2016年8月8日月曜日

ベーシックインカムは今すぐ毎月1万円から

ベーシックインカム(基礎給付金)は毎月1万円の給付金からスタートすべきだと思います。満額(月15万円)から始める必要はないと思います。ただし、明日からすぐにでもスタートしたほうが良いでしょう。

ベーシックインカム開始直後から最低限の生活保障が可能な金額(毎月15万円)を実現するのは、いろいろな面でハードルが高いでしょう。今のところ世間の反対論が非常に大きく、社会保障関係の権益、利害関係も絡むので、近々の実現は無理と言えます。ここは制度を大きく変更する必要のない、1万円から徐々に増やす手法のほうがはるかに実現可能性が高いと思われます。

ベーシックインカムを徐々に増やすことには、メリットがあります。それは社会に急激な変化を与えずに済むことです。もし社会に急激な変化を与えるなら、それは予測不能な大きな変化をもたらし、変化が大きいほど調整が難しくなる可能性もあります。

最初から満額のベーシックインカムを実施して、もし社会に大きな問題が発生すれば、「それみたことか」「ベーシックインカムは間違った政策だ」「共産主義の二の舞だ」という結論が下され、それをマスコミが繰り返し報道し続けることで「ベーシックインカム=悪」という社会常識が形成され、その後何十年もベーシックインカムは葬られてしまう危険性もあります。

しかし、もし10年かけて徐々に増額するなら、社会に与える変化は少なく、仮に何らかの問題が発生した場合でも対応は容易です。財源についても徐々に考えればよく、様々なことについて「実施しながら考える、修正する」といったことができます。つまり、大きく失敗して、反対論者にベーシックインカムを潰す口実を与える様なことがないよう十分な注意が必要です。

つまり満額ベーシックインカム実現運動をがんばって、10年後に満額支給を勝ち取るのではなく、1万円からスタートして徐々に増やして10年後に満額達成するほうが現実的であり、かつ予測不能なリスクも低いのです。

しかも、そのスタートのきっかけになりそうな話が目の前に転がっています。ヘリコプターマネーです。新聞マスコミはヘリマネを潰そうとして反対論者の記事ばかり掲載しますが、世の中にはヘリマネに賛同する学者も多いのです。日銀の金融緩和による経済効果が不十分なため、国民に給付金を支給する議論が出てきた。これこそチャンスです。ヘリマネで効果が現れれば、そこを突破口にして拡大すればよいのです。

まずヘリマネによる国民への給付金というレベルから始めるのであれば、少なくとも満額ベーシックインカムをすぐ始めるより多くの賛同者を得ることができると思われます。民主主義は数が勝負なので、賛同者の多い分野から切り込むのが戦略としては正しいと思うのです。