2019年2月20日水曜日

インフレそのものが目的ではない

金融緩和の目的がインフレにあると誤解している人が居るようです。しかし、インフレはあくまで結果であって、インフレを引き起こすような経済環境(=好景気)を持続することが目的なのです。

インフレそのものには、何ら良いことはありません。物価が上がらずに好景気になるなら、それに越したことはありません。ですから、インフレそのものを目的とすることは意味がありません。そうではなく、インフレを引き起こすような経済環境(=好景気)を持続的に実現することが、目的になります。

例えば、ヘリコプターマネー。おカネを発行して国民に毎月おカネを支給するとします。すると、国民の購買力が向上し、消費が拡大することによって、市場取引を通じ、物価はインフレ(上昇傾向)になります。この場合は、国民の消費が増大すること(財の分配が増えること)が主目的であって、あくまでもインフレは後から付いてくる現象なのです。

逆に、もしインフレを先に起こしたらどうなるでしょう?例えば消費税を上げるとします。消費税も物価に含まれますので、消費増税は増税した直後にインフレを引き起こします。しかし、価格が上昇すれば、国民の消費が減少します。そのため、国民は貧しくなります。同時に企業の売り上げが減少し、企業利益が減少するために、賃金の引き下げを余儀なくされるでしょう。そして市場では需要が減るため、価格の下落が始まります。

つまりデフレです。一時的に物価を上げたところで、その後は長期的にデフレになってしまいます。それが、2014年の消費増税後の景気低迷です。

ですから、物価が上がればそれで良い、という話ではありません。インフレはあくまでも結果として生じる現象に過ぎません。脱デフレの目的は、国民の購買力を増やし、消費を増加させることにあります。国民の購買力が継続的に増え続けること、それがインフレの条件なのです。

すべての国民の購買力を平等に向上させるには、ヘリコプタマネーが最適でしょう。おカネを国民に配るのです。

アベノミクスで行なわれている金融緩和政策は、国民の購買力を直接引き上げる政策ではありません。あくまでも、企業の借り入れを増やす、あるいは企業の内部留保を投資に回すための政策です。ですから、それが国民の購買力に波及するには時間が必要であり、また効果も非常に薄い。だからこそ、いまだにインフレターゲット2%すら達成できないのです。

いまこそ消費増税を凍結し、通貨を発行し、給付金によって国民の購買力を平等に引き上げる、ヘリコプターマネー政策をただちに推進すべきだと思います。