2017年3月21日火曜日

過去の常識を捨てる政治が必要

与党も野党も「過去の常識にしがみついた政策」ばかりです。これだけテクノロジーが進化しているのに、政治にはイノベーションがまったく感じられません。政治がテクノロジーの進化を台無しにしています。足を引っ張っているのは次のような時代遅れの常識です。

①完全雇用

過去の時代において完全雇用はとても重要でした。失業者が増えれば生活に困窮する人々が増えて社会が不安定になります。また失業は社会において労働力が有効に活用されていないことも意味します。完全雇用によってすべての労働者が労働すれば社会全体で生産される財の総量は最大になります。それだけ国民は豊かになると言えます。ですから過去の常識でいえば完全雇用を目指すのです。

しかし、テクノロジーの進化により機械化が進み、労働力が過剰となり、すべての人に仕事を与える完全雇用は難しくなりつつあります。同時に、ロボットや人工知能によって完全自動生産が可能になりつつあり、すべての労働者が働かなくても十分な量の財を生産できるようになります。むしろすべての人をムリに働かせれば、作りすぎてムダだけになるでしょう。もはや完全雇用は過去の常識にすぎません。

②消費税

過去の時代においてインフレの抑制はとても重要でした。需要より供給が少ない時代では物価は常にインフレ傾向であり、すぐにインフレが加熱してしまいます。とりわけオイルショックのように、資源の不足した時代においては「消費を減らすこと」が物価や社会の安定にとって重要です。消費を減らして物価を安定させるには消費税が極めて有効であることは間違いありません。インフレの時代では消費税は常識でした。

しかし、テクノロジーの進化によって状況は180度変わりました。需要より供給が大きくなったのです。そのため物価はデフレ傾向となり、何かあればすぐにデフレに戻ってしまいます。消費不足供給過剰の現代にあっては、消費を減らす消費税は極めて有害です。経済の基調がインフレからデフレに反転した時点で、消費税の有効性は過去の常識になったのです。

③緊縮財政

過去の時代において緊縮財政はとても重要でした。国債の発行は世の中の通貨(預金)を増やす働きをするため、放漫財政は世の中のおカネを必要以上に増やすリスクがあります。需要より供給の少ない時代では、世の中のおカネを増やせばインフレを引き起こしてしまいます。また公共事業そのものは消費財の供給力を増やさず、むしろ消費財の供給力を奪ってしまうため、過度の公共事業は経済成長も阻害します。ですから、政府の支出をなるべく小さくする緊縮財政は常識でした。

しかし、テクノロジーの進化によって供給過剰の時代に変わり、デフレを基調とする経済になりました。そのため世の中のおカネを増やす必要が生じてきました。政府が財政支出を拡大すれば世の中のおカネが増えます。また供給過剰であるため、公共事業を行っても消費財の供給力を減らす心配はありません。供給過剰・消費不足の時代に反転した時点で、緊縮財政は過去の常識になったのです。

他にもありそうですが、とりあえず3つの古い常識を考えてみました。これはいずれも「インフレ時代の常識」であり、デフレの時代には通用しません。常識は次のように変更すべきです。

完全雇用 → ベーシックインカムへ
消費税  → 消費税率0%へ
緊縮財政 → ヘリコプターマネーへ