2016年6月17日金曜日

ベーシックインカム 今は無理でも将来は?

スイスでベーシックインカム(BI)導入に対する賛否が国民投票で実施され、日本国内でも報道され、BIに多少は関心を持つ人が増えたかもしれません。しかしBIに賛成、反対という話はありますが、では将来的にどうなのか?という話はほとんど聞いたことがありません。

BIとは、すべての国民に対して生活に必要最低限度の所得(たとえば生活保護費なみの毎月15万円)を無条件で支給する考え方だとされます。現状、BIに関しては否定的な人が多いようです。明日からいきなり毎月15万円をすべての国民に給付するなど、あまりに唐突という印象が強いですから。私も明日からいきなりBIを満額15万円スタートすることには反対の立場です。社会に対する影響が読み切れないからです。

しかし、将来的にはどうなのでしょうか。反対論者の人たちは、はたして、将来的にはBIを実施すべきと考えているのか、あるいはBIを未来永劫に実施すべきではないと考えているのか。そういった話はあまり聞きません。議論は「今やるか、やらないか」だけです。

もし、現在すぐにBIを実施するのは無理だとしても、将来的に生産の自動化がすすめば可能だと考える人が多ければ、BIを一つの目指すべき未来ビジョンとして描くことができるようになります。そして、多くの人が興味を示せば、現実的な方法論がどんどん検討されるようになるでしょう。

そして、BIの経済学的な根拠が生産の自動化にあるのだとすれば、ロボットや人工知能が急速に発達しつつある今でも10%くらいのBIを支給しても何ら不思議はありません。

ところが、ベーシックインカムという言葉は「最低限の生活を保障するだけの金額でなければならない」と思われています。この言葉通りであれば、「少額のベーシックインカム」という考えはあり得ません。しかし、自分はそもそもBIを社会保障とは無関係な「給付金」と考えています。なので、毎月2~3万円でもベーシックインカムであると考えています。もとよりベーシックインカムではなく「基礎給付金」が必要であるとの考えです。

実現可能かつ社会に混乱をもたらさない範囲の金額で「基礎給付金」をすべての国民に支給し、それを何年もかけて徐々に増額すれば、将来的にはそれがいわゆるベーシックインカムになるはずです。名称などどうでも良いでしょう。

ベーシックインカムに反対の人でも、こうした現実に即した方法論を提示すれば、より多くの人の賛同を得られる気がします。まして、今の日本、実質賃金も消費も伸び悩み、円高で企業業績が冴えず、インフレ率が低下してデフレに逆戻ししそうな状況であるわけです。いまこそ、少額の基礎給付金を実施する絶好のタイミングだと思われます。その手法の一つがヘリコプターマネーであるわけです。