2015年1月15日木曜日

なぜ r>g なのか? 21世紀の資本

読んでいないので偉そうな事は言えませんが、ネットなどの解説によれば、ピケティは有名な著作「21世紀の資本」の中で、資本収益率は経済成長率より高い、つまりr>gであると主張しているそうです。それゆえ、資本主義においては「資産家とそれ以外の人々の格差が拡大する」という話です。

ところが、従来の考えでは、資本主義の初期の段階では格差は広がるものの、やがて格差は解消されるという考えが常識だったそうです。そんな不思議な常識が偉い経済学者の間ではあったんですね。しかし普通の庶民感覚では、まったくそんな気がしません。やっぱり、偉い先生は感覚がズレています。

では、なぜ格差が拡大するでしょうか?著作「21世紀の資本」には、その原因について書かれていないそうです。原因を特定するのは難しいですからね。そこで、勝手に推論してみます。

格差と言っても種類があり、ピケティが問題にしているのは、国民のトップ1%の「大富豪」の資産が拡大する事ですから、日本だと20~30万世帯くらいでしょうか。大富豪と平均的な国民との格差が拡大する原因と、平均的な国民の間で格差が拡大する原因は違うはずです。ですから前者についてのみ、考えます。

大富豪の資産がなぜ経済成長より早く増えるのか。こんなのすぐ推測できそうなものですけどねぇ。

一つは途上国への投資です。途上国の経済成長率は先進国をはるかに上回ります。資本の多くがこのような途上国に投資されれば、自国の経済成長(g)をはるかに超える資本収益(r)を得る事が可能です。しかも、途上国と先進国には為替差があり、先進国の産業を途上国に移転し、安い労働力を利用することで、より多くの収益(r)を得る事ができます。なぜ狂ったようにグローバリズムをすすめたがるのか?その理由はこれだと考えられます。

もう一つは、通貨膨張に原因があると思います。資本の収益がどこから生まれるのか?通貨の供給面から言えば、それは通貨膨張以外にないでしょう。つまり、世界全体の通貨が増え続けない限り、どこからもおカネは生まれませんからね。もしおカネが増えないのに資本の収益が生まれるとしたら、別の誰かからおカネを奪ってこなければなりません。

もちろん、経済成長は通貨膨張を伴いますが、通貨は経済成長以上に膨張します。すでに地球を数個も買えるほどのおカネが生まれているそうです。では、その膨張はどこで生まれるのか?

金融街です。金融街における収益率は経済成長などより遥かに高いわけです。ですから、実体経済の成長を通り越してバブル資産がどんどん膨らみ、やり過ぎて崩壊し、崩壊するたびに金融緩和や税金を使って政府が救済する。またバブルになる。

バブルが起きても崩壊するからプラスマイナスゼロかと言えば、それは一面的な見方に過ぎません。総資産がプラマイゼロでも、偏差、つまり資産家に向けて資産の転移が生じている可能性が高いと思います。簡単に言えば、一般人や小金持ちはバブルで資産を失うが、その資産は大資産家に吸い取られているということです。

なぜそんなことが可能なのか?バブルは「博打勝負」です。「勝ち逃げ」こそが勝利の方程式。大資産家にとって勝ち逃げは難しい事ではないでしょう。バブル崩壊後に、そこそこの安値で膨大な資産を購入します。やがてバブルは必ず発生します。そこそに値上がりしたタイミングで売り、利益を確定します。欲張らないのが肝心です。あとは、バブル崩壊のタイミングを決めるのです。

バブル崩壊は連鎖反応なので、ある程度の衝撃を与えれば大崩壊します。スーパー資産家ともなればマスコミにも露出しますので、前もって「バブルは限界だ」とポジショントークをやり始めるでしょう。配下の学者にも言わせます。あらかじめ市場に不安心理を埋め込む必要があります。そして、いっきに売り浴びせれば市場はパニックになります。

で、どこが逃げ遅れるか?素人個人投資家は真っ先にカモ。動きの遅い「年金基金」なども良いカモだと思います。こうして、庶民の資産は暴落。年金基金は減る。バブル崩壊後に、また資産家が底値で買う。

これを証明できるか?と言えばできません。
だから、永遠に原因は特定できないのだと思います。