2023年6月29日木曜日

円安はカネを増やしたからではない(データあり

 マスコミに登場するとんでも評論家のせいで、「日本の通貨が安くなったのは、コロナ対策のためにカネを発行したからだー」とヒステリックに騒いでいる人がネットにはたくさんいます。しかし、これは明らかな間違いです。データを示しましょう。

 確かにコロナ対策で日本政府が膨大なおカネをばらまいたことは確かです。そのために世の中のおカネは増えました。しかし、おカネをばら撒いたのは日本だけの話ではありません。アメリカも欧州も、世界中の国でおカネが増えています。日本だけがおカネを増やしたのであれば、たしかにおカネを増やしたことが円安の原因になるでしょうが、そうではないのです。

 例えば、日本がおカネを4倍にした時、アメリカが2倍に増やしたなら、アメリカのドルに対して日本の円が多くなりますから、円安になるでしょう。では、実際にはどうだったのか。

 2019年末から2021年末の2年間において、マネーストック(およそ)は

日本 1040兆円→1180兆円 約14%の増加

米国 15.5兆ドル→22兆ドル 約42%の増加

 なんと、米国は日本の3倍以上もおカネを増やしていることがわかります。もしおカネを増やしたことが通貨安の原因であれば、日本の3倍もおカネを増やしたアメリカのドルが安くなるはずです。にもかかわらず、円安なのです。だから、円安の原因は、おカネを増やしたためではなく、中央銀行の目標金利の差なのです。

 残念ながら、とんでも経済評論家は、こうした金融の基礎的なデータを調べもせず、比較もせず、ただ「おカネが増えたから円安になった」と吹聴し、それを真に受けて一般国民が騒いでいるのです。

 嘆かわしいことです。