2017年8月9日水曜日

日本にはカネがあるようで実は無い

日本には家計の現金・預金がおよそ900兆円、企業の現金・預金がおよそ250兆円あります。なので「日本にはカネがある」と思っている人は多いでしょう。しかしそれらのおカネのほとんどは、有って無いようなものです。

現金預金は家計と企業の合計で1100兆円を超えますが、そのほとんどは貯め込まれているだけで使われていません。いわば「死蔵」されていると言えます。こうしたおカネは経済活動にほとんど影響を及ぼさないため、有っても無くても同じなのです。

たとえば、今、日本のどこかに徳川の埋蔵金が100兆円あったとしても、無かったとしても、動かないのですから同じことです。家計や企業の貯蓄も徳川の埋蔵金と同じで、動かなければ有っても無くても同じです。

ですから、驚くべきことに日本には「おカネが足りない」のです。おカネが足りないのですから、おカネを増やさなければ経済は決して良くなりません。

もちろん、この「死蔵されているおカネ」が、消費や投資に向かえば、おカネの不足は解消します。しかし、それは非常に難しいでしょう。バブル崩壊以後、日本の現金預金は増え続けており、家計も企業もおカネを使うより、貯め込む傾向が一貫して強いのです。これはもはや日本人の特性なのかも知れません。

それでもなお、社会保障を安定させれば社会不安が解消されて消費が増えるとか、岩盤規制を緩和すれば企業の投資が増えるとかいう主張が見られますが、もう10年以上も同じ主張を繰り返しているにも関わらず、何ら状況は改善しません。いい加減にアプローチの方法を変えるのはあまりに当然ではないでしょうか。

まず、経済活動は世の中を回るおカネの量で決まりますから、最優先にすべきことは、世の中を回るおカネの量を増やすことです。そのためには、政府が通貨を発行して国民に給付する。それだけで良いのです。国民がそのおカネを使うだけで、世の中をおカネが回り始めます。

世の中を回るおカネを増やす。それをしない政党は、どの政党であろうと、まったくダメです。まして、おカネを増やすどころか、世の中を回るおカネの課税を強化して(=消費税増税)、おカネを減らしてしまう(=財政再建)など、正気の沙汰ではないのです。