2017年10月20日金曜日

野党の言う「市民」とは誰のことか?

市民と野党の共闘。いい加減に聞き飽きたフレーズです。しかし市民と共闘する野党が国民の支持を伸ばせないのですから、いわゆる「市民」とは、限られた一部の人々を指す言葉なのでしょう。

野党が好んで使う「市民」はネットスラングの「プロ市民」に近い人々のことです。憲法やら自衛隊に極めて関心の高いマイナーな人々です。大多数の「庶民」とは無関係です。大多数の庶民は憲法や自衛隊より、自分達の生活に最も関心があります。景気や社会保障、消費税などです。メディアの世論調査を見ても、関心の高い項目はこうした分野です。

そのことにいち早く目をつけたのが安倍氏です。安倍氏は民主党政権時代に彼らをよく観察したはずです。民主党は憲法やら自衛隊やら、庶民の生活向上よりも彼らの得意なイデオロギーに走り、対米関係を悪化させ、沖縄に混乱をもたらしました。

そして、庶民に最も関心のある生活向上に関しては、あまりに稚拙な経済政策が行われ、円高を放置し、財務省や日銀の言いなりになって消費増税にまい進していました。これを見て安倍氏は「これだ」と確信したに違いありません。野党の最大の弱点は、庶民の生活よりイデオロギーに走る彼らの姿勢であると。

そこで安倍氏は資本主義における経済政策理論を3つ(金融・財政・構造)も取り入れたアベノミクスを最優先に掲げ、庶民の生活向上に失敗した民主党に代わって、まず経済最優先で戦うことにしたのでしょう。そして実際、不十分とはいえ理論どおりの結果になりつつあります。あたりまえです。世界的に常識とされる経済理論を使うのですから、安倍氏でなくても成果は出ます。常識的なことをしただけです。

ところが、その常識的な経済理論すら実施せず、かといって新しい理論を提唱するでもなく、ただ反対してきたのが野党です。対案があると言うものの、しっかりした理論に基づくものでなければ意味がありません。ただの対案ならラーメン屋の親父でも出せるからです。

今回の選挙でも、野党は相変わらず憲法やら自衛隊です。プロ市民は大喜びでしょう。プロ市民はマイナーとはいえ、一定数が存在しますので、手堅い戦いをするでしょう。しかし彼らの支持層の多くは高齢者であり、いまや若い人の多くは自民党を支持するようになりましたから、やがて消滅してゆくと予想されます。永遠に政権を取ることはできません。経済よりもイデオロギーだからです。

野党は「プロ市民」から脱却し、庶民を見なければならないでしょう。庶民は生活の向上に最も興味があるのであり、極端に言えば憲法や自衛隊なんかどうでもいいのです。ポピュリズムだのなんだのとマスコミが騒いでも、そういうものなのです。もちろん、野党が政権も取れずにプロ市民といっしょにずっと遊んでいればいいのであれば、それでも結構ですが。

だから、庶民の生活を豊かに出来ない政党には、それ以外は何も出来ないのであり、庶民の生活を豊かにできる政党なら、それ以外の分野においても力を発揮することができるのです。