2015年11月17日火曜日

ブラック・ビジネスモデルに依存する日本

ここ最近の報道によれば、失業率が改善しているにもかかわらず賃金がほとんど伸びていないという。もちろん正規雇用の割合が50%を切るなど、非正規雇用の増加が賃金の伸び悩みの背景にあるとの考えもある。だから当たり前だ思っているなら間違いだろう。正規雇用が増加しないことを問題とすべきだと思う。

こうした現象は何を意味するのだろうか。最近ニュースでは、相変わらずブラック企業、ブラックバイト、外国人研修生の低賃金労働などが報じられる。つまり日本にはブラックな企業が相変わらず多いことを意味しており、こうした報道は氷山の一角に過ぎないのかも知れない気がします。

つまり、日本の企業の多くがブラックであることを経営の強みとする「ブラック・ビジネスモデル」を採用しているのではないかと疑いたくなります。元祖ブラックのワタミ、すき家は従業員に低賃金で長時間労働を強いることをビジネスモデルにしていたわけです。そして競争に勝ち残ってきた。

もしかすると、20年にも及ぶデフレ不況によって、日本のビジネスモデルの基本が「ブラック・ビジネスモデル」に染まってしまったのかも知れません。これが日本のバブル期の人手不足の時代とは根本的に違うのではないでしょうか。昔はバイトの方がむしろ給料が良かったほどです。つまり賃金が伸び悩む理由は、「正社員・非正規社員」の問題ではないかも知れないのです。

本来あるべきビジネスモデルは、新たな付加価値を生み出すことにあるのであって、ブラックによる低価格を武器にすることではないはずです。しかし20年にもおよぶデフレ不況によって、日本の企業の基本的な考え方が、「苦労して付加価値を生み出す姿勢」という企業本来の姿を忘れ、それよりも、安易に「ブラックによって低価格競争で生き残る」ことに変化してしまったのかも知れません。

そんな気がします。