2015年12月10日木曜日

軽減税率やっても4兆円の増税

軽減税率で大騒ぎである。加工食品まで含めた軽減税率を導入すると、1兆円の税収が減るという。その1兆円の数字をマスコミが連呼し、新聞紙面に踊りまくる。しかし、「なぜか」消費税増税によって総額でいくら税金が増えるかの話を同時に報じたマスコミを見ない。

平成26年の税収全体はおよそ50兆円であり、このうち消費税の税収は15.3兆円だ。財務省は消費税を8%から10%へ増税することを企んでおり、これによって新たに増える税収としては4~5兆円になる(消費税1%あたり2~2.5兆円の税収増)。すると年間の消費税の税収がおよそ20兆円になり、税収全体では約55兆円に増えると皮算用しているに違いない。

つまり、消費税の増税によって税収が55兆円になると目論んでいたところ、54兆円になるだけの話なのである。率にすると1.8%だ。ちなみに国債も含めた歳入全体では96兆円であり、軽減税率による誤差は1兆円は全体のわずか1%である。基礎的な財政支出額72兆円から言えば、1.3%程度に過ぎない。

しかも税収が減るわけではない。財務省が企んでいた増税額に届かないだけであり、実際には年間4兆円の増税である。

一兆円の金額だけを躍らせるとすごい重大な判断に見えるが、税収全体や歳入歳出全体から見れば、実際には「無理ない数字」あるいは「調整可能な数字」であることがすぐにわかる。