2015年5月31日日曜日

財政再建は帳尻合わせに過ぎない

財政再建とは帳尻合わせ過ぎない。それ以上でもそれ以下でもない。なぜ財政再建をするのかといえば、それは帳尻が合わないからであり、そのままだと帳尻が破綻するからです。だから帳尻が合うのであれば、特別に「この方法じゃなければダメ」という話ではない。

にもかかわらず、「財政再建は税率の引き上げで達成しなければいけない」という考えを持った、財務省の御用学者や御用評論家がわんさと居るから困ったものです。財政再建はこうやらねばならない、なんて法則は存在しない。ましてや、善悪や道徳論によって財政再建の方法が決まるはずもない。「増税で生活が苦しくとも地道に返済するのが道理だ」など、まさに「正直者は馬鹿を見る」ではないか。

その財政再建の方法によって、人々の幸福度が低下するかどうか、国民の最大多数の幸福が維持できるかどうかが、財政再建の方法を選択する際の重要な基準となるでしょう。人々の幸福度に最も影響するのは、当然ですが「財の生産と分配」です。より多くの財が生産され、より多くの人に分配されることが、より多くの国民を幸福にします。ですから、その活動が低下するような財政再建の方法は「最悪」です。

その最悪の方法が「消費税の増税」であるわけです。2014年4月の消費税増税によってGDPはマイナス成長に転落してしまいました。GDPがマイナス成長ということは、財の生産と分配が損なわれたことを意味しますから、国民の幸福は低下しました。しかもその悪影響は長期的に続くと思われ、マクロ経済の専門家によれば、次の増税を予定している2017年4月まで続くのではないかとの指摘もあるほどです。

一方、消費税の税率を引き上げるのではなく、名目成長率を引き上げる事で税収増を図る場合、財の生産と分配が急激に損なわれる心配はありません。名目成長率を引き上げるためには、通貨の市中への投下が必要ですが、それを行ったからといって生産と分配の活動にマイナスとなる要因がないからです。強いて言えば円安による輸入物価の上昇ですが、同時にそれに見合うだけの企業業績の向上が見込まれますから、通貨の分配量の増加を通じて為替の影響は相殺されるでしょう。もちろん、内部留保をしこたま貯め込む企業がいればダメですが。

財政再建に「この方法しかやったらダメ」なんてものはありません。マスコミの洗脳に騙される事なく、どの方法が国民にとって最も負担が少なく、生産活動を損なわずに済むかを国民自身が良く考える必要があると思います。