2018年5月13日日曜日

「世の中にそんなうまい話はある」のです

おカネを配りましょうと主張すると、世の中にそんなうまい話はない、との反論がマスコミに登場する。それに騙された庶民がそう思っている間に、うまい部分を支配層が持っていく、世の中はそういう仕組みらしい。

国民にタダでおカネを配る行為は、自らの首を絞めることになる、という主張が必ず出てきます。しかし、冷静に考えてみれば、世の中の方向性は「うまい話」に向かって進化しているのです。人工知能やロボット、完全自動生産工場が進歩すれば、やがて人々が労働しなくても機械が生産してくれる世の中になることは自明であり、また、それを目指して文明は進化してきたわけです。

そして機械が生産活動をしてくれるなら、人間はタダでおかねを貰えるようになる事もまた明らかです。もちろん、今はまだ100%そうした状態になっているわけではありません。しかしテクノロジーがこれだけ進化した時代なのですから、10%くらいはそうした時代に足を踏み入れていると考えることは、ごく自然なことでしょう。つまり、毎月1万円や2万円はタダでおカネを貰えるのが当然の社会になっていても不思議はないわけです。

事実、今日の日本経済は消費の伸び悩みが景気回復の足を引っ張っているのであり、これは庶民におカネが不足していることを意味します。こうした状況は、テクノロジーの進化に伴って本来はおカネをタダでくばるべきところ、おカネを配らないがために消費が不足していることを示唆しているとも考えられるのです。

ですから、本来は配られるべきおカネをタダで全国民に配るなら、消費が増えて国民が豊かになると同時に、景気も回復してインフレ基調になります。これがテクノロジーの発達した社会の、本来のあるべき姿だと考えることができるのです。

ところが、こうした考えを完全にスルーして、「タダでおカネを配る(フリーランチ)は、国民の首を絞める」との主張がマスコミに登場します。

しかし、考えてみてください。テクノロジーの進化によって毎月1万円や2万円のおカネをすべての国民がもらえるところを、「そんなことは禁じ手だ」といって封印してしまえばどうなるか。テクノロジーの進化がもたらすはずの利益は、国民へ向かわず一体どこへいくのでしょうか。

支配層の利益に化けると考えることができます。おカネが直接支配層に流れる場合は、それが資産上位1%の富裕層の膨大な貯蓄に化けていると考えることができます。

また、仮におカネが流れなくても「デフレ」というかたちで支配層の利益になります。なぜかと言えば、デフレはおカネの価値が上がること(インフレの逆)ですから、デフレになれば、しこたま溜め込んでいる貯蓄の価値が増えるのです。庶民が消費をしないことで経済がデフレのままであることは、支配層にとって大きな利益になるわけです。

しかし、「働かない人がおカネを貰うことは許されない」という常識の元に暮らしてきた多くの人々は、「タダでおカネを貰えば、自分の首を絞めることになる」というマスコミの主張に騙されがちです。テクノロジーの進化について深く考えることはないからです。

こうして、多くの国民が「タダでおカネを配るなんてうまい話はない」と思い込んでいる間に、そのうまい部分を支配層がすべて持って行く、世の中はそういう仕組みになっていると思われます。