2014年8月12日火曜日

生産手段の社会化ではなく通貨の社会化が必要

社会主義を語るときに「生産手段の社会化」が昔から言われていますが、本質がそこにあるとは思えません。生産手段を用いて生産が行われる時、誰かが生産管理しなければならないわけです。古典的には中央集権政府が生産を一元的に管理するようですが、これは効果的ではない。むしろ一定のルールの下で各企業に分散して管理・競争させた方が効果的でしょう。なぜなら、生産管理にも様々な手法があるからであり、どの手法が良いかは、試行錯誤によって証明されるからです。生産管理組織としての企業の存在価値は依然としてあります。

生産手段ではなく、むしろ通貨こそ社会化が必要です。もちろん生産手段を調達するためのしくみとして通貨を考えるとき、通貨は広義の意味で生産手段ではあります。しかし、その性質は大きく異なるので、財を生産するための生産財と、通貨(金融資本)は、明確に区分される必要があるでしょう。

生産も分配も、通貨によってマクロ的にコントロールすることが可能であり、この通貨が私的に、しかも過度に独占されているという状態こそが、現代におけるもっとも大きな問題であると思います。