2017年3月7日火曜日

ベーシックインカム組込み通貨が生き残る

ビットコインの登場によって既存の法定通貨が廃れるのでは?そんな感想を持つ人も少なくないと思います。しかしベーシックインカムに使われない通貨は、いずれ衰退すると思います。

理由は単純です。おカネは循環してこそ価値を持ちます。おカネの価値の根幹は「交換機能」です。この機能が働かなければおカネの価値保存の機能も価値尺度の機能も成立できないはずです。おカネはどのように循環するのか。生産者と労働者(=消費者)における循環がその中心です。生産者間での循環もありますが、あくまでも生産者と労働者における循環が無ければ成り立ちません。

そして、生産者と労働者の間における通貨循環は、基本的に「雇用関係」に基づいて、「労働力と賃金の交換」によって成り立ちます。ですから、法定通貨とは異なるビットコインのような仮想通貨が本当に普及するためには、が生産者から労働者へ「賃金」として支払われるようになる必要があると考えられます。

それは可能だと思います。もしビットコインのような法定外の仮想通貨が本格的に流通するようになれば、仮想通貨を賃金として支払う企業が現れたとしても不思議はありません。そうなれば、必ずしも法定通貨を利用することなく、通貨の循環系が成立することになるでしょう。そうすれば法定通貨の流通量が減少し、もし税金も仮想通貨で納めることが可能になれば、法定通貨は不要になると思います。

では将来的に仮想通貨が既存の法定通貨に取って代わるかと言えば、それは仮想通貨がベーシックインカムに使われるかどうかによると思われます。

人工知能とロボットの進化に伴って技術的失業が増大します。すると生産者から労働者(=消費者)へのおカネの循環が停滞し始め、企業に積まれたまま動かなくなります。このおカネを吸い上げて再循環させるのがベーシックインカムです。ですから、もしベーシックインカムが行われない通貨であれば、やがて流通しなくなると思われるのです。

逆に言えば、ベーシックインカムの機能を備えた通貨だけが最終的に生き残るのではないかと思うのです。

ですから、もし政府が政府の権限を行使して企業や富裕層への課税を行い、法定通貨によるベーシックインカム制度を実現すれば、法定通貨が廃れることは決してないだろうと思います。逆に言えば、ベーシックインカムの機能をあらかじめ込み込んだ仮想通貨が登場すれば、場合によると法定通貨を押しのけて普及することになるかも知れません。

すべての取引が電子化されたなら、
仮想通貨にベーシックインカムの機能を組み込むことは、
税によるシステムより簡単だと思います。

たとえ日本の円であったとしても、ベーシックインカムに使われないのであれば、いずれ価値を失って消滅する可能性はあると思うのです。