2020年8月25日火曜日

コロナ経済危機の真相とは?第9回

 アフター・コロナは「無人化」と「給付金」

 「コロナ後の新しい生活様式(ライフスタイル)を守りなさい」と、政府や識者が、マスコミを通じてさかんに人々に呼び掛けています。ウィルスの感染を防止しながら、同時に社会活動・経済活動を行うと言います。しかし、コロナ後の世界を生きるには、新しい生活様式だけでは十分と言えません。新しい生活様式と同時に、新しい「生産様式(プロダクトスタイル)」が必要です。新しい生産様式とは「無人化」です。

 なぜ、無人化が必要なのか?もし、将来的に、致死率50%を超えると言われる鳥インフルエンザ・ウィルスのような感染症が流行した場合、コロナウィルスよりさらに強く社会活動・経済活動を制限する必要が生じると考えられるからです。そうなると、生活必需品の生産にすら支障をきたす恐れがあります。一方、人間が働かなくても、ロボットや完全自動生産工場が人々の生活必需品を自動的に生産できる体制が整っていれば、安心です。仮に大部分の人が自宅で待機していたとしても、少数の人々が生産活動するだけで、生活必需品の供給は確保できます。

 また、生産と同時に物流の無人化も重要です。いくら人工知能や完全自動生産工場があったとしても、生産のための資源を工場に届けなければ何も生産できません。同時に、生産された財を消費者に届けるための小売りについても、宅配の無人化が必要になります。生活必需品を買うために、人々がスーパーやコンビニなどの店舗へ行けば、感染拡大のリスクがありますので、自宅に待機したまま、自宅で必要な生活必需品を注文し、受け取ることができるシステムが必要です。

 また、医療などのサービスについても、離れた場所からリモートで対応できるようなシステムができれば良いでしょう。病院へ行かなくとも、各家庭に基本的な検査機器があれば、インターネットで受診することもできるでしょう。また、介護なども人工知能ロボットの訪問による対応が可能になれば、介護士を介した感染リスクを抑えることができます。こうした遠隔操作技術の進歩により、人間が直接そこへ行って接触しなくとも、様々なサービスを提供できるシステムの開発が待たれます。

 このように、「人間の労働を必要としない経済システム」が経済の根本に据えられるなら、経済活動を気にすることなく、感染症対策を徹底することができますから、パンデミックリスクに対して、非常に強い社会になります。もちろん、人間の労働が不要になれば、大量の失業者が生まれますから、働かなくても国民におカネを給付する「給付金制度」が必要になります。無人化された生産システムで生活に不可欠なモノやサービスを生産し、その分配のために、国民におカネを給付する。それが経済の基本部分になるわけです。このシステムは、生活のための基本的な生産と分配が無償で提供される社会を実現します。人類が目指すべき社会形態の一つでしょう。コロナ災害を機に、こうした未来社会の実現へ向けて前進するならば、まさに一石二鳥、災い転じて福と成すことになるでしょう。

 繰り返しますが、生産活動が無人化されたからといって、怠惰で退廃的な社会になったり、人間の活動が意味を失って、無感動で無関心な社会になったりすることはありません。無人化は、生活必需品の生産のための半強制的な労働を不要にするだけであって、人々はそれ以外の活動、例えば様々なスポーツ、芸術、趣味あるいはボランティア活動など、自主・自発的な活動にますます打ち込むようになるでしょう。今日の社会のように、大部分の人々が生活のために自分の夢をあきらめて、賃金を得るためだけに単純でつまらない労働に耐えるだけの生涯を送る、そんな必要はなくなります。

全文はサイトに掲載しています。https://sites.google.com/site/nekodemokeizai/