2020年8月14日金曜日

コロナ経済危機の真相とは?第1回

新作です。本文およそ3万文字を、順次掲載します。

前書き

 政府やマスコミが盛んに報じている「コロナ時代の新しいライフスタイル」だけでは、コロナの時代の本質的な問題は何も解決できません。感染拡大を防止しながら経済活動を持続する、と口で言うのは簡単ですが、現実的には感染拡大防止と経済活動の両立は極めて困難と言えます。そもそも人々の行動自粛・行動制限によって、なぜ経済(社会)が著しい悪影響を受けるのか?その根本的な部分を理解し、対策を講じなければ、仮に今回のコロナウィルス危機が終息したとしても、新たに別のグローバル感染症が発生した際には、再び同じことを繰り返すことになるでしょう。なぜなら今日の経済が、「あれば便利だけれど、無くてもなんとかなる産業」に著しく依存しているからです。

 勘の鋭い人はすでにお気づきだと思いますが、その一例がいわゆる「インバウンド依存」(観光依存)と呼ばれる状態です。しかし、経済の依存状態はインバウンドだけではありません。少し注意して観察すればすぐにわかることですが、いまや経済の大部分が「必ずしも必要ではない産業に依存」していることが理解できます。それは今に始まったことではなく、すでに社会を大きくゆがめつつあったのですが、多くの人々はそれに気付かないか、あるいは無視してきたのです。そして、コロナ危機によって、その課題が表面化してきた。にもかかわらず、いまだに多くの国民がそれに気付かず、マスコミや識者も気付かないふりを続けているようにしか思えません。残念なことに多くの国民が、コロナ災害から肝心な事を何も学ばず、やれ新しいライフスタイルだの、みんなが団結してコロナの時代を乗り切ろうだの、政府やマスコミの広めている対症療法や精神論で丸め込まれているように見えるのです。

 しかも、コロナ経済危機に際して、財務省やマスコミが「財政再建が遠のいた」と騒いでいるのも、本当におめでたい。本当は財政悪化が問題なのではなく、財政再建しないと破綻する経済システムの方こそ真の問題なのです。無節操なグローバリズムの時代にあって、感染症がますますグローバルにエスカレートすることは防ぎようもなく、コロナウィルスのような感染症が流行するたびに、毎回毎回、経済が破綻するようであれば、それに対応できない経済システムの方に根本的な問題があると考えるべきなのです。そうです、グローバル感染症の時代に相応しい、「強い経済システムへの改革」が求められているのです。