2016年6月25日土曜日

英国EU離脱は快挙 正念場はこれから

EU離脱によって、資本(マネー)による政治支配から英国民が民族の主権を取り戻したことは快挙です。恐らく無理だと思ってましたからね。しかしそれほどまでに資本の支配(=グローバリズム)の偽善に多くの人が気付き始めたのだと思います。

グローバリズムは資本(マネー)が主導する世界統合であり、その目的は利潤、つまり資本収益率の最大化にあるわけです。資本収益の最大化が幸福という、いわば拝金主義経済圏。もちろん、20世紀までのように、社会の生産力が十分ではなく、財の不足しがちな時代にあっては、それはある程度の成果をあげたと考えて間違いないでしょう。

しかし、現在、世界は生産過剰に陥り、しかも、ロボットや人工知能の急激な進歩によって、さらに生産過剰は進むものと思われます。そうした時代にあって、関税自主権を放棄したボーダレスな自由貿易と通貨発行権の喪失は、国家間の分業や相補関係ではなく、競合関係を強めるだけの状況になりつつあります。どの国も「オレの国の商品を買え」と押し売りする。

そして、競争に負けて輸入超過を続けた国は破綻し、すべてむしられる。それが例えばギリシャのようなユーロ圏の実態です。

こうしたグローバリズムから英国が離脱したことは、歴史的な快挙です。とはいえ、正念場はこれからです。離脱すればそれだけで万事がうまくいくわけではないからです。グローバリズムが成立しない新たな時代には、新たな経済の仕組みを作り出す必要があると思われるからです。もしそれができなければ、状況は今よりも悪化する恐れすらあると思います。いままでの常識は通用しないでしょう。

そのためには、英国はグローバリズムに頭が固まった現内閣ではなく、分離派の議員や識者を中心とする新たな政府を立ち上げる必要があるはずです。幸いにしてキャメロン首相が辞意を表明しました。単にグローバル化以前に戻すのではなく、時代の変化を見据えた常識を覆す思い切った政策に期待したいです。