2016年4月12日火曜日

ユーロ圏は崩壊するしかない

ユーロ圏の各加盟国からは通貨の発行権がはく奪されています。統一通貨だから当然です。この状態は日本で言えば、各国が地方自治体になってしまった状態です。地方自治体には通貨の発行権がありませんから。地域通貨は無いに等しいですし。

たとえば、東京がドイツでフランスが大阪で、鳥取がスペインで青森がギリシャくらいの感じです(たとえるなら)。日本では大都市に人が集まり経済が発展する一方で、地方は疲弊しています。同様の事態はユーロ圏でも発生するはずです。しかし、日本であれば、政府が「再分配」によって青森や鳥取におカネを配分し、地方との格差を縮小したり、地域開発を支援するわけです。

ところがユーロ圏では、ドイツやフランスがおカネをスペインやギリシャに再配分したり、経済格差を縮小するために無償でスペインやギリシャを支援するわけではありません。実際にはドイツがギリシャにカネを貸して利子を取るのです。東京都が青森県にカネを貸して利子を取るようなものです。おかしな話です。

この状態を解消するには、ユーロ圏にも中央政府のようなものが必要となり、例えばユーロ政府がユーロ圏全体に課税して、再分配政策や地域開発を担うわけです。でなければ、ギリシャやスペインは慢性的に貿易赤字で貧しく、過疎化が生じ始め、国として衰退は免れません。それは日本の都市と地方の関係を見ればあきらかです。

しかし、日本は同じ日本人の国ですから、東京都民の税金で青森県を支援したところで文句を言う人は(一部の変なヤツを除いて)いないわけです。しかし、ドイツ国民の税金でギリシャを支援すると言えばどうなるか?メルケルは何と発言しているか?

多民族国家として有名なのは旧ソビエト連邦であり、旧ユーゴスラビアです。それらの国はいずれも崩壊しました。多民族国家としては、中国もありますが、中国が崩壊しないのは、暴力や言論弾圧、思想統制でウィグルやチベットを支配しているからに過ぎません。アメリカも多民族ですが、各民族が同じ場所に混在するため普通の多民族国家とは事情が異なります。

ユーロ圏は通貨だけ統合するという、不完全な政府であり、社会システムとしての完全性を求めるならユーロ政府が必要です。しかしユーロ政府は前代未聞の巨大な多民族国家の誕生を意味します。

マスコミや多くの識者が手放しで賛美するユーロは理想郷となるのか?いいえ、確実に崩壊すると思います。