2017年7月20日木曜日

経済シミュレーターの実現を望む

地球シミュレーターなるスーパーコンピューターがあるそうです。それなら経済シミュレーターも実現して欲しいと思います。それは様々な経済政策の予測を行う上で大変役に立つと思うからです。

地球シミュレーターとはスーパーコンピューターの驚異的な情報処理能力を活用して膨大な計算を行うことにより、地球の気象、温暖化、地殻変動などのシミュレーションを行うものです。こうしたシミュレーションは宇宙物理学のシミュレーションでもよく見かけますね。シミュレーションは、すでに自然現象の予測や理解に欠かせないものになっています。

しかし、経済分野におけるこのようなシミュレーション装置は聞いたことがありません。是非ともスーパーコンピューターによる経済シミュレーターを実現して欲しいですね。

なぜこれが必要なのか?経済を単純数理モデルだけで予測するのは、そもそも無理な話だと考えているからです。現代の計量経済学は数理モデルを仮定しますが、これは現実を非常に単純化して、それを前提とした数式からなります。ところが実体経済は非常に多数の人々が勝手に活動し、その総合的な形として全体現象が現れてきます。ですから経済は気象や地殻変動のような、単純式で表すことのできない複雑系に近いと考えられます。

こうしたシミュレーション手法は、マルクスはおろか、ケインズやフリードマンの時代には不可能だったことです。これはスーパーコンピューターの出現によって可能になった、新しい手法だからです。この利点はコンピューターの強力な計算能力を生かして、過度に単純モデル化することなく、複雑なものを複雑なまま処理できることにあります。

そのメリットは、予測の確からしさを過去の事例を用いて研究できること、それにより予測の精度を高めることができること、同時に複数項目の予測も可能であることだと思われます。

シミュレーション技術に関して詳しいわけではないので、あまり正確に説明できないのですが、個々の人間や企業の経済活動を個別に計算することで、たとえば1万人、1000社(銀行、製造業など)くらいの社会の経済的な動きをシミュレーションするわけです。個々の人間や企業の行動決定には人工知能の技術が応用できると思われます。いわば「シミュレーション経済学」です。

もちろん、そのためには企業や個人の行動に関する基礎的な研究も必要でしょうし、そう簡単ではないかもしれません。しかし、もし経済の動きが地球シミュレーターなみに予測可能になれば、その過程において経済のメカニズムを深く理解できると同時に、それを具体的な政策立案とその後の効果予測に大変に有効なはずです。

これには膨大な予算が必要かも知れませんが、おそらく「経済活動を左右する」だけに、もし開発に成功すればそのメリットは計り知れないと思います。まさにそうした分野にこそ政府が大々的に予算を投じるべきだと思うのです。