2015年12月22日火曜日

生産性の意味を知らないマスコミ

産経新聞の記事に「(日本の)労働生産性 先進7か国で最低」の記事が出た。2014年度の物価変動の影響を除いた実質の労働生産性が、前年度比1・6%減となったという。労働生産性本部の会長が「日本は勤勉な国で、生産性が高いはずと考えられるが、残念な結果だ」と発言したという。おかしな記事だ。マスコミは生産性の意味を理解していないのだろう。
http://www.sankei.com/economy/news/151218/ecn1512180027-n1.html

労働生産性=付加価値÷従業員数

せめて、マスコミはこの式くらいは掲載する必要があるだろう。この式を見ただけで勘のいい人なら分かるはずだ。付加価値は会社の売り上げと比例するので、景気が良くなれば付加価値が増え、自然と労働生産性が向上する。また、従業員数で除するわけだから、従業員が減れば(解雇すれば)労働生産性が高まる。つまり「勤勉性」は確かに重要だが、計算上はあまり関係がない。

ではなぜ生産性が低下するのか?

雇用の増加と景気の悪化が原因とみることが可能だ。従業員を解雇すれば生産性が高まるのだから、従業員を雇用すれば生産性が低下するのは当たり前なのだ。失業率が低下していることと関係がある。だが同時に売り上げの増加があれば、相殺されて生産性は変化しない。しかし景気回復が思わしくないため、付加価値の増加が鈍いのではないかと推察される。

2014年に消費税が増税されたことで景気が悪化し、生産性が低下したとみるべき。

ですから、本来はこのような短期的な変動で騒ぐ話ではなく、マスコミの恣意的な解釈が含まれている可能性がある。社員の雇用は先行投資の意味合いが強いので、今後の景気回復が生産性向上のカギとなる。もちろん消費税を再増税すれば、付加価値の減少を引き起こし、間違いなく生産性が悪化するだろう。