりません。国民におカネを行き渡らせることが、第二の原理になります。これも異論はないと思います。

ほとんど、小学生でもわかる話ですね。しかしこれこそが、豊かな社会を築くための基本原理であり、経済政策の根本的な目的となるのです。

もちろん、この2つの原理をいかにして達成するか、その方法は様々であり、それゆえに経済論には多くの流派が存在すると考えられます。しかし、その中でもこの2つの原理に明らかに反している考え方が存在しています。まったく論外の考えです。

それが「緊縮財政」です。

この緊縮財政を推進する財務省の御用学者の記事が、なんと10/4付け読売新聞の1面のド真ん中に、堂々と掲載されていました。つまり、読売新聞のスタンスは緊縮財政です。

その記事は「安倍政権が全世代型社会保障で若者への給付を増やすなら、高齢者への社会保障は抑制すべき」と主張します。しかし、これでは高齢者の年金は減少してしまいます。あっちを増やせば、こっちを減らす。こんな発想では社会は豊かにならないのです。

そもそも、技術革新によって日本の生産能力はこれからもますます拡大するはずです。人工知能やロボットによって、生産能力は飛躍的に増加するでしょう。社会全体の財(モノやサービス)の生産量が増えるのですから、どうして高齢者をわざわざ貧しくする必要があるのか?

社会全体の生産量が増えるなら、あっちを増やせば、こっちを減らす必要はありません。両方増やすことが可能なはずなのです。ところが、財務省の御用学者はこんな小学生レベルの理屈すら理解できません。次のように主張します。

「高齢化社会で生み出される富の量は減るのだから・・・・」

さすがに、腰が抜けるほど驚きましたねw。これがどこそこの研究員だそうですよ。この人は未だに人間が財の生産の主力だと思い込んでいます。まあ100年前の人ですね。今日、財の生産は機械が行います。生産設備つまり「資本装備率」こそが生産量の最も大きな要因なのです。

財務省の御用学者も読売新聞も、「日本はもうダメ、貧しくなる」という、根拠のない後ろ向きの悲観論が前提なのです。こんな前提では国民生活が良くなるはずがありません。

このように、緊縮財政は「豊かな社会を築く基本」に明らかに反しています。経済政策の考え方には、いわゆるリフレ派、ケインズ派といった考えの違いはあります。しかし方法論の違いはあれ、両者ともに基本原理に反するものではありません。しかし緊縮財政だけは明らかに違うのです。

緊縮財政。これこそが、日本の生産力を毀損し、国民を貧困化する忌むべき考え方なのです。




2017年10月3日火曜日

ワイズスペンディングじゃあ旧民主党と同じ

ワイズスペンディング(賢い財政支出)の考え方は、歳出の総額を増やさずに内容を最適化する方法です。しかしこの方法は掛け声だけで何もできなかった「旧民主党政権」と同じ考えです。所詮、おカネがなければ何もできないのです。

旧民主党政権においても、ワイズスペンディングによって社会を変えようと考えられていました。おカネの使い道を変えるのだと。そして実際、民主党が打ち出したのがコンクリートから人へ、つまり「人」への投資であり、また少子化対策としての「子供手当て」であったわけでしょう。

人への投資や子供手当ての考え方は極めて正しい政策であり、それは今の安倍政権が似たようなことをしていることからも明らかです。安倍政権が最近打ち出した「全世代型社会保障」など、政策名が違うだけで、目指す方向は同じです。だから、民進党は安倍の争点潰しにあってしまったわけです。

では、旧民主党政権の何が根本的に間違っていたのか。財源に関する考え方です。あくまでも歳出を増やさず、限られた税収の範囲で、歳出の使い道の変更によって人への投資を実現しようとしたことです。これこそが、民主党の非常に甘い点だったのです。

予算の付け替えだけで、それほどの予算は捻出できません。あれだけ事業仕分けだなんだと大騒ぎしても、出てくるおカネは微々たる金額に過ぎません。それでは大きな政策を打つことなど不可能なのです。だから掛け声だけで何もできずに終わってしまった。もしあの時、旧民主党が頭を切り替えていれば、今頃は社会も大きく変わり、自民党の1人勝ちに終止符が打たれていたかも知れません。

しかし旧民主党は金融政策に関して極めて保守的な考え方しか持ち合わせておらず、もっと言えば、おカネの仕組み、意味をまるで理解していませんでした。そのため、ヘリコプターマネーはおろか、日銀の量的緩和政策にすら考えが及ぶことはなかったわけです。

世の中はカネの手当てができなければ何もできません。しかし、カネさえ手当てできれば、それを生かす生産力・技術力のパワーは日本に余るほどあるのです。実際にパワーが余っている(労働力・資本過剰)からデフレなのであり、賃金が低下してしまうのです。もしパワーが足りないのならデフレではなく、日本はとうの昔にインフレになっているはずです。つまり、足りないのはおカネなのです。

そうした極めて簡単な、小学生でもわかる理由に気付けば、今まさにおカネを発行し、それを財源として大胆な政策を打つべき絶好のタイミングであると理解できるでしょう。まさに絶好のタイミングなのです。今しかない。なぜそれをミスミス逃してしまうのか。

もし、小池氏の希望の党がワイズスペンディングで世の中を変えられると考えているのであれば、それは旧民主党政権とまったく同じです。実に甘い。予算の付け替えで出たショボイ財源で打てる政策など知れています。その場合、結果は見るまでもなく、旧民主党と同じ結果になるはずです。つまり、希望の党はイメージだけ良くて結局は何もできないまま終わるのです。

2017年10月2日月曜日

衆院選の争点は自民党内の総理交代です

衆院選の争点が様々に言われますが、最終的に選挙で何が決まるのか?安部内閣の継続か、それ以外の自民党の総理に代わるか、その選択だけでしょう。政権選択(与野党交代)の選挙ではありません。

民主党が政権交代を実現した2009年の時に比べて、安倍内閣の支持率がそれほど低いわけではありません。ですから、新たな政党である「希望の党」が単独で政権を確保できる可能性は高くないと思われます。とすれば、もし仮に自民+公明が過半数を割り込んだとしても、希望の党との連携のような形になるはずであり、新しい政党への政権移行はありえないと思われます。

そうであるなら、次のような図式になるはずです。

①自民+公明で過半数の場合
=安倍政権の継続

②自民+公明で過半数割れの場合
=安倍以外の自民党政権

つまり、衆院選挙の後でも、自民党政権であることは変わらず、安部自民党政権か、それ以外の自民党政権か、その選択になるわけです。

つまり、新聞マスコミの解説するような争点など、あって無いようなモノだと思います。事実上、投票からもたらされる結果は①または②なのですから。ですから、あまり争点を複雑に考える必要はなく、むしろ複雑に考えるほど頭が混乱して判断を誤るだけ、そんな気もするのです。

とにかく、安倍以外なら誰でもいい、政策なんかどうでもいい、つまり「安倍おろしが目的化している」人にとってはチャンスかも知れません。そういう人は財務省や文科省をはじめとする官僚には多いでしょうね。安倍は政治主導の下に官僚と厳しく対立していますから。左派系の中にも、とにかく安倍でなければ誰でもいい、という人はいるようですし。

それにしても、希望の党からは、なにも政策が出てきません。とりわけ国民の最大の関心事項であるはずの経済政策、マクロ政策についてはまったく不明です。消費税の増税延期だけでは、あまりにも不十分です。どんなマクロ政策で行くのか。新聞マスコミも、ドタバタ劇で騒ぐのは好きでも、まともに取材しません。

しかし、新しい政党がこんなザマでは、また安倍自民党に投票するしか選択肢がないという、馬鹿げた事態になりそうな予感がします。各政党とも、一刻も早くマニフェストを発表して、マクロ経済政策に関するスタンスを明確にして欲しいですね。

希望の党に投票するかどうかは、マクロ政策で決めます。