2017年8月17日木曜日

機械化で人手不足対応 でも賃金増えないよ

人手不足への対応として「人工知能やロボットを導入せよ」と新聞マスコミが騒いでいますが、機械化で人手不足に対応しただけでは景気は良くなりません。賃金が伸びないからです。

人手不足そのものを解消するのであれば、確かに人工知能やロボットなどの機械によって、人手を補うことは可能です。しかし人手不足が解消されただけで、賃金が増えるわけではありません。売り上げが増えなければ賃金を増やせるわけがないからです。人手不足が供給制約になっていたとしても、インフレ率が極めて低いということは、実質的に供給不足になっていないと考えられるからです。つまり、売り上げは増えない。

それどころか、非常に性能の高い人工知能やロボットが導入されると、むしろ人手不足の解消を通り越して、リストラが可能になる可能性も十分あります。たとえばレジ打ちの自動化などは、人手不足を解消というより、そもそも人手を不要にします。そのような業種が増えると、賃金が増えないどころか、失業を増やすかも知れません。

つまり、人工知能やロボットを導入したところで、それだけでは賃金は増えません。従って消費も増えない、景気は回復しない。もちろん、賃金が伸びないのですから国民の景気の実感など良くなるはずもありません。

ですから、機械化で人手不足に対応するだけでは、不十分であると考えられるのです。もちろん機械化は大切ですが、同時に必要なのは「国民にカネを撒くこと」です。

高額所得者の人たちは、すでに買いたいものは買い揃えていますから、カネがあっても今さら需要が増えるはずもありません。需要があるのは「飢えた人々」、つまりカネが無い人にこそ潜在需要があるわけです。格差の拡大した日本では、そうした人はとても多いといえます(世帯の34%は年収300万円以下)。

人工知能やロボットの高い生産能力を生かすには、それらをフルに活動させることが効果的です。国民におカネを撒けば、それらが消費を促し、人工知能やロボットがフル生産します。そうすると、生産性が向上し、企業の利益も増大し、経済も成長する。そうすれば賃金も引きあがるでしょう。それが経済の好循環です。

先におカネを配らないのであれば、機械化で人手不足に対応しても効果は期待できません。頭がセイの法則で出来ている新聞マスコミが「機械化が促進されても景気が良くならない不思議」とか言ってまた騒ぐだけだと思います。