2018年2月27日火曜日

働き方改革が危険な理由

働き方改革は「働き方改革」だけでは評価できません。「働き方改革+好景気」なら良いですが、「働き方改革+緊縮財政」になると、働き方改革が地獄の一丁目になるリスクが高いからです。

新聞テレビは働き方改革を「多様な働き方」を実現するとして、「労働者のため改革」であると報道します。その一方、企業の立場からの見方、すなわち「多様な雇い方」「使い勝手の良い雇用改革」を報道しません。このような一面的な見方のみを取り上げるのは、いつもの新聞テレビの手法です。

「多様な働き方」そのものを否定するつもりはありません。もちろん現在の安倍政権の提示するような働き方改革はまるでダメですが、労働するかしないかまで含め、「労働に対して自由な立場で生活できる社会」にする必要はあると思うからです。

しかし、安倍政権の働き方改革のように、あたかも労働者のためであるような顔をして、実際には企業のために都合の良い労働者を提供するような結果を導きかねない欺瞞を見過ごすことはできません。

最も大きなリスクは「景気」です。

実のところ、景気が絶好調になり、労働者にとって売り手市場(労働者有利)になるとどうなるか。労働者は引く手あまたの状態になりますから、こうした状況で「多様な働き方」があったなら、労働者にとって最も良い働き方を選択することができます。これが理想です。

しかし逆に緊縮財政がすすんで景気がデフレ不況になり、労働者にとって買い手市場(企業有利)になるどどうなるか。仕事の数が減って労働者が余った状態になります。こうした状況で「多様な働き方」があったとしても、労働者にとって有利な働き方を選択することは難しくなり、より厳しい働き方を選択せざるを得なくなります。仕事しなければ生活できないからです。多様な仕事とは、当然ながら労働者に不利な仕事も含まれます。つまり多様な働き方は逆効果になるリスクがあります。

例えば、不況になった場合。多様な働き方として、脱時間給のように成果が出なければ(=会社の売り上げが増えなければ)、何時間働いても賃金が増えないという働き方が蔓延すれば、賃金は法定最低賃金に向かって下がり続けるリスクがあるのです。

つまり「働き方改革」の効果は景気に左右される。

だから働き方改革は働き方改革そのものでは評価できないのです。「働き方改革+好景気」なら悪いことではないのですが、「働き方改革+不況(緊縮財政)」になると、働き方改革が地獄の一丁目になる可能性が高いのです。

もちろん、このまま景気回復の傾向が続けばいいでしょう。しかし安倍政権の後はどうなるか?緊縮と不況が待っています。オリンピック景気が終了し、消費税が増税される。しかも自民党内は「財政再建・金融引き締め・緊縮派」が権力を狙って蠢いており、次期政権は緊縮のリスクが高い。おまけに野党はそろって「財政再建・金融引き締め・緊縮派」だ。

すなわち、安倍政権以後に日本の景気が再びデフレ不況に落ちてゆく可能性が高い状況において働き方改革を行うことは、大変にリスクが高いと思われるのです。

野党は今こそ安倍政権の働き方改革に対して、ヘリコプターマネーによる永続的な景気の引き上げを交換条件として突きつけるべきです。景気が良くなれば、働き方改革が労働者に不利になることはないからです。