2018年1月4日木曜日

利巧なアメリカファーストをやってくれ

正月の新聞には続々とトランプ氏を批判する記事が登場。彼らは拝金主義グローバリズムがもたらした格差や過激主義の台頭には目を背け、既得権にまみれた「世界秩序」へと民意の軌道修正を図るべく熱心です。

新聞紙面において、「アメリカ主導の世界秩序」を擁護するための反面教師としてトランプ氏が大いに利用されている恰好だ。つまりトランプ氏の問題行動を大きく取り上げ「それみたことか、ポピュリズム・大衆迎合はこうなんだ」と主張するために利用されている。もちろんそれはトランプ氏の行動が突っ込みどころ満載の稚拙なモノだからでしょう。さすがに自分も呆れています。

さて、アメリカ主導の世界秩序は、これまで、アメリカ国民(大衆)を犠牲にしつつ世界をコントロールすることで成り立ってきたと思われます。大衆が犠牲になるかも知れないグローバルなルールを用いて世界にグローバリズムを広げ、そのルールによって「アメリカ主導の世界秩序」を築いてきた。もちろんその背景にはアメリカを支配する層がいるわけで、彼らは大いに利益を得て富を増やしたわけでしょう。

それに対してアメリカ国民が怒り、アメリカによる世界支配よりも、アメリカ国民の利益を守りたいと考える人が増えた結果が「アメリカファースト」だと思うのです。当然ながらアメリカ国民(大衆)の利益を考えれば、自国の大衆に不利益をもたらすかも知れないグローバルなルールを用いて世界を支配する必要はなく、ローカルなルールだけで十分となる。必然的にグローバルな影響は低下して、アメリカによる世界支配力は低下する。

アメリカが世界を支配する力が衰えること、アメリカ主導の世界秩序が弱体化することに、アメリカを利用して私腹を肥やす支配層が大きな不満を抱くのは当然だと思われます。

政治の針は極端から極端に振れがちなのかも知れません。アメリカファーストも度が過ぎれば逆の歪をもたらす可能性もあります。トランプ氏のアメリカファーストは、そこに突っ込んで空回りしているような気がします。それを新聞マスコミが大いに利用して、元の世界へ戻そうとしているわけです。

パリ協定(地球温暖化防止)から脱退し、国境に物理的な壁を作ろうとし、法人と富裕層だけ減税し、しまいにはエルサレム首都を認める。これはアメリカファーストに必須な政策とは思えないし、まったく利巧なやり方ではない。拝金主義に毒されている今日のグローバリズムに反対する立場である自分から言えば、こういう稚拙なことをされると迷惑に感じるのです。

新聞マスコミは、反グローバリストを一つにくくって「あいつらはこういう連中だ」とステレオタイプで決め付けるのが大好きなので、彼らと一緒にされてはかなわない。

アメリカファーストは結構だが、もっと利巧に振舞っていただきたいのです。