2016年7月28日木曜日

金融資産課税の面白い性質

金融資産課税には、所得税とは違う、面白い性質があります。たとえば、税収が極めて安定している点です。安定性は消費税の比ではありません。景気が悪くなると消費が減りますから、消費税の税収も減ります。金融資産は景気が悪くなってもほとんど減りません。ですから景気変動に左右されること無く、極めて安定した財源となります。

また、金融資産(預金)の補足はそれほど難しくありません。マイナンバーによって預金口座は明らかになります。租税条約などで今後は海外の隠し口座も明らかになります。仮に課税を逃れるために不動産や金(GOLD)に交換したとすれば、そのおカネは不動産や金を販売した業者に渡りますので、その業者が代わりに税金を負担することになります。つまり、「ひと」に課税されるというより、「カネそのもの」に課税される感じです。

現金にも課税されますが、これは現在の申告制では逃げられる可能性はあります。高額紙幣に交換してタンス預金で脱税です。この場合、紙幣を新札に切り替えることで、新札旧札交換のためにタンス預金が表に出てきます。将来的には紙幣・硬貨を廃止してすべてを預金としてしまえば脱税できません(決済はすべて電子的に行う)

そして、面白いことに、税収を増やしたければ、税率を上げる必要はありません。通貨を発行すればよいのです。金融資産課税は世の中のおカネ(マネーストック)の総額に比例して増えますから、世の中のおカネを増やせば増やすほど、税収が勝手に増えます。ですから、財源が枯渇することは原理的にありえません。究極の恒久財源です。それに、税率も1%や2%といった低い率で十分です。

今日の財源不足の問題は、インフレ全盛期だった20世紀の古い課税方式を未だに税制の根幹にすえている事に問題があるはずです。いろいろ考えれば欠点はあるかもしれませんが、21世紀の生産過剰デフレ時代の新たな税制として、金融資産課税は一考に値するはずだと思います。