2017年10月4日水曜日

豊かな社会を築く基本は2つだけ

経済システムは複雑です。しかし良く考えてみると、豊かな社会を築くための基本的な原理はわずか2つだけであり、それを原点に考えると経済はすっきりわかります。

①より多くの財(モノやサービス)を生産すること
②生産される財の量に見合う必要かつ十分なおカネを配ること

基本原理はわずかこの2つだけです。御用学者や新聞テレビのごちゃまぜ情報で頭が混乱するならば、まさにこの2つの立場から考えを整理すればスッキリするでしょう。

どうすれば社会が豊かになるか?それにはまず、財(モノやサービス)をより多く生産すればいいのです。財が多ければ多いほど、社会が豊かになるのは当然だからです。ですから、まずこれが第一の原理になります。これに異論を唱える人は、さすがに居ないでしょうw。

次に、財がどれほど豊富にあっても、それを買うためのおカネが人々に十分に行き渡らなければ、単に在庫の山ができるだけで、人々はちっとも豊かになりません。国民におカネを行き渡らせることが、第二の原理になります。これも異論はないと思います。

ほとんど、小学生でもわかる話ですね。しかしこれこそが、豊かな社会を築くための基本原理であり、経済政策の根本的な目的となるのです。

もちろん、この2つの原理をいかにして達成するか、その方法は様々であり、それゆえに経済論には多くの流派が存在すると考えられます。しかし、その中でもこの2つの原理に明らかに反している考え方が存在しています。まったく論外の考えです。

それが「緊縮財政」です。

この緊縮財政を推進する財務省の御用学者の記事が、なんと10/4付け読売新聞の1面のド真ん中に、堂々と掲載されていました。つまり、読売新聞のスタンスは緊縮財政です。

その記事は「安倍政権が全世代型社会保障で若者への給付を増やすなら、高齢者への社会保障は抑制すべき」と主張します。しかし、これでは高齢者の年金は減少してしまいます。あっちを増やせば、こっちを減らす。こんな発想では社会は豊かにならないのです。

そもそも、技術革新によって日本の生産能力はこれからもますます拡大するはずです。人工知能やロボットによって、生産能力は飛躍的に増加するでしょう。社会全体の財(モノやサービス)の生産量が増えるのですから、どうして高齢者をわざわざ貧しくする必要があるのか?

社会全体の生産量が増えるなら、あっちを増やせば、こっちを減らす必要はありません。両方増やすことが可能なはずなのです。ところが、財務省の御用学者はこんな小学生レベルの理屈すら理解できません。次のように主張します。

「高齢化社会で生み出される富の量は減るのだから・・・・」

さすがに、腰が抜けるほど驚きましたねw。これがどこそこの研究員だそうですよ。この人は未だに人間が財の生産の主力だと思い込んでいます。まあ100年前の人ですね。今日、財の生産は機械が行います。生産設備つまり「資本装備率」こそが生産量の最も大きな要因なのです。

財務省の御用学者も読売新聞も、「日本はもうダメ、貧しくなる」という、根拠のない後ろ向きの悲観論が前提なのです。こんな前提では国民生活が良くなるはずがありません。

このように、緊縮財政は「豊かな社会を築く基本」に明らかに反しています。経済政策の考え方には、いわゆるリフレ派、ケインズ派といった考えの違いはあります。しかし方法論の違いはあれ、両者ともに基本原理に反するものではありません。しかし緊縮財政だけは明らかに違うのです。

緊縮財政。これこそが、日本の生産力を毀損し、国民を貧困化する忌むべき考え方なのです。