2018年1月12日金曜日

安倍政権が優れているのではない

安倍政権の経済政策がとりわけ優れているとは思えません。安倍政権の高評価を支えている要因は①景気が落ち込めば戻るのは当然、②野党がダメすぎる。だと思います。

安倍政権が誕生したのは2012年末、リーマンショックからおよそ4年が過ぎており、日本経済が回復してきてもおかしくない時期であったと言えます。現代の通貨制度の元では、通貨の信用膨張と信用収縮が交互に発生する(波)ので、落ち込めば回復し、回復してはまた落ち込む。その意味では昨今の景気回復の流れは常識的に考えて当然であり、安倍政権がとりわけ優れているからだとは考えられません。

とはいえ、もし民主党政権のままだったら、どうなったでしょうか。アメリカや欧州であたりまえだった「大胆な金融緩和」は、民主党政権の日本では実施されませんでした。民主党は日銀に対して金融緩和を積極的に働きかけるどころか、「欧米並みの緩和を」という世論の声を否定し、「日銀の独立性」を錦の御旗に掲げて、ひたすら金融緩和を渋ったわけです。その結果、すさまじい円高とデフレが日本を襲い、日本経済に大きなダメージを与えていたわけです。

この民主党のダメさ加減によって、本来は回復するべき日本経済が頭を押さえつけられていた格好になっていたわけです。そこに安倍政権が誕生して、欧米と同じ金融緩和政策を行った。単にそれだけなのですが、頭を押さえつけられていた状態から解放された日本経済は、みるみる回復軌道へと戻ったと考えられます。

つまり、野党のダメさ加減が、
安倍政権の成果に繋がっているのです。

わざわざ自民党に功績を与える民主党。笑いが止まらないとはこのことでしょう。そこで普通なら民主党の政治家もこの失策に気が付き、金融緩和の重要性を理解し、さらに最新の経済理論を取り入れようとするはずです。ところが、実際はまるで逆です。

あくまでも「民主党政権の政策は正しかった」でなければならない。進め方が失敗しただけであり、「民主党の考え方は常に正しい」のだと考えているのでしょう。そのため、民主党が民進党になり、分裂した後でも、あくまで金融緩和を邪道と考え、経済理論を軽視し、今でも批判し続けているのではないでしょうか。

野党はいい加減に「アベ・コンプレックス」から脱皮し、アベに囚われない政策展開を目指すべきでしょう。アベに囚われていれば、いつまで経ってもアベの周りでわんわん騒いでいるだけで終わりです。あげくに安倍政権に労働組合系の政策を次々に奪われ、「3%賃上げ」「残業上限規制」「同一労働同一賃金」「教育の無償化」など、お株をうばわれてなすすべなし。しまいには、安倍スキャンダルで騒ぐしかない始末。

根本的に考え方が古すぎるから、安倍にしてやられるのです。サプライズを打ち出せないで、なんのための野党なのか。目から鱗とか、画期的な発想とかが出来ない政党は革新なのか。

安倍政権は経済政策が優れているのではなく、当たり前のことをしただけです。野党はそれすらしなかった。もしこれから野党が政権交代したいのなら「あたりまえ」のレベルではダメです。インタゲ2%をたちどころに達成し、日本を内需主導で名目4%成長に載せるくらいのサプライズ政策を打ち出していただきたいのです。