2015年1月5日月曜日

NHK「ネクストワールド」 技術の進歩に経済システムが追いつかない

昨日は「あれは平均点だ」とか番組に文句付けましたが、それでも興味があるので二日目も視聴しました。テーマは「寿命はどこまで伸びるか」。

一番驚いたのは、NMNとかいう物質で、人間のDNAに組み込まれている「老化を抑制する遺伝子」を発現させる物質だそうです。初めて聞きましたね。しかも老化を遅らせるだけでなく、細胞を活性化して組織を若返らせる機能があるという実験結果は、衝撃でした。

そもそもDNAには「テロメア」という分裂を停止させる部位があるため、若返るなどあり得ないと思ってましたから。そのあたりはどうなってるんですかね。細胞の活性を高めるだけなのか。

ガン細胞に選択的に薬剤を投入する「ナノマシン」も面白いです。ナノマシンというから、機械工学的な何かをイメージするのですが、そうじゃなくてバイオテクノロジーに極めて近い。考えてみると、バイオつまり細胞は微細構造であり、ナノマシンがその仕組みを利用するのは当然ですね。

そのように考えてみると面白い。マシンと言えば、加工して組み立てるイメージがありますが、そうではないのです。タンパク質は複雑な3次元構造を自ら形成するため、これを利用すれば、分子レベルで立体構造を作り、それを組み合わせて機能を持たせる事も可能なわけです。実際、太古の昔から細胞の中ではそれが機能してきた。それを生体膜に組み込むわけですね。

場合によっては、DNAという単純な塩基配列を人間が合成すれば、リボゾームなどの細胞内小器官を利用して、極めて複雑なたんぱく質を正確に合成できるかも知れませんね。そういうのも一種の3Dプリンタかも知れません。

そんでもって、番組では「人々の間で若返りの処置を受け入れるか受け入れないか、意見が分かれる」とか言ってましたが、そうですかねえ。若返りを受け入れない人などいるわけがないと思います。ただし「これ以上生きながらえても、苦しみしかない」なら誰も若返りは望まない。もしそうなったら、世の中おわりです。

それより、平均寿命が100歳になったら、年金制度は確実に破綻します。一方、高齢になっても健康で頭も体も動くなら、労働する事も苦にならなくなる。労働すれば年金もいらない。

むしろ問題なのは、完全雇用の達成という事になるのではないでしょうか。生産技術の進歩とともに、ますます「労働力過剰・需要不足」が深刻化するはずだからです。

いずれにしても、技術の進歩は早いのに、経済システムは昔からまったく進歩していません。それがどんどん歪となって社会に蓄積しつつあるのではないかと思うのです。