2023年2月16日木曜日

おカネを配ると経済成長する理由

おカネを配ると必ず経済成長(=名目成長)します。ただし経済には名目GDPと実質GDPという二つの指標があることを理解すべきでしょう。名目と実質をこちゃまぜにすれば、齟齬が生じます。

おカネを配ると必ず経済成長します。経済成長と言えば、通常は名目GDP成長率を指していることがほとんどです。この場合、必ず経済成長すると断言できます。政府が国民に給付金として配るわけです。

もちろん、国民におカネを配ったとしても、貯蓄に回されてしまう部分もあります。しかし、配ったおカネがすべて貯蓄されることは現実的にはありえません。すべて貯蓄されるなら、無限におカネを増やしても消費は増えないことになるからです。だから消費は必ず増加し、消費が増加すれば名目GDPは増加する。小学生でもわかる理屈です。

ただし実質GDPが必ずしも増加するとは限りません。実質GDPとは単なる売上金額ベースではなく、財(モノやサービス)の生産量が反映されるからです。つまり名目GDPからインフレ率を差し引いて求められます。結局のところ、財の生産量が増えなければ、いくら名目GDPが増加したところで物価が同時に上昇するため、国民が手にすることのできる財の量は増加せず、国民は豊かになれない。つまり、経済成長しても、物価が上昇するだけです。

では、名目GDPの成長は意味がないのか?とんでもない。名目GDPは非常に重要です。なぜなら、資本主義では、「おカネをどれだけ増やせるか=利益」が重要だからです。

国民におカネを配れば名目GDPは必ず増加します。すると企業の利益も増加します。そして、利益が増加するからこそ、企業は投資を行うのです。「利益が減っても、デフレだから実質的には増えてます」などという寝言は意味がありません。重要なのは金額です。利益の絶対金額が増えないと、投資などしません。逆に利益が増えるなら、企業は投資します。

そして、投資によって生産設備が強化され、研究開発が促進され、雇用を増やすことで供給力が増加すれば、財の生産量が増加します。財の生産量が増加すれば、実質GDPが増加することになります。どの程度増加するかは、条件により異なります。

従って、

おカネを配れば、必ず名目経済成長する。ただし実質経済成長するかどうかは、条件によって異なる。一方、名目経済成長は企業の利益を押し上げ、投資を促進する可能性が高いため、おカネを増やせば実質経済成長を同時にもたらす可能性は高いと言える。