2020年8月19日水曜日

コロナ経済危機の真相とは?第3回

 必要ない産業に依存するから危機になる

 「現代の社会は、必要性の低い産業に依存して成り立っている」。こう主張すると、多くの人が気分を害することは間違いないでしょう。何しろ、あなたのやっている仕事の多くが「社会にとって必ずしも必要ではない」と言われて、自分の存在価値が否定された気分になるからです。日頃から「仕事の無駄を省け!」と生産性の向上に関心の高い人々も、この時だけは「世の中に無駄な仕事などない」と、いきり立つかも知れません。

 しかし、世の中に必要のない産業などない、と本気で信じているとすれば、誰かに騙されているにすぎません。もし、世の中のすべての産業が必要不可欠だったとしたら、世の中が不景気になるはずがないからです。そもそも、不景気あるいは不況とは何でしょうか?モノやサービスが売れなくなる状態を指します。景気が悪くてモノが売れないと言いますね。では、なぜ売れないのでしょうか?そのモノやサービスが、必ずしも必要ではないからです。もし生活に必要不可欠であって、なければ命にかかわるような重要なモノやサービスであれば、必ず売れます。もちろん、国民の大多数がカネに困るような「金欠状態」であれば、必要なモノであっても売れません。しかし、通常の不景気の状態というのは、カネがないから買えないのではありません。人々が財布の紐を締めてしまうから、社会全体の経済活動が連鎖的に悪くなるのです。消費者が財布の紐を締めて、不要不急の消費を減らしてしまうから、不景気になるのです。

 例えば消費者は、小売店での販売価格の変動やマスコミによる景気状況の報道を受けて、敏感に消費行動を変えます。仮に生活に何らかの不安を感じたなら、消費者はすぐに「節約モード」に入ってしまいます。そして生活に必要ではない部分の出費、すなわち観光、外食、スポーツ、イベント、趣味娯楽の出費を抑えます。仮に、こうしたモノやサービスが生活必需品であったなら、大きく消費が減ることはありません。これらのモノやサービスが生活にとって必ずしも必要ではないため、世の中を不安にするような何かがあると、すぐに消費が減ってしまうわけです。そして、消費が減ると世の中のカネ回りが悪くなるために、人々の所得が減少します。所得が減少すると、それが人々の不安をさらに高めることで、ますます財布の紐が固くなるという悪循環(デフレスパイラル)を引き起こすわけです。

 つまり、世の中の産業の多くは、本質的には「あれば便利だけれど、無くてもなんとかなる産業」であり、しかしながら、それらの産業に多くの人々が従事することで、世の中のおカネを回しているという状況にあるわけです。繰り返しますが、だからと言って、観光や外食、趣味娯楽の産業に価値がないと言っているのではありません。ただし、そうした産業は必要性が低いゆえに、そうした産業に経済が依存している状態にあると、どうしても、経済そのものが不安定になってしまう。そうした産業が多ければ多いほど、社会環境の変化によって、経済活動が振り回されやすい状態になり、そのことが、多くの人々の生活を不安定にさせてしまうわけです。

 そして、今回のコロナ感染拡大防止対策と経済活動のジレンマのように、不要不急の活動を自粛することが、経済全体に大きな悪影響を及ぼす結果をもたらすわけです。それは良い事ではありません。ですから、仮に不要不急の産業の活動が一時的に抑制されたとしても、社会がきちんと成り立つ仕組みが必要なのです。しかも、そうした仕組みの必要性は、今回のコロナウィルスの感染拡大に対応するにとどまらず、これから先の、人類の未来社会において必要不可欠となることは間違いありません。なぜなら、未来の社会において、人々の仕事は、ますます「必ずしも必要ではない仕事」ばかり増えてくるからです。それにしても、そもそも、どうして現代の経済は「依存症の経済」になったのでしょうか?

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