2016年7月15日金曜日

銀行制度になる前はすべてヘリマネだった

元FRB議長バーナンキ氏の来日を契機に、ヘリコプターマネー(ヘリマネ)をやる、やらないでマスコミは大騒ぎになっているようです。中には「ヘリマネなんかとんでもねえ」ような事を言う人もいるようです。しかし、中央銀行の制度ができる前の時代は、すべてヘリマネだったことをご存じなのでしょうか。

例えばローマ時代とか、日本であれば江戸時代とか、そういう時代では、政府(統治者)が金山や銀山を所有して金貨や銀貨を鋳造していました。そのおカネを使って、城や道路、公共設備などを建造していたわけです。つまり「政府がおカネを作って財政支出することで、世の中におカネを供給した」のです。

ところが、中央銀行制度ができてから、おカネの発行は中央銀行の役割とされ、政府はごく一部(少額貨幣=500円、100円等)を除いて、おカネの発行と供給をしなくなりました。そのため、政府は税収を除いて、借金しなければおカネを調達できないような、みじめな立場に置かれたのです。これは政府の権限が大きく損なわれたことでもあります。

だから、政府がおカネを発行して供給することは、もともと政府の役割でもあるわけです。これこそがヘリコプターマネーなのです。もちろん、中央銀行がおカネを発行することで、きちんと経済がコントロールできるなら政府がおカネを発行する必要はないでしょう。しかし今、それがマヒしてきているのです。

なぜ、ヘリマネが有効なのか?日銀がいくらおカネを発行しても、おカネを借りる人が居ないため、世の中のおカネであるマネーストックがほとんど増えません。一方、ヘリマネは世の中に直接おカネを投入するので、世の中のおカネであるマネーストックをダイレクトに増加させます。その効果は単なる量的緩和とは比較にならないほど大きいと言えます。

ところが新聞マスコミ御用学者は「財政規律ガー」と猛反対しています。財政規律ってなんだ?何に律されるというのか?良く考えればわかりますが、それは唯一「インフレ」だけです。それだけ。

デフレ環境下で、インフレターゲットもある現状では、適切なヘリコプターマネーは適度なインフレと有効需要をもたらし、日本の経済再起動に絶大な効果が期待できるはず。後世のためにも、それを実証できる、またとないチャンスにあるのです。