2016年8月4日木曜日

「ベーシックインカム=最低生活」で良いのか?

ベーシックインカムと聞けば、一般の人は「最低限の生活を営むための所得を国民全員に支給することだ」と思うはずです。新聞マスコミがそのように報道するからです。しかし、少し考えればわかりますが、人工知能や生産能力が爆発的に拡大すれば、「最低限の生活」である必要はありません。

そもそもベーシックインカムは最低限の生活なのではなく、あくまでも基礎所得であって、基礎所得で贅沢な暮らしをできるようにすることが、未来に向けた人類の目標となるはずです。最低限の生活は単なる通過点に過ぎません。

それを実現するためにはどうするか?二つの視点から大まかに考えてみます。

①必要労働人口比率を下げる
=(必要総労働時間÷8時間)÷全人口
※8時間は所定内労働時間

働く必要のある人口の割合であり、人間の代わりに労働する人工知能やロボットによって労働者が置き換わることで低下します。実際の労働人口比率がこれを上回る限り、財の生産が需要に対して不足することはない(ただし、需要が急激に増加しないとする)。これがベーシックインカムの必要条件。働く必要のある人数が減ります。

②国民一人当たり生産量(質を含む付加価値)を増やす
=総生産量÷全人口

一人当たりに分配される財の量。これが大きくなるほど、一人当たりの豊かさ(所得)が増加する。これは生産力(生産設備の数や能力が増大する)の向上によって実現されます。人工知能が進歩して、人間と置き換わったただけでは生産力は増えません。設備の増強が必要です。

つまり、必要な労働者数を減らせば、ベーシックインカムの実現可能性は高まりますが、それだけでは基礎所得額は最低限の生活保障のレベルに留まります。しかし同時に総生産量を増加することができれば、基礎所得のレベルは次第に上昇することが容易に推測できます。

ロボットや人工知能によって働く必要のない人が増え、総生産力の向上によって、基礎所得の金額は増加する。未来社会ではこれを目指したいと思います。