2017年7月14日金曜日

賃金上昇なき生産性の向上が推進中

御用組合の親玉である「連合」の神津会長がまたしても「政府に忖度」かw。例の残業代ゼロ法案に修正条件付きで応じるという。消費税の増税容認に続き、さすがは御用組合の親玉という感じですね。

Y新聞には労働基準法改定で「生産性の向上に期待」と書かれてありました。新聞マスコミは相変わらずのんきなものです。とりあえず「生産性の向上」と書いておけば大衆の受けがいいから見出しに書いているだけで、彼らが生産性の意味を深く説明することはありません。都合の悪いことは報道しない自由ですから。生産性の向上には二つの方法があると考えることが出来ます。

①生産効率の向上により、時間当たりの付加価値を増やす
②賃金を払わないことで、時間当たりの人件費コストを下げる

本来あるべき生産性の向上とは、①生産効率の上昇によって高められるべきものですが、②賃金カットによる生産性向上は、生産効率を高める必要はなく、単に賃金をカットするだけで実現します。残業代ゼロ法案はまさに②による生産性の向上なのです。

いくら残業しても一円も払わなくて良いのですから、人件費あたりの生産性(つまり収益性)が高まるのはあたりまえですね。

今回の労働基準法改定案は、その適応範囲が年収1075万円以上のプロフェッショナル職に限定され、全労働者の3%だということですから、今回の改定による影響は少ないかもしれませんが、問題は将来における「なし崩し的な拡大」のリスクでしょう。

残業代ゼロ法案とは、事実上の賃金カットです。つまり残業代カットの対象となる労働者の範囲が広がると、国民に支払われる賃金が減少し、国民総所得が減少するリスクがあります。合法的な賃金カットで国民総所得が減少すれば国民の購買力が低下し、消費が減少する可能性もあるのです。消費が減れば企業の売り上げが減るので、成果給としての賃金はさらに減るでしょう。これはデフレスパイラルと同じ構造を持っています。

つまり、将来的に考えると、なし崩し的な「残業代ゼロ労働者の拡大」によって、デフレが悪化する危険性もあるのです。ですから、もし連合の会長が安倍に条件を突きつけるとすれば、そうした長期的、マクロ的な視点も織り込む必要があるはずなのです。

ところが、悲しいかな目先の「労働者の健康への配慮」があれば容認するという。まさにミクロ脳ですね。ミクロでしか物事を判断できません。だからこそ、消費税の増税も嬉々として受けいれてしまうのでしょう。経団連は論外としても、自民党や民進党に期待できないだけでなく、なんと労働組合まで期待できない。日本国民は絶望的ですね。

自分が連合の会長だったらどうするでしょうか。

国民総所得の増大を条件にします。そうすれば賃金カットによるデフレ、貧困化を防ぐことができます。ミクロなんかどうでもいいので、マクロ政策として、ヘリコプターマネーによる小額ベーシックインカムのスタートを突きつけます。なぜ労働者がだらだら残業するのか?残業しないとまともな給料を得られないからです。逆に言えば、まともな所得があれば、だらだら残業しないでさっさと家に帰ってカネを使うでしょうw(使わないかもしれないけど)。

もちろん小額のままのベーシックインカムでは意味がありません。ベーシックインカム長期プランのロードマップに金額の増額を示し、労働者を含めたすべての国民のセイフティーネットを計画的に確立するビジョンを示します。働き方改革とセイフティーネットは車の両輪です。働き方改革だけではダメです。そして、このビジョンを、ひそかに安倍と交渉するのではなく、まず新聞マスコミにぶち上げて、世論を巻き込み、国民の認識に浸透させてから安倍に突きつけます。

話がでかすぎる?しかし、日本にはなぜ話のでかい野心家はいないのでしょうか。話のでかいのは「イデオロギーに染まったヤツ」か「グローバル拝金主義者」ばっかりです。本当に悲しいと常々思っています。