2016年9月1日木曜日

昆虫のフェロモンと人間の言語

昆虫はフェロモンという化学物質を用いて、同種族の他の個体に影響を及ぼす仕組みを持っている。メスがオスを惹きつける性フェロモンはよく知られているがそれだけでなく、様々な種類がある。ある個体が化学物質を放出し、それを受けた個体がまるでプログラムされたように行動を変化させる。フェロモンという化学物質で個体の行動が支配されることに、とても不思議な感じを覚える。こうした現象は何か原始的な感じだ。

しかし、人間の場合はどうだろうか。人間はフェロモンは作らないが、言葉を作り出す。これは空気の振動の変化から構成されている。ある個体が特定の言葉を発し、これを別の個体が認知すると、その行動を変化させる。その例が感情の変化だ。特定の言葉によってまるで、プログラムされたように人間の感情が変化する。怒ったり、笑ったり、泣いたり、様々な反応を示す。このように音によって行動が支配されるのは、とても不思議な気がする。何か原始的な現象だ。

そのように考えると、相手の心無い言葉にいちいち感情的に反応することの馬鹿馬鹿しさが理解される。ひどく原始的だし、そもそも反応する必要などない。それでもやはり腹が立つこともある。かく言う私も原始的な衝動から逃れられないのは残念だ。