2019年2月10日日曜日

財政再建に関する意見書の別案

財政制度審議会(財務省)が、財政再建に関して国民の意見を聞くという。「お役人さま」が下々から意見を聞くのは珍しいことだから、是非みなさんも意見して欲しいです。ということで、前回に続いて、意見書の別案を掲載します。


件名:

平成31年度予算の編成等に関する建議への意見

結論:消費税は安定財源ではない、通貨発行(日銀引受)を財源として組み込む必要がある。

1)消費税は安定財源ではない

消費税は、短期的には税収の変動幅が小さいために、安定財源であると誤解されやすいが、長期的にみると税収の減少が避けられないため、安定的ではない。なぜなら、政府から支出される通貨の一部は、必ず貯蓄として退蔵されてしまうからである(循環しなくなる)。その結果として、少子高齢化の如何に関わらず税収が減少し、それを補うためにさらなる消費増税が必要となり、デフレが深刻化し、やがて日本経済を破綻させるまで増税を繰り返す結果となる。そうなってからでは、もはや手遅れである。通貨の退蔵を避けることはできないため、通貨供給が必ず必要となる。

すなわち、通貨を供給し続けなければ税収は長期的に必ず減少する。その一つの例を挙げるならば、バブル期には民間債務の増大による高い通貨の伸び率に支えられて税収は増加したが、その後、バブル崩壊で民間債務の増大が停止すると通貨の伸びが激減し、同時に、税収は低迷することになった。これがいわゆる「ワニの口」の原因である。

2)通貨発行は高インフレを引き起こさない

高インフレを引き起こさない理由は単純明快である。周知のように、銀行保有国債はマネーストックを増加させる。すでに600兆円以上の通貨(マネーストック)が国債発行(銀行保有分)によって供給されているにも関わらず、依然として日本経済がデフレを脱していないからだ。600兆円と言えば、100兆円の国家予算6年分にも匹敵する金額である。これらの通貨は、大企業の剰余金や高額所得者の貯蓄として貯めこまれている。仮に課税するとすれば、彼らに課税するのが筋であって、消費税の増税は的外れである。

3)具体的な政策案

現在の税収に加えて、不足する歳入は通貨の発行によって賄う。通貨の発行については、法改正により日銀引受を可能とし、インフレターゲットの範囲内で、専門機関によって発行量を決定する。ただし放漫財政を避けるために、歳出について厳しい精査が必要であることは言うまでもない。なお、通貨量(マネーストック)が増加すれば、税収も増加する。以上。