2017年3月2日木曜日

人工知能を恐れる人の理由は

人工知能を脅威であると考える人は少なからず居るようです。先日も新聞紙面で著名人が思い切り人工知能を拒否していました。人工知能は人類を豊かにするはずなのに、なぜ脅威に感じるのか。ふと思うことがあります。

人間はこれまで「勝者が総取り」を容認する競争社会を当然のように受け入れて、負けたやつを「自己責任棒」で叩いてきました。新聞マスコミも当然のように「勝ち組・負け組み」などと面白おかしく書き、「セレブ」などと総取り勝者を持ち上げてきました。勝つ側にとってこれほど面白い社会はありません。「勝ち組・負け組み」の社会。

ところが、人工知能の登場で旗色が悪くなり始めました。それまで人並み以上の能力があれば容易に勝ち組になれた人々も、人工知能に負ける可能性が大きくなったのです。いよいよ「機械に負ける」とわかって、「負けたら自己責任」を主張していた人々がみんな恐怖しているのかも知れません。「今度は自分が叩かれる番か」ってね。

おそらく、こう言い出だすでしょう。
「人工知能で失業するのは自己責任じゃない」

太古の昔、人知を超える「精霊」の存在が人間の驕りを戒めてきたのではないかと思います。大自然の恵みをいただいて生活する人々はその前に平等であり、運命共同体でした。しかし人間は徐々に力をつけて逆に自然を支配し、思い上がり、傍若無人にふるまってきた。自分の能力次第で私利私欲を追求するのが当然であると。

自分を超える者が存在しなくなったことで、人間のエゴが剥き出しになった社会。実に愚かしい。そんな人々は自分達の作り出した人工知能によって完膚なきまで負けた方が、むしろ謙虚になって良いのではないか。

そんなことを、ふと思うのです。