2018年11月26日月曜日

国債は後世への負担押し付けにならず

財政審議会は、国債発行残高を「将来世代への負担押し付け」としているが、これは大きな間違いである。国債は通貨を発行して国が買い戻せばよいだけだからだ。

実際、国が通貨(現金)を発行して国債を買い戻しているのが、日銀の行なっている量的緩和政策である。もちろん、その本来の目的は金融政策であるが、事実上、国が国債を買い戻していることに違いはない。

そもそも、政府が国債を発行する必要など、本来はまったくない。なぜなら、政府(国家)には、通貨を発行する権限があるからだ。円は国家の通貨だからである。にもかかわらず、通貨を発行せずに赤字国債を発行するから、その返済のために大騒ぎになるのであり、しかも、ムダに金利まで支払い、国民に負担を負わせているのである。最初から国債を発行せず、通貨を発行していれば、何の問題もなかったのだ。この点が、根本的に間違っている。

しかも、通貨を発行しようが、国債を発行しようが、世の中のおカネは同じ額だけ増加する。これはバランスシートの仕組みから明白である(どちらも同じ額だけマネーストックを増加する)。つまり、通貨を発行しようが、国債を発行しようが、インフレを引き起こす点では同じなのだ。であれば、何も、わざわざ問題を生じるような国債を発行する必要は最初からないのである。

であるから、過去に発行した国債の発行は「まちがいだった」として、政府が買い戻せばよいのである。そして、それは今日、日銀が量的緩和政策として、過去に発行した国債を買い入れている行為と、まったく同じなのだ。

では、通貨を発行するとハイパーインフレになるかと言えば、全然そんな気配はない。すでに300兆円以上の現金を日銀が発行して国債を買い戻しているにも関わらず、である。なぜなら、すでに世の中のおカネマネーストック)は国債発行時に増加しているのであり、いまさら日銀が通貨を発行しても、世の中のおカネマネーストック)はまったく増えないのだ。これもバランスシートの仕組みから明白である。

すなわち、これは、最初から国債など発行する必要などなかったことを示唆しているのであり、日銀が現金を発行して財政運営を行なってもよかったことを証明しているようなものだ。この程度であれば、現金を発行して財政政策を行なっても、インフレにはならないのだ。裏を返せば、それほどデフレ圧力が強いとも言える。

話を元に戻すと、以上から、国債発行残高は将来世代への負担押し付けには「まったくならない」。日銀が通貨を発行して国債を買い戻せばよいだけだからだ。そして、それによってハイパーインフレが起こる心配はまったくない。国債を買い取っても、マネーストックは増えないからだ。

しかも、発行済み国債の半分近くを、日銀すなわち政府(国家)がすでに保有しているのであり、また、まだ市中にある国債については、償還時点で通貨を発行して買い戻せば良いだけである。

将来への負担はまったくない。
あるのは、「財政審議会の無知」だけだ。