2017年3月3日金曜日

悪いベーシックインカムとは

ベーシックインカムはどれも同じではありません。目的・思想によっては、大衆にとって有害なベーシックインカムも存在すると考えています。あらかじめ十分に注意しておく必要があると思います。具体的には2つ想定しています。

 ①平等に貧しくなるベーシックインカム
 ②大衆を最低生活に縛り付けるベーシックインカム

平等に貧しくなるベーシックインカム

日本は成長しない、と主張する人達(左派にいる)がベーシックインカムを主張するとそうなるリスクがあります。彼らは「人口が減少すれば必ず貧しくなる」との絶対前提を持っています。その前提から始まるため、どうせ貧しくなるなら平等に貧しくなろうといいます。彼らの頭には「テクノロジーの進化による1人当たり生産力の向上」の文字はありません。そして家計に重税を課して再分配します。その結果、循環する総通貨量が低く抑えられてしまうため、経済のパイが拡大することはありません。つまり、意図的に経済のパイを小さく抑えながら再分配を強化するため、「平等に貧しい社会」になり、やがて日本は荒廃すると思われます。
(→ちなみに、そうならないよう、テクノロジーによる生産性向上にあわせて通貨発行により循環通貨量を拡大しつつ、適度な再分配を行うと良いです。)

大衆を最低生活に縛り付けるベーシックインカム

何でも自己責任の市場原理主義者(右派にいる)がベーシックインカムを主張するとそうなるリスクがあります。彼らは「市場が正しい」との絶対前提を持っています。ですから市場活動によって生じる所得格差は当然の権利であるといいます。ただし貧困な大衆が革命を起こすと困るので、不満を解消するためにベーシックインカムを導入します。大衆には死なない程度の最低限の生活をさせておけばよい。残りの富は市場で勝ったものが独占する、つまり「資本を所有するものがすべてを独占する」ことを正当化できる。テクノロジーの進化にともなって多くの人は失業します。結果として、大多数の人々が最低所得に固定化され、「一部の超富裕層が私利私欲で地球の資源を使いまくる社会」になると思われます。
(→ちなみに、そうならないよう、テクノロジーによる生産性向上にあわせて最低生活水準のレベルを引き上げ、テクノロジーの恩恵がすべての人々に行き渡るよう調整するのが良いです。)

この二つがベーシックインカムのディストピアであり、自分が最も懸念している事態です。しかし、これを意図してベーシックインカムを主張する連中が、右派と左派の両方から必ず出てくると思うのです。