2016年6月8日水曜日

貯蓄と内部留保のために日銀国債保有は不可避

過剰な貯蓄と内部留保が消費や投資に向かわないことが景気の足を引っ張っていることは明白です。とはいえ、適度な貯蓄や内部留保があった方が良いことは間違いありません。貯蓄や内部留保は、それぞれ家計と企業のリスクを軽減する効果があるからです。

貯蓄や内部留保がまったくない状態だと、景気変動に対して脆弱になります。不況に襲われて労働者が失業した時に貯蓄がゼロなら家計はたちどころに貧困化しますし、企業であればたちどころに倒産です。こんな家計や企業ばかりだと、社会全体としても脆弱となります。

もし、貯蓄や内部留保があれば、不況に襲われても、ある程度の時間を持ちこたえられます。その間は赤字でも、消費や企業活動は継続可能ですから、社会全体としても、消費や投資活動の低下の程度を押さえることができます。それなら、景気回復も早くなるかも知れません。適度な貯蓄や内部留保は必要です。

ところが、現在の通貨システム(信用通貨制度)の場合、おカネはすべて誰かが銀行から借りた借金から生まれます。そのため、貯蓄や内部留保がたとえば合計で500兆円あれば、別の誰かが500兆円の借金を抱えていることになるのです。誰かの借金の上に、貯蓄や内部留保が成り立ちます。これは持続可能な理想的システムでしょうか?

この問題を解決するのは簡単です。もし、日銀が500兆円の国債を保有し続けるなら、それ以外に他の誰も借金を追わなくとも、合計500兆円の貯蓄と内部留保を家計や企業が保有できます。ですから、家計や企業が貯蓄と内部留保を安定的に持つためには、日銀が国債を保有しつづけることが必要です。

逆に言えば、もし、常に誰かに借金を背負わせたい(金利で儲けたい)と考える人なら、日銀の国債保有に猛反対するはずです。誰が猛反対しているのか、よく観察してください。