2018年3月2日金曜日

「緊縮主義」は一つのイデオロギー

経済イデオロギーには大きく資本主義と共産主義があると考えられていますが、それだけではありません。資本主義でも共産主義でもない「緊縮主義」という強力なイデオロギーがあると思います。

「緊縮主義」は資本主義でも共産主義でもありません。まったく別のイデオロギーです。そして緊縮主義は右派・左派を問わず、その両方に共通して存在しています。その証拠に現在の野党は緊縮主義です。そのイデオロギーの特徴は「通貨供給量を絞ること」です。

ところで現在の資本主義には、リフレ派とケインズ派の二大派閥があり、対立しているものの、どちらも通貨供給量(マネーストック)を増やす立場にあります。なぜなら、リフレ派の主張する量的金融緩和政策は民間借り入れの促進により通貨供給量を増やしますし、ケインズ派は政府の借り入れ増加により通貨供給量を増やします。どちらもマネーストックを増やします。

それに対して、緊縮主義はマネーストックの増加に反対しています。すなわち、量的緩和に反対し、財政出動にも反対しています。つまり、いわゆるリフレ派ともケインズ派とも正反対立場にあるわけです。緊縮主義は「現代の資本主義とはかなり違う考え方」であるとわかるでしょう。

おカネを増やせばインフレになります。資本主義の主流の考えによれば2~3%程度の低インフレが良いとされています。にもかかわらず、おカネを増やさすことに猛反対するのですから、「資本主義というより何か別のイデオロギーである」と考えるべきです。

緊縮主義の本質は拝金主義も同然です。

彼らはインフレを極度に嫌いますから、おカネの価値が最優先にあることは間違いありません。おカネの価値を至上と考えるのですから、これは「拝金主義」と言えると思います。そして通貨供給量を絞れば必然的にデフレーションが発生しますが、緊縮主義の人々はこれを容認あるいは積極的に評価する傾向を示します。その結果として生じる円高も良いものだと歓迎します。

こうして少し考えると、緊縮主義は資本主義でも共産主義でもない、まったく別の経済イデオロギーだとわかります。通貨供給を絞って貨幣価値の維持を最優先する主義です。円の貨幣価値を維持することで、円が「安全資産」となり、マネーゲーム投機筋の駆け込み寺として1%の支配層に歓迎されるでしょう。新聞テレビは、間違ってもそんな主張はしないでしょうね。何しろ緊縮主義の総本山は財務省ですから。

そして共産主義が市場経済を否定して失敗したように、同じく緊縮主義も通貨の不足により市場の機能を損ない(=経済のデフレ化)、共産主義と同様に人々に不幸をもたらすと思われます(実際、失われた20年で不幸をもたらして来た)。

市場経済の機能を軽視し、カネの価値をひたすら信じる「緊縮主義=拝金主義」が日本を覆えば、日本は「後生大事にカネを抱え込んだまま」、ずぶずぶと三流国へと没落してゆくのです。