2018年1月26日金曜日

左派・労働組合は長期戦略を持つべき

左派政党や労働組合は眼前の課題にばかり気を取られ、長期戦略に欠けている気がします。確かに残業上限100時間や残業代ゼロ法案への対抗は重要ですがその先はあるのでしょうか。

短期的に言えば、まさに目の前にある課題の解決は大切です。残業の上限規制を導入することは良い考えだとしても、その上限が100時間であるならあまりに不十分です。例えば中期目標を盛り込んで3年で70時間にする、平均も40時間にするなどの措置も必要でしょう。また高度プロフェッショナル制度については、仮に労働時間と無関係な成果主義賃金に移行した場合でも、あくまで労働時間の上限規制の対象とすべきだと思います。

しかし、それはあくまでも目の前の課題です。その先の日本にどんなビジョンを描くのか、その布石を今からどう打ち込んでいくのか、今の野党にはそれが見えません。仮にビジョンがあったとしても、それは今から着実にくさびを打ち込まなければ、いつになっても実現の目処など立ちません。

もり、かけ、スパなんて目の前の、しかも過去の話に、わあわあ騒ぐために貴重な国会の時間を費やすのではなく、長期的な目標の実現のために、今から着実に議論を重ねる必要があります。左派や労働組合の人たちは、もりかけスパで盛り上がっていれば満足かも知れませんが、第三者の立場から見れば「そんなことやっている場合か」と思う人が大勢いると思います。果たしてそれで無党派層の心を掴む事ができるのでしょうか、若者だって呆れるでしょう。

テクノロジーは劇的かつ加速度的に進化し続けています。こうしたテクノロジーが人間の社会に影響を与え、相互作用によって社会もまた変化せざるを得ません。人工知能やロボット、完全自動生産工場、そしてエネルギー革命。こうしたテクノロジーが組み込まれた社会システムとはいかなるものか、絵空事の話をしているのではありません。

仮にも左派が「革新政党」であるなら、まさにテクノロジーの進化を組み込んだ、これまでの価値観を大きく変えた「革新的な社会システム」のビジョンを示す義務があると思います。それをすることなく、前世紀の「いわゆる左派・労働組合的な価値観」しか打ち出せないのであれば、革新という旗はさっさと降ろしていただきたいのです。それは革新ではなく左派系保守だと思います。

自分は野党が潰れれば良いと考えているわけではありません。野党に求めたいのは、左派系保守ではなく「真の革新政党」への脱皮なのです。