2017年8月21日月曜日

財政再建・誘導記事の例 読売新聞

読売新聞8/18付、5面、進まぬ財政再建議論という記事に、「報道しない自由」を利用して、世論誘導を図る新聞の手法の一つを見ることができます。

記事ではシムズ理論(景気回復まで増税しないと宣言し、デフレ脱却まで財政支出を続け、景気回復後に増税をする)を紹介し、これをなんの根拠も示さず、いきなり「劇薬」と断言してみせます(ここ誘導手順として重要w)。

いきなり劇薬というイメージを植えつけた上で、話を展開。「増税しないと断言するだけでは、財政の危機的状況を知る国民が将来不安から消費を増やす保証はない」という。しかし財政危機だと盛んに煽っているのは、新聞マスコミである。まあとんだ笑い話だが、まあマッチポンプはいつものこと。さらに、

「物価が2倍になると名目税収も2倍に増えると想定される一方、借金額は変わらず、(そのため)実質半分の負担で返済できる。ただ、国民が持つ預貯金などは価値が大幅に下がる、インフレが止まらなくなれば、国民生活は困窮する」といって、国民の不安を煽ります。

さて、ここで述べるべき事実がスコンと抜け落ちて、報道されていないことに気付くはずです。「物価が2倍になると国民の所得も2倍になる」という事実です。そもそも物価が2倍になると、名目税収も2倍になるのは、通貨循環量が2倍になるからです(MV=PTより)。通貨循環量が2倍になれば、所得も2倍になることを意味します。しかし新聞を読む一般読者のほとんどは、それに気付かないでしょう。

そうした読者の無知を悪用し、特定の事実をスコンと抜いて書く。
そして、ひそかにほくそ笑む。これが新聞のやり口です。

正しく書くなら、
「国民の預貯金の価値が大幅に下がるが、所得は大幅に増加する。そのため、インフレによって国民生活が困窮する心配はないが、預貯金を貯め込んでいる資産家や大企業には不利だ。」

さらに記事では、経済成長率3%は楽観的と言うが、名目経済成長率は通貨膨張率に大きく依存する。つまり、単純にカネつまり「信用膨張」=インフレすれば簡単に達成できる。これはマクロなら常識レベルの話です。

まあ、そもそもこの記事の「財政再建をする必要がある」との前提が間違っているのだから、突っ込み始めたら無限に話が長くなるので、この辺にしておこう。時間がもったいない。

最後に一つ忘れるべからず。
「新聞マスコミは消費増税しても景気に影響ない、
と豪語していたが真っ赤なウソだった。」