2017年3月1日水曜日

1人当たり実質GDPで考える重要性

日本が経済成長(名目GDP増加)するとか成長しないとか、そこから入る議論は不毛です。GDPはあくまで全国の「総額」です。個々の国民の豊かさを決めるのは「国民1人当たり」です。国民1人当たり実質GDPが増えるか増えないか、そこを議論すべきでしょう。

一般的に「経済成長」と言えば、名目GDPの増加を指しているはずです。それを決めるのは、およそ労働人口と生産性と物価です。労働人口が増えればプラス、生産性が向上すればプラス、物価が上昇すればプラスに働きます。この3つの要素で決まるので、仮に労働人口が-1%の割合で減少しても、生産性が+1%、物価が+1%なら、名目GDPは1%増加するはずです。つまり労働人口が減少しても経済は成長できます。

逆に、労働人口が+1%、生産性が0%、物価が-2%なら、名目GDPは-1%です。つまり労働人口が増加しても経済がマイナス成長になる。これはデフレ恐慌のような場合ですね。ですから、人口が減少するとか高齢化するとか、それだけで経済成長が決まるわけではありません。

国民にとっては名目ではなく実質、
しかも1人当たり実質GDPが重要です。

実質GDPは名目GDPからインフレの影響を除外しているため、物価とは無関係に財の総生産量を表します。その総生産量を国民の人口で割ると、国民1人当たりの財の生産量になりますが、これが平均値としての国民の豊かさの目安になるわけです。そして、この値が増加する限り、基本的に日本が貧しくなることはあり得ません。

もちろん、分配システムに問題があれば、1人当たりに分配可能な財の量が増えるにも関わらず国民の格差が拡大する可能性はあります。それこそ分配システムに問題があるわけです。この場合は再分配を強化する必要があるわけです。つまり理想的な経済社会を作るには二つのアプローチがあります。

①国民1人当たりの実質GDPを高める
②分配システムを改善する

人口が減少しようと高齢化しようと、そんなものは関係ありません。この二つを実現すれば国民は豊かになります。この両方をやれば良いのです。

ところが、なぜか、①または②の「どちらかしかやらない」と主張する(自分から見れば)おかしな連中がいます。それが日本の左派(成長しない論者)と右派(市場原理主義者)です。左派は「①は不可能だから②をやれ」といい、右派は「①をやれば②はいらない」といいます。なぜ二極論になるのか?ほとんど陰謀の世界です。

①国民1人当たりの実質GDPを高めるには、生産性を高めれば良いです。これは人工知能やロボットによって簡単に解決できます。むしろ過剰生産で困るほどです。
②資本主義は格差が必ず拡大します(ピケティ)。ですから金融資産課税やベーシックインカムなどを導入すればいい。しかもその方が消費が拡大して経済成長率は高くなる。

どちらかだけで問題を解決できると考えるのが大きな間違い。
両方やるのが正しいと思います。


右と左で何を対立しているのか、まったく意味不明です。
クダラナイ主流派争いでしょう。