2017年2月28日火曜日

悪を退治しても世の中は変わらない

政治家の言動を見ていると、やたら戦うのが好きな人がいます。○○を倒せ!悪と戦って退治する。しかし悪を退治したところで社会システムを変えなければ、新たな悪が登場するだけです。

水戸黄門的な世界観。悪いヤツがいて、そいつをやっつければ一件落着。そういう世の中ならありがたいです。しかし実際にはいくら悪をやっつけても新たに出てきます。社会システムを変えない限り、エスカレーター式に下から次々にあがって来ます。その結果、いつまでたっても悪者探しと悪者退治を繰り返します。

やたらに戦うのが好きな政治家がいます。そういう人は大衆に受けがいい。戦う政治家、悪と戦う闘士。人間の本能にはとても共鳴します。よく言われるポピュリストは闘争を前面に押し出します。このタイプは右派にも左派にもいます。それは人間の本能なので不可避であり、悪いことではありませんが、それだけで終わってしまうと単なる動物です。それがポピュリズムです。

どのように社会システムを変えるのか。ビジョンとプランがあるか。明確なビジョンと手法、ロードマップ短中長期のプラン。それをしっかり確認しなければなりません。逆に言えば、それをしっかり確認したうえで行われる大衆運動は、どれほど感情的であっても決してポピュリズムではありません。

動物である人間を突き動かす動機は感情にあり、理性ではありません。ですから変革を求める行動が、悪との戦いという表現を取ることはやむを得ないと思います。しかしあまり感情的になると感情に飲まれ、対象を倒すことだけが目的化し、倒すことで満足してしまう。

そして大衆は
「悪を倒したのに、ちっともよくならないぞ」と騒ぐのです。

2017年2月27日月曜日

子供の「将来どんな人になりたい」を叶える

小学生くらいの子供に「将来はどんな人になりたいですか」とたずねることがあります。するとお医者さんだったり、サッカー選手だったり、アイドルだったり様々です。とはいえ、それはなぜかと問われて「おカネが欲しいから」と答える子供は居ないと思うのです。

子供がいろいろな「仕事する人」になりたい理由はおそらくテレビなどで見ていて、カッコいいとか素敵とか感じて憧れるからだと思います。ある意味ではそうした仕事の将来の成り手を増やすために、メディアを通じて洗脳しているとも受け取れますが、それはそれで悪いこととは思えません。多くの人々の役に立つ仕事をして活躍する人や、彼らが賞賛される姿をみて成り手が増える。社会はより良くなるはずです。ですから、仕事のすばらしさをもっとメディアを通じて社会に広めることは、悪いこととは思いません。

しかしメディアを見て「金が欲しいから仕事したい」という子供はいないと思いますし、子供が「僕は将来、おカネのために働くんだ」と言えば多くの大人は興ざめしてしまうに違いありませんw。つまり、本当は「仕事とはカネを得るための手段である」と誰も思っちゃいないんです。カネなんか関係なく、仕事は仕事、カッコいいし素敵なものであるべきなのです。

だから、「ベーシックインカムで所得が保障されると働く人が居なくなる」なんて言う人間は純粋ではありません。彼らは「人間はカネのために嫌々働く存在である」と主張している、あるいは自らが「カネのために働いている」連中だということです。おそらく子供の頃の夢など現実の前に潰されて、ただ賃金労働に忙殺される大人だということです。そういう社会が理想ですか。

子供は活躍する大人の姿を見て育つ。そして自分の将来の夢を描く。原始の昔から、動物の本能がそうさせるに違いありません。カネが欲しいから働くのではなく、働くのがカッコいいから働く。もちろん挫折もあれば方向転換もある。でもそれはあくまで仕事がしたいからするのです。労働市場とは無関係に、それを実現できる社会が良いと思います。

2017年2月26日日曜日

リンクの追加しました

「読んで面白いと思った記事」(左下サイドバー)に、二本リンク追加しました。

日銀に財源はいらない(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO13296490T20C17A2EN2000/

いまさら感は強いものの、日経の記事なら盲目的に信じる人が多数いるので、意味は大きいでしょう。簡単に言えば、「発券銀行に財務上の赤字という考えは無意味」ということです。


「ブロックチェーンとは結局何なのか」(ビットコインニュース)
http://btcnews.jp/gotoh-blockchain-report-16q3/

仮想通貨の基本的なしくみがとても分かりやすい記事。自分的にもわかりにくかった部分がスッキリしました。その記事からPDF版へのリンクもあり。


2017年2月24日金曜日

マクロ政策で企業の内部留保を増やすべき

以前は「企業の内部留保は問題だ」と思っていました。しかし考えを変えました。もちろん企業が内部留保を増やす行動を推奨するのではありません。「マクロ政策として企業の内部留保を増やすことが重要だ」と考えるようになったのです。

日銀による金融緩和でデフレを脱却できない状況を見てもわかるように、銀行にカネを積んでも経済は動きません。企業はカネを借りてまで投資を行わないからです。いくらゼロ金利と言ったところで、銀行は金利ゼロでカネは貸さない。しかも銀行から借りたカネは必ず返さなければならない。

一方、企業にカネが積まれれば、やがて投資に向かわざるを得ないでしょう。内部留保が積みあがれば、多少無謀な投資で損失を出しても財務は悪化しません。つまりリスクを取りやすい。しかも借金(借り入れ)による投資ではないので、金利上昇による財務の悪化を心配する必要もない。債務超過の心配はないですし、借りたカネを返さなければならない心配もない。

多くの企業が無借金経営になり、さらに内部留保が積みあがれば、そのおカネを再投資することは、銀行から借金して投資することに比べて遥かにリスクが低いです。デフレで怖気づいた企業はリスクを取りません。ですから企業のリスクを軽減してやれば投資は必ず増えると思います。

そのためにマクロ政策で企業の内部留保を増やします。
それがヘリコプターマネーです。

ヘリコプターマネーにより国民に給付金を給付すれば、そのおカネは消費を押し上げ、同時に企業の収益を高めます。すると企業の債務は返済され、さらに売り上げが増えれば内部留保を蓄えるようになるでしょう。企業にカネが積まれれば、やがて投資に向かいます。

もちろん「株主利益第一主義」の連中は、投資より株主への配当金を増やせと言うに違いありません。冗談ではありません。ヘリマネのおかげで利益が増えたのであって、株主は何の働きもしていない。ですから同時に配当金の税率を上げます。税収増にもなります。

銀行がいくら低金利でカネを貸すとはいえ、こんな弱い消費では借りて投資する意味がありません。ヘリマネは消費を押し上げつつ、企業の利益による再投資も促すわけです。

世の中のおカネが増えれば、借金をしなくとも投資が出来る。
借金で投資しなければならない必然性はありません。

借金依存資本主義から脱出しましょう。



2017年2月23日木曜日

人手不足より需要不足が問題だ

マスコミは人手不足を盛んに報道し、その一方で賃金がほとんど伸びないことを不思議だと言う。しかし建設業界の人件費は2011~2015年にかけて1.3倍に増加しているらしい。つまり本当に人手が足りなければ賃金は増えるわけです。今はまだ人手不足より需要不足が問題です。

建設業の人手不足は本物です。自分が建設会社を辞める前は採用業務も担当してましたから、職人さんを募集していたのですが、とにかく集まらないので困りました。そうなれば当然ですが他社の給与より高く設定しようと考えるわけです。今年の札幌は雪が少ないので除雪費も少ないのだろうと思いきや、例年より高いそうです。理由は除雪で活躍する重機のオペレーターの人件費が高騰しているから。本当に人が足りなければ賃金は上昇します。

ですから本当に人手が不足しているのは、ごく一部の業界であって、実際には人手不足はマスコミが大騒ぎするほど深刻ではないと思われます。企業アンケートで多くの企業が人手不足を訴えているのはなぜでしょう。企業は先を読んで動く性質がありますから、本当に人手不足で困る前に少人数の応募をかけるでしょう。それで集まらないため危機感を覚えるのだと思います。私が担当していた時もそんな感覚でしたから。

ですから、まだまだ人手不足は深刻じゃない。バブル経済の時の方がずっと人手不足だったに違いありません。こんなしみたれた景気で人手不足など、まるで認識が甘いと思います。当時はアルバイトだけで正社員より豊かな生活が送れる「フリーター」が大勢いたんですからね。

そもそも人件費が本当に高くなるとしたら、転職が活発化してからではないでしょうか。正社員は簡単に給料は上がりません。契約社員も他社に乗り換えなければ給料は上がりません。本当に景気が良くなれば企業は「引き抜き合戦」を始めるので、そうなれば人材の移動に伴って賃金が上昇すると思われます。人材派遣会社が倒産するくらいに景気がよくならないとダメでしょうw。

ですから人手不足より、今は需要不足です。景気はこんなもんじゃありません。世の中のおカネを回せばまだまだ良くなる。バブル時代からすでに20年以上も経過し、当時より生産技術は格段に進歩しているはずです。労働力人口比率が低下しても国民1人当たりの生産力はむしろ向上しているかも知れません。もしそうならバブル景気以上に景気がよくなっても不思議はない。

そのためには、「カネ回り」です。バブル経済がまずい点は「カネを借金で供給する」こと。だから金利上昇で崩壊する。「借金でなく通貨発行でカネを供給」すれば崩壊しない。

だからヘリコプターマネーなのです。

その副作用は銀行の貸し出し増加(借金膨張)による株・不動産バブル。これを抑えるには100%マネー(通貨改革)です。

2017年2月22日水曜日

ベーシックインカムは技術的失業で説得

人工知能やロボットによる大量失業問題に関する世論の認識はまだまだ相当に低いようです。この問題の深刻さを理解すれば、ベーシックインカム的な政策(例えばヘリマネ)が、たとえ部分的にでも不可欠であることを必ず理解するはずだと思います。

米国政府や野村総研のレポートによれば、20年後には人工知能やロボットが労働者の仕事の半分を代替可能だといいます。その人数は日本の場合で3000万人にも達する。もちろんそれは最大数であって必ずそうなるわけではありません。しかしその1/3の1000万人としても膨大な数です。それだけの雇用を作り出すことはまず不可能でしょう。失業者があふれ出す大問題です。もちろんその結果、デフレ不況が深刻化します。

今はまだそんな危機感を感じないでしょう。当然です。技術的な進歩は直線的ではなく指数関数的に増加しつつ仕事を奪いますから、気が付いたときには、すごいペースになっているはずです。しかし大概の人は尻に火が付くまで真剣に考えません。火が付いてから大騒ぎするのです。それはマスコミもまったく同じ。たとえばトランプ氏が出てくる素地がアメリカで醸成されている段階ではまったく無視。トランプ大統領が誕生してから「なぜなんだ、どうしてなんだ」と大騒ぎ。

技術的失業問題が深刻化した段階で急に大規模な対策を行えば社会が混乱するでしょう。今から少しずつ手を打っておくのが賢いやり方だと思います。それは技術的失業問題を指摘している他の学者も主張しています。

そのことを世間にもっと知らせましょう。技術的失業問題こそ、ベーシックインカムを説得するために最も有効な切り口のはずです。人権、自由の側面から切り込むことも大切ですが、それらは価値観や思想であるため人によって超えられない溝があります。技術的失業はおカネと財の循環のメカニズムによって比較的簡単に、かつ合理性に説明できるため、説得力が高いうえに反論が難しいのです。反対論者の逃げ道はない。おそらくベーシックインカム以外の解決方法はないと思います。

技術的失業問題(AI・ロボット)から攻めましょう。

しかも日本経済は相変わらす消費が弱く、デフレから脱却が難しい。中国経済の減速や保護主義の高まりで外需依存の経済はますます厳しくなります。小額ベーシックインカム(ヘリマネ)から始めれば、社会に大きな混乱をもたらすこともなく、景気回復効果もある。つまり長期的な技術的失業対策だけでなく、短期的にはデフレ脱却対策ともなる。一石二鳥ですよw。

景気が回復すれば、企業の投資も拡大するし、ますます人工知能とロボットの導入が進むでしょう。それがベーシックインカムの持続可能性を高めます。生産資本が蓄積されれば、あとは生産者と消費者の通貨循環システムを組むだけです。

2017年2月21日火曜日

途上国のBI財源は消費税が適している

インド政府がベーシックインカムの導入に前向きだと言います。日本のような先進国とは異なり、途上国がベーシックインカムを採用する場合の財源は消費税が適していると思います。

途上国と先進国はどこが違うのでしょうか。生産能力つまり生産資本の量に大きな違いがあります。途上国はインフラ設備、工業設備、農業設備のような生産設備が十分ではありません。労働力人口は多いのですが現代社会では人間ではなく設備(機械)が生産の大部分を担いますから、たとえ人口が多くても1人当たり生産力としては決して高くありません。

そのため、もし人々に過分な所得を与えるなら需要が爆発的に増大し、供給が間に合わなくなって激しいインフレを引き起こす恐れがあると思われます。先進国の場合は供給力が極めて大きいですから、たとえ人々の需要が増えても機械が稼働して生産が増大しますから、インフレになりにくいです。つまり余力がある。ここに大きな違いがあります。ですから途上国でベーシックインカムを行う場合は供給能力を超えた需要が発生しないよう注意すべきであると考えられます。

途上国においてベーシックインカムの財源を考える場合は先進国とは異なる方法を用いるべきだと思います。それが消費税を財源とする方法です。消費税を財源としたベーシックインカムを行えば、消費される財の総量はほとんど増えません。売れるモノの量が増えないのでインフレにならないわけです。

消費総量を増やすことなく再分配を行えば所得格差を是正して貧困を解消できます。これは明確な再分配政策です。生産能力の低い途上国におけるベーシックインカムは、過度なインフレを抑えるために「再分配であることが必要」だと思われます。

逆に言えば、日本のような生産過剰・消費不足のデフレ社会で消費税を増税してベーシックインカムを実施しても消費の拡大効果が見込めず、デフレも解消しません。生産力の有り余っている日本で必要なことは再分配ではなく「分配」です。それを間違えるとベーシックインカムで「日本を平等に貧しくする」危険性もあると思われるのです。


2017年2月20日月曜日

自然エネルギーがダメなのではない

東日本大震災による原発停止後、旧民主党が再生可能エネルギー特別措置法を制定して、強引に太陽光発電を増やしたおかげでそのコストが電気料金に上乗せされ、国民や企業の負担が増えました。おまけにその太陽光発電事業者も最近は破綻が増え、散々な状態です。そのため人によっては「自然エネルギーはダメだ」と決め付ける人もいるようですが、それは大きな間違いでしょう。自然エネルギーがダメなのではなく、旧民主党(民進党)がダメなのです。

自然エネルギーの技術開発はまだ十分とは言えません。なぜかと言えば発電設備を設置するためのコストがまだまだ高いからです。しかしコストはテクノロジーの進化よって確実に低下するでしょう。つまり優先すべきことは焦って自然エネルギーの設備を建設することではなく、技術開発への大規模な投資だったわけです。技術開発の結果としてコストが十分に下がる見込みが付いた段階で大々的に発電設備を建設する。それが自然エネルギーの導入手順であるはずです。

ところが、旧民主党はまだコスト低減技術が不十分な段階で、「自然エネルギーへの方向転換」という理想論、あるいは脱原発イデオロギーのような政治的理由によって強引に導入を推し進めたのです。これが問題の原因です。あせって騒いで損をする。物事の優先順位、ロードマップを描けない連中が暴走して会社を倒産させるのと同じです。しかも反省すらしない。

民進党は何事においても実利よりイデオロギー、理念先行の傾向がある気がします。そしてその負荷を国民に押し付けてきて、あたかも「理想のためにお前ら我慢しろ」と言いたげな気がします。理想は大切ですが、実現するためには手順や優先順位が重要です。それを無視して突っ走ると問題が発生します。

最近、民進党がベーシックインカム(実際には負の所得税)を口にしているようです。ベーシックインカムは理想として良いのですが、民進党にかかると財源のために消費税をどーんと増税し、結果としてベーシックインカムも日本の経済も両方ダメにする嫌な予感しかしない。

頼むから、民進党はまともな提案をしてくれ。


2017年2月17日金曜日

政策提言ならもっと大胆に

ある新聞社が紙面で「政策提言」を公表しました。提言の骨子は「育児と介護政策で安心感→経済成長、そのためには消費税」という財務省の提言かと思われるような内容でした。古すぎる。そんな程度で対処できるなら日本が20年間も失われたりはしません。

自分だったらこう提言します。自分の提案の基本は「テクノロジーの育成」です。社会保障はテクノロジーが実現します。社会保障の財源の本質はカネではありません。人々が生活するために必要な消費財(サービス含む)です。仮に全国民が使い切れないほどの消費財が生産されるなら、貧困はありえない。生活に不安を持つこともないし、無理をして子供を預けてまで働く必要もない。

消費財を生産するのは人間ではなく機械です。もはや人間が居なければ消費財が生産出来ないとする考えは時代遅れです。だから機械による生産技術、つまり人工知能やロボット、完全自動生産工場の研究開発が消費財の生産力に直結します。

まさにテクノロジーが供給力を飛躍的に押し上げ、それこそが社会保障の財源となるのです。ですから研究開発投資が政策提言の核になります。消費税の増税など何の役にも立たないどころが害悪に過ぎません。

①政府として研究開発に大規模な投資

予算の組み替えは必要ありません。これまでの予算に上乗せして研究開発投資を行うのです。科学技術振興費は現在年間1.3兆円しかありません。これを10兆円くらいにして、政府主導でリスクの大きい基礎研究を、民間を助成して実用段階の技術の開発ペースを加速させるわけです。この支出は一過性ではなく永続します。投資分野は生産能力に関わる人工知能、ロボットなど、さらに資源分野として太陽光、地熱、新素材、省資源、代替資源。そして介護分野です。研究開発費では米国・中国に遥かに負けています。にもかかわらず危機感がありません。

研究開発は生産コストの低減に極めて有効です。国土強靭化にしろ、自然エネルギー開発にしろ、大切です。しかしまず優先するのはテクノロジーです。テクノロジーによってコストダウンを図れば、同じ投入量でもより多くのアウトプットが得られます。

②ヘリコプターマネー

大規模投資の財源はヘリマネ(通貨発行)です。もちろん脱デフレのために給付金として国民へ支給することも検討されるべきです。脱デフレが民間投資も促します。とはいえ企業が儲かっても、内部留保を増やすだけかもしれません。信用できない。だから当面は政府主導の投資は欠かせないと思います。法人税の減税は必要ありません。そのぶん、企業の研究開発を支援した方が効果的でしょう。

刷ったカネを世の中に投入し、そのカネが回り始めれば税収は放置しても勝手に増え続けるでしょう。増税の必要などまったくないはずです。カネを刷って回す。その根拠がテクノロジーの進化による供給力の向上にあるわけです。もちろん供給力が向上しなければインフレを招くことになりますから、バランスが重要です。

そして税収が増えれば、育児も介護も福祉も、すべて持続可能です。つまり「安心社会の実現→経済成長」は間違い。「経済成長→安心社会」なのです。その鍵を握っているのがテクノロジーであると思うのです。間違っても消費税の増税ではありません。

2017年2月16日木曜日

ベーシックインカムは徐々に導入すべき

2017.2.16
(ねこ)
ベーシックインカムはテクノロジーの進化に伴う技術的失業問題を解決するだけでなく、社会保障としての機能も有する優れたシステムだ思うにゃ。でも、いきなりベーシックインカムを導入すると世の中が混乱しないか心配だにゃ。

(じいちゃん)
ベーシックインカムはまったく新しい制度じゃから、社会に混乱を招く心配がまったく無いとは言い切れんじゃろう。そこでワシはいきなり完全なベーシックインカムを実施するのではなく、徐々に導入すべきだと考えておるのじゃよ。その一つの方法が増額方式じゃ。

ベーシックインカム制度の導入直後から毎月12~15万円の最低生活保障の金額を支給したら、仕事を辞めてしまう人が続出するかも知れん。すると社会が大混乱になってしまう。「ベーシックインカムを導入しても仕事を辞める人は増えない」と主張する人も居るが確たることはわからない。じゃからリスクを避けるために、小額のベーシックインカムから初めて徐々に支給金額を増加させる方法が良いと思うのじゃ。そして十年から十数年かけて完全に最低生活可能な金額まで増額するんじゃ。

(ねこ)
にゃるほど、いきなり高額のおカネを支給するんじゃなくて小額から始めれば仕事を辞める人はほとんどいないから大丈夫だにゃ。様子を見ながらベーシックインカムを徐々に増額すれば、社会に何か変化が生じたとしてもそれほど大きな変化ではないから、容易に対処できるはずだにゃ。

(じいちゃん)
しかも月額1~2万円程度の小額ベーシックインカムから始めるなら財源として増税を行う必要は無い。仮に1万円を全国民に給付するために必要なおカネは約1.2兆円じゃ。年間なら約15兆円で可能じゃ。現在、金融緩和政策として日本銀行が年間80兆円の現金を発行して民間銀行から既発行の国債を買い取っておる。この80兆円のうち15兆円を使って新規に国債を買い取り、これを財源として政府がベーシックインカムを実施することが可能じゃ。このように政府がおカネを発行して国民に給付することをヘリコプターマネー(ヘリマネ)というんじゃ。

おカネを世の中に供給すれば必ず消費が増えて景気が良くなり税収も増加するじゃろう。そうすればベーシックインカムを継続するための税収も徐々に増えてくるという寸法じゃよ。ヘリマネという手法については反対意見も多いが賛同者も多い。デフレ脱却の効果もあるので十分に検討すべき政策じゃと思う。

(ねこ)
増額方式のほかにもベーシックインカムを徐々に導入する方法はあるのかにゃ。

(じいちゃん)
年金・子供手当て方式がある。これは高齢者と子供に対するベーシックインカムから始めて、徐々に適用する年齢を拡大してゆく方法じゃ。ベーシックインカムに反対する理由として仕事を辞める人が増えるとの指摘があるが、65歳以上の高齢者と15歳未満の若年者は労働力人口ではない。じゃから高齢者や子供にベーシックインカムを支給しても仕事をする人が減るという心配はない。もともと働かなくてよい人々じゃから、そうした人が働かねば満足に生活できないことがむしろ問題じゃ。

いま高齢者の貧困が増加しつつあり、生活保護受給世帯の40%以上は高齢者じゃ。しかもどんどん増え続けておる。結局のところ貧困の高齢者には生活保護を支給せざるを得ないのじゃから、いっそのことすべての高齢者に無条件で支給する方がよいじゃろう。そして国民年金の保険料月額約16,000円は廃止する。今まで保険料を払い込んだ人については年金の支給額を上乗せしても良いじゃろ。

また子供の貧困も深刻化しており、6人に1人が貧困状態という信じられない事態になっておる。貧困家庭の子供が十分な教育を受けられないことから、大人になっても貧困から脱することができない「貧困の連鎖」も問題になっておる。こうした子供の貧困を解決する意味から15歳未満の子供、あるいは20歳未満の子供に無条件で一定のおカネを給付する仕組みを導入する意義は大きい。

まずは働かなくてもよい年代からベーシックインカムを導入し、さらに年金の支給開始年齢を65歳から徐々に引き下げてゆくわけじゃよ。

(ねこ)
にゃるほど、労働人口ではない人が仕事しなくても何の問題もないにゃ。まずは年金と子供手当てのベーシックインカム化から始めるのは面白いと思うにゃ。他にもあるかにゃ。

(じいちゃん)
そうじゃな、失業手当を強化する方法もある。こちらは失業している人だけに支給する方法じゃから、制度導入時に必要な予算は先の二つよりも少なくて済むかもしれん。現在の失業手当は金額が少ない上に期間限定じゃから、長期的な失業に対しては焼け石に水じゃろう。技術的失業問題による失業は長期化する恐れがある。なぜならテクノロジーの進化のスピードがあまりに速いため、新たな仕事が生まれるよりも仕事を失う人の方が遥かにはやいペースで増加すると思われるからじゃ。そうなれば一旦失業してしまうと、かなり高度で専門的なスキルでも持っていない限り、おいそれと仕事は見つからんじゃろう。

従って長期的な失業に対して十分なケアを準備して置かなければ、失業の増加によって深刻な7デフレ恐慌を招いてしまう恐れもある。じゃから失業手当の支給期間を無期限とし、失業している限り支給し続けるようにするんじゃ。

(ねこ)
そんなことしたら、みんな会社を辞めて失業給付を受け取るようになるんじゃないかにゃ。

(じいちゃん)
そういう心配はあるのう。それなら失業手当の支給条件として職業訓練を義務付ければよいと思う。職業訓練セミナーなどに参加して、未来型の産業に必要とされる様々なスキルを勉強したり、専門的な資格を取るんじゃ。そうすれば新しい産業に即戦力として就職ができる。そして成績や資格の取得状況に応じて失業手当の金額をUPする成果主義を加味してもよいじゃろう。それなら安易に仕事を辞める人は減るじゃろ。

とはいえ、いくらスキルや資格を取得したとしてもすべての人に職を与えることは難しいかも知れん。新しく生まれる仕事も次々に人工知能やロボットに置き換えられてしまうかも知れんからじゃ。すると結局のところ失業者は増え続け、やがてほとんどの人が失業給付で生活するようになってしまうじゃろう。すると事実上ベーシックインカムみたいなもんじゃ。ただしこの方法だと正式なベーシックインカムのように「働いた分だけ所得が増える」ことにはならない。生活保護に近い。じゃから労働意欲を高める効果はあまり期待できんかも知れないのう。

(ねこ)
ふ~ん、いきなり完全なベーシックインカムを導入するんじゃなくて、段階的に導入するいろんな方法があるんだにゃ。これなら一概に「ベーシックインカムは良い、悪い」じゃなくて、方法論を含めた多様な議論が出来るにゃ。

(じいちゃん)
その通りじゃな。今説明した方法はあくまでワシが思い付く限りの範囲に過ぎん。まだまだ良い導入方法があるかも知れんので、みんなにも考えて欲しいと思うのじゃ。


2017年2月15日水曜日

「平等に貧しくなろう」の時代錯誤に驚く

あるご高齢の学者が「日本はもう人口が増えないのだから平等に貧しくなろう」と中日新聞の紙面に書き、ネットで騒ぎになっています。それなりの学者ですら、こんな程度の認識なのです。これでは日本が本当に貧しくなってしまう。

こうした高齢者は人工知能やロボットの現状と未来を知らないのでしょう。おそらく自分は先が短いからと思って未来に何の興味もない。だから「20年後に日本の約半分(6500万人)の仕事が機械に代替可能になる」という野村総研の研究レポートも、「AIに47%の仕事が奪われる」という米国政府のレポートも見たことがないはずです。もし見ていれば「平等に貧しくなろう」と考えることが、どれほど愚かであるか誰でも気付くはずだからです。

誰か学者先生に教えてあげたほうが良い。

とはいえ、厚生労働省も新聞マスコミも似たようなものです。彼らの大好きなフレーズは「1人の高齢者を何人の現役世代で支ええるか」です。発想がまるでこの学者と同じ。つまり彼らは生産活動を「人力に頼っている」わけw。人力車の時代に生きています。

1人の現役世代が人力車で運べる高齢者の人数はせいぜい2人です(逆に言えば2人で高齢者1人を支える)。ところが文明が進化すると1人の現役世代が「バス」というものを使います。こいつは1人の現役世代で40人くらいの高齢者を運べるわけです(逆に言えば40人で高齢者1人を支える)。さすがに高齢者でもバスはご存知でしょう。同じことです。1人の現役世代がロボットを使えば10人くらいの高齢者をらくらく養えるかも知れません。

高齢者を養うのは人力ではない。テクノロジーです。

高齢化による日本における生産年齢人口の減少は今後20年でおよそ600万人と推計されていますが、野村総研や米政府の推計が正しければ、20年後に機械に代替可能な労働者は最大で3000万人(労働者の約半分)*にもなります。つまり、生産年齢人口の減少の5倍の速度で機械化が進む可能性がある。人間が居なくとも機械が自動的に生産(サービス含む)してしまうのです。

機械が使い切れないほど富を自動生産する時代になるのに、どうすれば人々は貧しくなれるのか。意図的に貧しくならない限り、貧しくなることは困難を極めるでしょう。それとも「意図的に貧しくなることを望んでいる」のでしょうか?

しかし問題は、厚生労働省と御用学者、新聞マスコミそして大部分の高齢者の認識が未だに「人力車の時代」から一歩も先に進んでいないという驚愕すべき事実が明らかになったことです。人力車の時代を前提にして社会政策を論じられたのでは、たまったものではありません。これでは本当に日本全体が衰退して貧しい国になってしまう恐れがあります。

厚生労働省、御用学者、新聞マスコミ、高齢者の「人力車思考」を変えるべく、言論活動、ネット活動に励みましょう。

*修正しました

2017年2月14日火曜日

通貨改革なければリフレ派もケインズ派も失敗

リフレ派とケインズ派は何やら仲が悪く、互いに「お前の考えは効果がない」と非難しあっていますが、現在の通貨制度(準備預金制度)を改革しなければ、リフレ派もケインズ派もダメでしょう。

リフレ派の場合。アベノミクスで日銀が金融緩和してますが一向にデフレが解消する気配はありません。量的緩和しても世の中のおカネはあまり増えていません。増えても実体経済ではなくマネーゲームへ流れ込む始末です。世の中のおカネが増えないから労働者の賃金も増えないし消費も増えない。従って、有効需要が増えないからデフレ不況のままです。なぜでしょうか。準備預金制度では、誰かが民間銀行から借金しなければ、どんなに日銀がカネを刷っても一円も世の中に出て行かない仕組みだからです。この先、日銀が何千兆円刷ろうと、銀行から借金する人がいなければおカネは世の中に一円も流れ出さない。それが準備預金制度です。

ケインズ派の場合。政府が政府支出として世の中に直接おカネを流すので、世の中のおカネは確実に増えます。公共投資として使われたおカネはやがて労働者の賃金を押し上げますから、消費が増加し有効需要を増やす。流動性の罠に嵌った経済を活性化する効果が期待されるわけです。ところが準備預金制度の元では世の中に流すおカネを政府が発行することはできません。民間銀行から借金するしかないわけです。民間銀行から借金することで、世の中のおカネが増えるのが準備預金制度です。しかしこの借金がどんどん増えてしまいます。今では1000兆円にも達する状態で、これが将来へのツケなどと呼ばれて、緊縮財政が進められています。それによる社会保障の削減等を招いて社会を貧困化しつつあります。

どちらの問題も「準備預金制度」だから生じるのです。
もし「政府通貨制度」ならどうなるか?

準備預金制度は誰かが民間銀行から借金しなければ世の中のおカネが増えない。しかし政府通貨制度であれば、民間銀行から借金しなくとも、政府がおカネを発行して財政出動を行うことで世の中のおカネを増やすことができます。重要な点は「借金を増やさずに世の中のおカネを増やすことができる」ことです。

国債の発行ではなく政府通貨の発行で財政出動しますから、ケインズ派の主張する財政出動を行っても、国の借金が増える心配はまったくありません。財政出動といってもそれは公共工事だけを指すのではなく、科学振興費、社会福祉あるいは家計への給付金も含まれます。多様な支出をバランスよく増加することで、複合的に日本の景気を良くすることが可能です。

そして金融政策は金利ではなく、政府支出の増減と税率の増減によって行われることになります。つまり財政政策と金融政策の一体化です。金利やインフレ率のコントロールにもなるわけです。

2017年2月13日月曜日

金融緩和ができるのは国の借金のおかげ

国の借金が新聞マスコミから連日のように激しく叩かれています。しかし日銀の金融緩和は国債を買い取る、つまり国の借金を買い取ることで行われているわけですから、金融緩和は「国の借金のおかげ」です。国の借金ガーに感謝すべきですねw。

リフレ派が主流となった日銀は、金利操作のために民間銀行から国債をどんどん買い取る政策、金融緩和政策、つまり量的緩和政策を実施しています。国債が1000兆円ちかくあるため、買い取る国債は豊富にある。最近までにおよそ400兆円、既発行国債の40%を買い取ったが、まだ買える。すごい「国の借金ガー」です。

この借金はバブル崩壊後の財政出動、つまりケインズ派の政策によって膨らんだものです。これを新聞マスコミは条件反射のように激しく非難しますが、これやらなかったら「国の借金ガー」は1000兆円もなかったわけで、そうなったら日銀は買うものがなくて困ったでしょうね。ケインズ派がリフレ派を支える皮肉ですw。

では買うものが無くなった日銀は何を買うのか?まさか民間の株式や社債を買うわけにはいきませんね。どこかの企業に肩入れすることになりますから。ケチャップ買いますか。そんなことすれば新聞マスコミが吠えるでしょう。結局のところ、「新規の国債を買い入れる」しかなくなりますよ。

バブル崩壊後、日銀は量的緩和を実施しなかったため、世の中へのおカネの供給は、もっぱら政府が国債を買うことによって成されました。バブル崩壊当時の国債発行残額は今日のように豊富な状況ではありませんでしたから、もし当時、日銀が的緩和を行うとすれば、その時点で「新規の国債を買い取る」ことになったでしょう。

つまり、バブル崩壊後に新規国債を買い取らなかったため、今、その当時に発行された国債を買い取るハメに陥っていると思われるわけです。そうです、その当時に行うべきだった政策は量的緩和と財政出動のあわせ技、つまり「ヘリコプターマネー」だったのです。それを日銀が怠ったため、いま、時間差ヘリマネを実施するハメになったのです。だったら最初からすれば良い。

アホらしいと思いませんか?

もしバブル崩壊当時、ヘリマネを行っていれば、①世の中のおカネが増え②財政出動も行うことが出来た、わけですから、かなり有効だったに違いありません。すべて量的緩和を怠った日銀の失策です。当時、量的緩和と財政出動のあわせ技、つまりヘリマネがしっかり行われてさえいれば・・・。なぜそれが行われなかったのか?「日銀の独立性」などという妄想が日銀の暴走を許したのです。日銀と政府は一体(少なくとも協調)であるべきなのです。

ところがそんなこと、まるでお構いなしに新聞・マスコミ・御用学者はパブロフの犬のように、条件反射的に「国の借金ガー」を毎日のように繰り返し非難しています。完全に頭がイカレてると思いますね。

2017年2月12日日曜日

技術的失業問題の記事リンクを追加しました

技術的失業問題に関する資料・記事をサイドバーに追加しました。スマホご利用の場合はウェブバージョンにて左にサイドバーあります。以下は追加した記事とリンク。

<参考資料>
日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に(野村総研)
http://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx

<面白い記事>
仕事の47%はAIに奪われ、格差は拡大する:米政府報告書(WIRED)
http://wired.jp/2016/12/26/federal-report-ai/

賃上げならロボ導入?米マクドナルド「時給15ドルの戦い」(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ27H3C_X20C16A5000000/

2017年2月10日金曜日

分配の平等が当然な時代になる

「富を平等に分配する」という考えは、共産主義の考えだとして条件反射的に拒否する人は多いと思われます。冷戦時代のプロパガンダが未だに人々に強烈な暗示を与えているようです。

あるいは、働いても働かなくても同じ分配を得られるなら人間は働かなくなる、あるいは人々の競争意識を阻害し、やる気をそぐと信じられています。確かに悪しき平等ではうまく行かない。では、平等主義がなぜうまく機能しないのでしょう。

古い時代の社会では、富の大部分が人間の労働によって生産されていたからと考えられます。その場合、人間がより熱心に働けば、それだけ多くの富が生産されます。逆に言えば、人間が働かなければ生産される富の量が減ってしまう。そのため、「人間を労働に駆り立てる強力な動機」が必要だったわけです。この動機が「成果主義」です。つまり、すべての人に平等に分配するのではなく、成果を多く出した人間により多くの分配を与える。これにより人間の労働意欲を強化してきました。もちろん、貧しい時代にあってはそれが悪いとは言いません。

しかし人工知能や自動生産工場の開発がいよいよ加速してきた今日、富の大部分は人間の労働ではなく、機械によって生み出されるようになりつつあります。科学技術の進歩と共に以前からこうした傾向はあったのですが、これまでは依然として生産に人間が関与していたため、ほとんど意識されてきませんでした。しかし、人工知能やロボット技術の急速な進化により、いよいよ「富の生産に人間は必要ない」時代になったのです。

富の生産に人間が必要ない時代になれば、「人間を労働に駆り立てる強力な動機」としての「成果主義」の必要性は、極めて低くなります。確かに一部の優秀な技術者や科学者、あるいは製品開発者の労働は相変わらず必要ですから、そうした人々が高い報酬を得る仕組みとしての「成果主義」は必要でしょう。しかし、そうした人々の人数は近いうちに人口の1%にも満たないようになる(例えば日本の人口1億人として約100万人)と思うのです。

ですから、科学技術が進化すれば、生産に従事する1%の人々(100万人)に成果主義が必要であったとしても、残りの99%の人々(9900万人)に富を平等に分配することは、何ら問題はないと考えられるのです。むしろ成果主義に固執する考えは、科学技術の進化により、間違いなく時代遅れになるでしょう。

もちろん、今すぐ100%平等に分配すべし、などという話ではありません。すぐ極論を持ち出す人がいますからね。近い将来に備えて、徐々に世の中を変えるべきだという話です。いまこの時も機械化が着実に進んでいるのですから。たとえばそれがヘリコプターマネー(小額ベーシックインカム)であるわけです。

科学技術の進歩と共にこれまでの常識論は否定されます。いつまでも古い常識を盲目的に信仰していると、それだけで社会の進化は停滞してしまうと思います。

2017年2月9日木曜日

トランプ流の問題解決法は成功するか?

トランプ大統領は口八丁手八丁で、とにかくヤル(実行する)、といった印象です。政治家としては珍しいタイプなので世界的に大騒ぎになっていますが、ビジネスの世界では良く目にするタイプです。とにかく動いて揺さぶる。

人によってそのやり方を好む人も嫌う人もいますが、それも一つのやり方ですから善悪で判断はできないでしょう。もしかすると「数撃てば当たる」方式で、試行錯誤の結果として良いところに落ち着くかも知れません。ただしそのやり方が成功するかどうかは未知数だと思いますが。

トランプ氏は、彼の主張が大衆に受け入れられて当選したのですから、その主張を実行してみせるのは当然でしょう。選挙で主張したことはブレずに実行してみせる。それが民主主義です。実際、各国でマスコミや政治家が大騒ぎしている「7カ国からの入国禁止措置」についてもアメリカ国民の半数近くが支持しており、反対は少数です。それをマスコミは「意外だ」と間抜けなことを言ってましたが、意外どころか当然でしょう。だからこそトランプ氏が当選したのです。

おそらく今後もトランプ氏はマスコミや外国の政治家の発言など意に介さず、口八丁手八丁で、とにかくヤルと思います。それが彼の流儀なのですから。彼を支持してくれた大衆に対して、実際にやってみせる。仮に問題があったとしても、やって見せなければ大衆は納得しません。そしてやってみたら問題が発生した。ならば大衆にその問題を見せた上で修正する。それなら大衆は納得するでしょう。

今までの政治家もマスコミも、大衆が何と言おうと「そんなことしたらおかしくなる」「そんなことしたらハイパーインフレになる」「そんなことしたら財政破綻する」のように理屈を振り回して無視してきたのです。それで大衆は怒った。チェンジといいつつ何も変えないヤツに怒った。だからトランプ氏が大統領になったわけです。とにかくヤル。そして修正する。それには柔軟な対応力が求められると思います。果たしてトランプ氏の能力はいかほどか。

この方法は既存の政治家にはなかったやり方なので、果たしてうまく機能するかまったくわかりません。しかし面白い試みだと思います。日本でもやったらどうかって?まあ、あそこまで極端にやるのは勘弁して欲しいですねw。

2017年2月8日水曜日

御用一般人と、なんちゃってセレブ

御用学者という俗語があります。これは、常に役人の立場に沿った発言をして役人の主張や政策を弁護する学者のことです。異論は唱えないか、偽装程度です。今日で言えば、財務省が推し進めている消費税の増税や、年金削減などを強く主張している学者・評論家などがそうだと言えます。

御用一般人というネットスラング(俗語)があります。これは、役人あるいは御用学者でもないのに、役人の側に立って、役人の主張を擁護する(擁護したがる)一般の人たちです。御用学者は御用することで、研究費とか、原稿依頼とか、それなりの利益供与を受けている(違法にならない範囲で)わけですが、御用一般人の場合はそういうわけではありません。いわば自己満足なわけです。

しかし、自己満足は人間の動機として重要です。例えば他者より自分が優れているという優越感のようなものは自己満足感を高めてくれます。そういう点で、お役人という強い立場に同調することで、それを自分と重ね合わせ、優越体験を得ることができる、という点は否定できないでしょう。もちろん、それは一面であって、純粋に役人の理論に同調する場合もあるでしょうけれど。

ところで、自分が資産家でもないのに、資産家の立場に立って、資産家を擁護する一般人がいるように思われます。なぜかわかりませんが、富裕層に対する課税強化とか、格差の縮小を推進する動きに反対してくる人がいます。そこには御用一般人と共通する心理的な側面があるような気がするのです。こういう人を「なんちゃってセレブ」と呼んだらどうでしょう。自己意識だけセレブな人です。

でも、「なんちゃってセレブ」という言い回しは、ちょっと挑発的過ぎるかも知れませんね。ですからやめておきましょう。しかし、気のせいかも知れませんが、そういう傾向のある人が世の中に居るような気がするんです。なぜそういう人がいるのか不思議ですが、純粋に資産家に憧れている人、ファンなのかも知れませんね。

御用一般人もなんちゃってセレブも、人間の一側面ですから、その立場を一概に否定はできないと思います。しかし彼らとは話が合いそうにありません。


2017年2月7日火曜日

日本には「サイバー政党」が必要だ

右派がダメなら左派もダメ。テクノロジーの進化を100%社会システムに活かせる政党がない。日本の未来のためには「サイバー(サイバネティクス)政党」が必要だと思います。

人工知能やロボット、完全自動生産システムによって、1人当たり生産性が爆発的に増加し続けている現代社会において、未だに消費税の増税、緊縮財政、社会保障削減、市場原理主義、成長戦略が唱えられている。まるで前時代的なカネのシステムから一歩も抜け出せない拝金主義の右派が政権を握り、その対抗勢力たる左派がまた冷戦時代の遺物のような、労働運動の延長線を徘徊している有様です。お先真っ暗。

まったく「宝(テクノロジー)の持ち腐れ」とはこのことです。

右派も左派もテクノロジーの進化を殺してしまう。こんな連中に任せていると日本は終わってしまいます。テクノロジーの進化によって日本の課題の多くは解決できます。テクノロジーとエコロジーを核に据えた「サイバー政党」が必要です。右派も左派も関係ない、テクノロジーが最重要です。

なぁんて主張すると、なにやらSF系のシミュレーション・ゲームに出てくる、宇宙のサイバー種族みたいな想像をしますが、別に妙に体にぴったりした金属色のボディースーツを着用する趣味はありませんw。むしろエコロジカルで緑豊かな自然環境に恵まれた未来社会を想像して欲しいです。

それを実現するのはカネの力でも労働運動でもありません、テクノロジーの力です。カネへの欲望ではなく知識への渇望です。銀行家や投資家ではありません、研究者や開発者だと思うのです。

まあ、サイバーなんて聞くと、知らない人はビビるかも知れないのでネーミングはイマイチですがw。


2017年2月6日月曜日

負の所得税より国民配当が良い

民進党が負の所得税(給付付き税額控除)を日本型ベーシックインカムと偽称しつつ政策として打ち出しました。しかし負の所得税よりベーシックインカムとしてきちんと給付金を支給するの方がデフレ脱却に効果的だと思います。

ところで、サラリーマンなら必ず経験がある「年末調整」ですが、これは払いすぎた税金が還付されるもので、実際には何ら得をしていません。しかし大部分の人はこれを「得した」と感じるのではないでしょうか。こうした心理が人々の購買欲を刺激します。一方、年末調整が行われず、毎月差し引かれる給料が修正されるだけなら、得した気分になりませんし、何の刺激もありません。

思わぬおカネがポンと出るほうが心理効果は高い。たとえば毎月1万円を税額控除するより、ゴールデンウィーク前の4月に12万円を一括支給する。それらは連休中の旅行、買い物など、広範囲に消費に費やされると考えられます。もちろん貧しい人は給付金で生活が楽になる。それが生きたおカネの使い方ではないでしょうか。

ですから、まずはヘリマネ(通貨発行)でベーシックインカムをスタートする。そうすれば景気が回復し、税収も増加し、それがベーシックインカムの財源へとつながってゆくはずです。負の所得税より国民配当が良いと思います。

ところが、民進党はその財源のために消費税を増税することを目論んでいる。そんなことをすれば、明らかに消費活動にマイナスであり、庶民の財布の紐が固くなって、仮に税額を控除したとしても貯蓄が増えるだけです。まさにアクセルとブレーキを平気で同時に踏むようなものです。

民進党は、経済を成長させる気がまったくない。

再分配を強化すれば確かに貧困の問題を解決することは可能でしょうが、それだけだと社会全体が豊かになるとは限らないわけです。消費税を増税すればますますデフレが悪化する。

ベーシックインカムは「世の中を回るおカネの量を適正化する」ことに経済政策としての意味があります。単に貧困層をなくすためだけの社会保障政策ではありません。テクノロジーの加速度的な進化にともなう技術的失業問題にも対応すべき経済システムでなければ意味がありません。財源を消費税に頼れば消費総量の減少を引き起こし、テクノロジーの進化に伴うメリットを相殺してしまうでしょう。

どうして民進党は「消費税増税」から一歩も抜け出そうとしないのか。まるで民主党・野田政権の最大の失策である消費税の増税を正当化するために、他の税には目もくれず、是が非でも消費税増税を導入しようとしているようにしか見えないのです。

2017年2月4日土曜日

「参考になる論文・文献」リストに追加

ブログ左側下の「参考になる論文・文献」リストに以下を追加しました。

・マルクス「資本論」英語版の日本語訳へのリンク

岩波から出ている資本論の訳は日本語が難しすぎてわけわかりませんw。資本論の英語版(エンゲルス監修)を翻訳したものがネット上にありました。こっちの方がはるかに分かりやすいです。英語版とはいえ、エンゲルスが監修しているので原書の翻訳と大きな齟齬はないかと思います。

・アイスランド通貨改革案の日本語訳

アイスランド政府の委託を受けてまとめられたという通貨改革案です。銀行の信用創造によらない金融システムについての提案のほか、これまでの金融システムの仕組みとその問題点についても比較的やさしくまとめてあるので通貨改革に興味のある人には参考になります。

・ケインズ「雇用、利子、おカネの一般理論」の日本語訳へのリンク

無料で読めますし、要約まで付いていますので重宝すると思います。おカネの無い人には非常にありがたいです。


2017年2月3日金曜日

米国の石油・ガスを買って黒字削減

日米首脳会談において、トランプ氏が日本の貿易不均衡を批判する可能性があります。これに対し、日本がアメリカにインフラ投資を行うとの話がありますが冗談ではありません。アメリカから石油・天然ガスの輸入量を増やすことで対応したいところです。

日本には石油も金属資源もほとんどありませんから、それらの資源は必ず輸入しなければなりません。その意味では必ず工業製品を輸出しておカネを稼がなければなりません。それならアメリカから稼いだカネでアメリカから石油・ガスを買えば丸く収まります。

もちろん石油は民間企業が買うわけですから、企業に「アメリカから買え」と強制はできませんが、賃上げ要請のように安倍首相は何かと企業に働きかけを行っていますから、実際の数量はともかく、そうした行動を行うことがアメリカに対するアピールになるはずです。そもそも対米インフラ投資だって民間に働きかける話でしょう。政府の直接支出のわけがない(そんなカネはない)。

日本の石油輸入額は年間で10兆円以上、天然ガスも5兆円以上ありますから、そのうち2割をアメリカ産に切り替えれば3兆円の貿易黒字が減少します。対米貿易黒字は年間およそ7兆円程度ですから、対米黒字の半分近くが解消します。

このまま貿易不均衡を放置すると、二国間貿易協定で強引に農産物を輸入させられたり、自動車に関税をかけられる危険性もあります。トランプ氏はシェールオイルの生産に積極的ですから、これを利用できれば、貿易不均衡に関する交渉カードに使えると思うのです。

追伸)原油の中東依存を低減すればシーレーン防衛の必要性は減るから、中国共産党による南沙諸島占領のリスクも減る。政情の不安定な中東に振り回されるリスクも減る。





2017年2月2日木曜日

トランプ氏の日本批判をチャンスと考える

米国トランプ大統領が日本批判し、日本のメディアがここぞと怒っているが、むしろ米国国民に日本を正しく知ってもらうチャンスと考えて大いに利用すべきだと思います。

アメリカの田舎にでも行けば、日本と聞けば未だにサムライ・カミカゼ・フジヤマみたいな連中がわんさといるに違いありません。それは冗談としても、おそらく日本を正しく理解しているアメリカ人は少数であって、大部分はトランプ大統領と同じような印象を持っているに違いありません。

とはいえ、何らきっかけのない状態で日本をアピールしても、アメリカ人の注目を浴びることはないですし、意識を変えることはできないでしょう。しかしあの口がでかいトランプ氏が絡めば衆目が集まります。そこで日本の主張をドンとアピールすれば、高い宣伝効果を得ることができます。

例えば、米軍駐留経費の負担率は日本が75%で同盟国中のトップ、韓国は40%、ドイツは33%(いずれも04年米国国防総省)であることを、何度も繰り返して米国のメディアにアピールする。日本の為替介入は2011年以後はまったくなく、それどころか介入をしなかったために、リーマン後のFRB量的緩和で日本は前代未聞の円高に襲われたことを米国メディアにアピールする。あるいは日本の自動車産業(関連含む)が米国で150万人の雇用を生み出していることを米国メディアにアピールする。

本当にアピールすべきなのはアメリカの外交官相手ではなく、一般のアメリカ人です。アメリカの外交官ははじめから100も承知しているのです。分かっていないのは一般のアメリカ人。だから、アメリカのメディアにどんどん露出しないとならないと思います。トランプ氏は大衆主義ですから、アメリカ国民の意識が変われば、それに従わざるを得ないはずです。今こそ宣伝拡大の絶好の機会です。

しかし日本はこれまで、こうしたアピールが極めて下手糞だったわけです。トランプ氏が日本を批判したからと言って、いちいち騒ぐ必要はありません。いかにトランプ氏を利用するかが重要です。今までの米国大統領と明らかに違うということは、今までとは違う成果を挙げるチャンスです。もちろん難しいチャレンジですが。

日本は、トランプ発言にうろたえることなく堂々としていれば良いのです。そして、予算を付けてでも、アメリカのメディアに日本の本当の姿をどんどん発表すべきだと思います。

2017年2月1日水曜日

民進党の日本型ベーシックインカムは論外

民進党が日本型ベーシックインカムなる政策を主張。しかしその内容はベーシックインカムの概念と大きく異なっており、人々の誤解を招く極めて憂慮すべき事態です。

民進党の自称する日本型ベーシックインカムとは何を意味するのか?それは民進党のサイトにあります。一部引用します。

”給付付き税額控除とは、所得税の税額から税額控除額を引いて、引ききれない税額があれば、その分は給付するというものです。これを私たちは、「日本型ベーシックインカム」と呼ぶことにしたのです。~ベーシックインカムとは、すべての国民に一定額の現金を給付するというものですが、私たちが提唱する「日本型ベーシックインカム」は、現金を給付することは考えていません。”


https://www.minshin.or.jp/article/110657/

これは給付付き税額控除、つまり税制(負の所得税)です。これは貧困対策なのです。ベーシックインカムの最も重要な要件である「無条件に支給」が完全に無視されており、ベーシックインカムと呼べません。給付付き税額控除を勝手な解釈で「日本型ベーシックインカム」と名称しているのであって、限りなく「偽称」に近い行為です。

おそらく給付付き税額控除の名称よりも、耳あたりの良さそうなベーシックインカムという用語を使いたいがための「こじ付け」でしょうが、これはベーシックインカムに対する国民の正しい理解を妨げ、無用な誤解を与えるものです。

本来、ベーシックインカムは制度的にシンプルであり、導入が簡単です。しかし民進党の方法は、大幅な税法改正や行政への負担を強いる方法です。おかげで早くも与党から突っ込まれる始末です。民進党が日本型ベーシックインカムを国会で語った記事から引用します。

”蓮舫氏は「消費が伸びないのは、ライフステージにおける節目節目の不安に政治が応えていないからだ」と首相の経済政策を批判。中・低所得者の所得を底上げする「日本型ベーシックインカム」構想を提唱した。ベーシックインカムは、政府が国民に基本的な所得を保障する制度。蓮舫氏は、所得税減税と給付を組み合わせた「就労税額控除」の導入を柱にした案を訴えた。首相は「所得や資産の把握が難しいといった問題や不正受給など多岐にわたる課題がある」と慎重な姿勢を示した。(朝日新聞記事より)”

http://www.asahi.com/articles/ASK1S33ZGK1SUTFK001.html

そもそもベーシックインカムには、所得や資産の掌握、不正受給の問題はあり得ないのです。無条件支給だからです。安倍首相の批判はまるで当たらない。ところが民進党はわざわざベーシックインカム制度を捻じ曲げて制度欠陥を生じさせ、そこを与党に突っ込まれる、まったくあきれたものです。

ベーシックインカムに「日本型」なんて必要ありません。そんなものは「民進党自己満足型」です。なぜありのままを受け入れられないのか?民主党オリジナリティの存在感を示したいという、やましい根性があるのではないか。しかも、財源の話はなく、それとなく「消費税増税」を匂わせている。財務省の○○め。

左派のくせに消費税の増税とか、金融緩和の反対とか抜かして困った連中だと思っていたが、今度はベーシックインカムまで自分の都合で捻じ曲げてきた。民進党はもうたくさんだ。日本には、もっと正常な左派政党が必要です。